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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

「イダジョ!完結編」(ハルキ文庫刊)

心の傷を癒すということ

シナリオ・センター代表の小林です。
昨日は、141期シナリオ作家養成講座の説明会でした。寒い中、20名ほどの方々がご来所くださり、50名ほどの方がオンラインで参加をしてくださいました。
欧州圏では、文化芸術は、人間が生きるために大切な不可欠なものとして捉えているのですが、なぜか不要不急なものと言われがちな日本にあって、コロナ第3波の先の見えないこの時期に、シナリオを志して下さる、創作に向いて下さっていることが本当に嬉しいです。
私も河合講師もついつい熱が入ってしまいました。
ご一緒に頑張っていきましょう。

17日は、阪神淡路大震災から26年目でした。
どんなに街が整おうと、どんなに時が経とうと心は決して癒されることがありません。
大阪校の受講生の方も何人か犠牲になられた方がいらっしゃいます。毎年、大阪校と共にご冥福をお祈りさせていただいています。
奇しくもというべきでしょうか、当たり前というべきでしょうか。
大阪校出身でいらっしゃる桑原亮子さんが、阪神淡路大震災で被災者の方々の心に寄り添ったお医者様の実話「心の傷が癒えるということ」を描かれました。
昨年、NHKで連ドラとして放映され、ものすごく評判が高く、放送文化基金テレビドラマ部門最優秀賞を受賞されました。

このドラマが再編集されて映画化となり、1月29日から公開されます。
被災者に寄り添い続けた精神科医のお話は、このコロナ禍だからこそ、是非とも見ていただきたい映画です。
「感染しない、感染させない」は言うに及ばず、感染者や家族を誹謗中傷しないこと、仕事や住処を失った方々を手厚く支援すること、人の心に寄り添う想像力を日本中のすべての人が持って生きていきたいと願わずにはいられません。

イダジョ!完結編

作家集団の史夏ゆみさんが描かれてきた「イダジョ!」シリーズがついに本日、完結を迎えることになりました。
「イダジョ!完結編」(ハルキ文庫刊)
お祖母ちゃんを助けてくれた救急医療。その入り口にあるオレンジ色のライト、命の灯り。主人公安月美南が医者を目指したきっかけ。医大生になった激動の6年を描いた1作目「イダジョ!医大女子」。研修医になり、女性としても目覚めていく美南「イダジョ!研修医編」
そして、ついに迎えました。完結編。とはいえ、この先まだまだ続きはありそうですが・・・何故?完結編?

初期研修が終わり専門研修を定めようとしている美南。
外科医を目指しているのだが「やめた方がいいよ。オペ向いていない」と先輩医師に衝撃的な一言を投げつけられる。
連れ合いは、10歳年上のアメリカの病院で活躍する優秀な心臓血管外科医。
美南は娘を一人で育てながら、医者として、後輩の指導、患者の対応等、次々来る問題をこなしていく。
何故、私はオペに向いていないのか・・・その疑問を解くべくひたすらまっすぐ頑張る美南が、理想の医者を目指して奮闘し、前へと向かっていく完結編です。

テンポのいい会話、医者の世界、3作にわたるシリーズの完結編としてみごとに美南を成長させています。
このシリーズを読むと、医者になるのも、医者としてやっていくのも、たいへんなものだと感じます。
特に子育て中の女性は、手術ひとつするにも時間的な制約があったりします。
産休の事だけでなく、だから女医を作らないように試験で落とすということをやるんですね。
新しい専門医として働く場所を、医療従事者のために施設の中に保育園や学童保育、住居もあり、子育て中は日勤で仕事ができるという病院を美南は選びます。
この美南のように環境さえ作れば、子育て中の女性であっても何の問題もないことに気づかされます。
史夏さんは、さりげなく問題解決もされていらっしゃるようです。
環境づくりもせずに女性医師を作らなければいいという封建的な男性社会の視点は、医者の世界に限らず日本にはびこっている考え方ですね。
ま、私の大好きな問題提起はさておき(笑)、「イダジョ!」は主人公の成長物語としてしっかりと医療の世界を描いて、医者ものとしても医療ものとしても面白く描かれています。
テレビドラマにしたら、人気ドラマになりそうです。

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