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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

口福のレシピ

口福のレシピ(小学館刊)

言いまつがい

8月25日、シナリオ・センター代表の小林です。最近の予報は「命に関わる暑さ」とか「経験のない暑さ」とか本当に驚くようなことばかりで、どうすればいいのか途方にくれます。
東京も暑いですけれど、九州や西日本は今年一番の暑さとのニュースに、熱中症で亡くなる方も多いですし、くれぐれもお気をつけてとしかいいようもありせん。
挙句にコロナ感染の第2波とくれば、もうにっちもさっちもいかない状況ですが、ここを乗り切ってこそ、新たな先が見えてくると踏ん張るしかないですね。

友人から残暑見舞いをいただきました。
そのはがきは、日本語の使い方の誤りがずらーっと書かれていました。気持ちよくわかります。
日本語の乱れにお怒りになっている姿が目に浮かびます。(笑)
確かに今どきの日本語の乱れには驚ろかされるのですが、案外、私自身も気にせず使っていることもあることに気が付きました。
言葉、セリフが大事な商売だというのに、気を引き締めなくてはと、反省。
ちょっといくつか。
お求めできます→お求めいただけます
よろしかったですか→よろしいでしょうか
ということで大丈夫ですか→ということでよろしいですか
お時間の方がきてしまいました→お時間が参りました
ご利用する場合→ご利用になる場合
日本語は、敬語や謙譲語だとか難しいですが、知っていて敢えて崩して使うのと、知らなくて平気で使うのでは違いますから、勉強しておくことは大事ですね。
改めて、気をつけねば。

口福のレシピ

「口福のレシピ」(小学館刊)
出身ライター原田ひ香さんの新刊が出ました。
先週の土曜日に「王様のブランチ」(TBS)でも紹介されて、原田ひ香さん自身がお料理を楽しまれていらっしゃる様子も、お元気な姿も拝見でき、嬉しかったです。

料理をテーマにした原田さんのご著書は、「まずはこれを食べて」「ランチ酒」「ランチ酒おかわり日和」等があります。
帯に「ランチ酒で話題の著者が贈る心をほぐす“家庭料理”小説。」と書いてあったので、「ランチ酒」の家庭版なのかなぁと思って、表紙を開けたのですが、全然違いました。
原田さんのこの発想、構成には驚いてしまいます。
昭和の初めの品川料理教習所に女中奉公していたしずえの話から始まり、次の章は現在のキャリアウーマン女二人暮しのお話になります。
章のタイトルも素敵で、「下ごしらえの日曜日」「月曜日の骨酒」「火曜日の竹の子」「水曜日の春菊」「木曜日の冷や汁」「金曜日の生姜焼き」「土曜日の梅仕事」「日曜日のスープ」「あとしまつの日曜日」、ページをくくりたくなるでしょう?
読み進めていくと、昭和のしずえの話しと、現代を生きる留希子と風花の話しが、生姜焼きを通して複雑にリンクしていることがわかります。
そして、SNSで料理を発信している留希子と老舗料理学校を経営する母と祖母との確執が描かれ、過去の因縁が、どのように留希子と母・祖母との間に入っていくのか・・・もう素晴らしい構成です。
お教えしませんが(笑)、ラストの締めがこれまた見事です。

お話しの中には、色々なレシピはもちろん、材料の見分け方、使い方、料理に合うお酒を美味しく教えてくれて、これがまたいい感じに小説の味付けともなり、生姜焼きのたれレシピの如く複雑な味に、めちゃくちゃ美味しいお話になりました。

しかも、料理本ではないのですが、留希子がSNSに出しているレシピは、レンチンレシピや手抜きでも美味しいレシピなのです。
料理は苦手という方も、この「口福のレシピ」を読まれたら、やる気になります。
原田さんが、お料理がお好きなのだということがとてもよく伝わってきます。料理は創作と同じですね。

私も料理が好きで、なにを創ろうかと冷蔵庫をのぞいたり、野菜を切ったりしているうちに、滅入っている時でも知らず知らずのうちに元気になります。
美味しいものを食べる、美味しいものを作る、人間の命の素です。
原田ひ香流レシピ、小説と料理の二つの味付け、ご堪能下さい。

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