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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

セリフは嘘つき

45周年パーティーにて(ジェームス三木さん・岡田惠和さん、小林)傘は三木さんの傘寿御お祝いにプレゼントさせていただいたものです。

シナリオS1締切

シナリオ・センター代表の小林です。昨日あたりから暑さもちょっとだけダウンしてくれているようですが、とはいえまだまだ暑いのに、30度といわれると「涼しいじゃん!」と思ってしまう馴れが恐ろしい。
今日は東京は95人ですけれど「少ないねぇ」って思ってしまう異常さに気が付かないとまずいです。
神経を張り詰め続けることの難しさを感じます。
楽観的にできることは楽観的でもいいのですけれど、命に関わることはどんな場合でも楽観視はできませんものね。
少なくともトップに立つ人間は、常に神経を張りつめ、先を見て、最悪のシナリオに立ち向かっていく必要があると思うので、シナリオ・センターでも気を抜かないようにしなければと思っています。

今日は、シナリオS1グランプリの締め切り日。
この暑い中、続々とご持参くださる方がいらして、皆さんが頑張っている姿に思わず拍手です。
「KEEP WRITING」と4月から声を大にして言い続けています。
50年も言い続けてきたことですが、50年の歴史の中でこれほど皆さんが真面目に応えてくださったことがあったでしょうかというほど、皆さんが描いて下さっています。(笑)
さて、20時半の締め切り時間までにどのくらいお持ち下さるのでしょう。

セリフは嘘つき

もはや8月も終わり、今更ながら今年は、創立50周年だったんだっけ・・・と思い出しました。
実際に4月5月は、50年目で終わるのかシナリオ・センターという危機感もありました。
心配症の私が最悪のシナリオを描けば描くほど先は見えなくなりました。
今は、先が見えます。なぜでしょうか。
皆さんがシナリオを描くことを棄てなかった、諦めなかった、むしろ盛り上げてくださったからです。
そう、創立50周年の顔ともいえる「20枚シナリオ新井一賞」、1000近い応募があったのです。それは本当に力をくださいました。

「20枚シナリオ新井一賞」の今年の課題は「セリフは嘘つき」。
セリフがうまいライターがいいとよく業界の方々はおっしゃいます。コンクールなどでもよく言われますが、セリフが面白くないものが多いのです。
なので、今年は「セリフは嘘つき」を課題にしました。
セリフの機能はなんでしょう。
①登場人物の心理感情を表す。②ストーリーを展開させる。③事実を告げる
この3つの機能をわかってもらおうとすると、ほとんどが説明ゼリフになってしまいます。
それを回避するには2つのコツがあると新井一は言います。
「ひとつは、ト書に誰と誰がなにをしているかを思い浮かべ、なるべく向かい合わせにしない位置に置いてしゃべらせることです。
そうすると、シーンの一番最初のセリフは必ず説明ゼリフでないことになります。
シーンの最初のセリフがそのシーンのセリフのトーンを決定しますから、以下のセリフは説明ゼリフではなくなるのです。
2つ目の面白くするコツは何かというと『セリフは嘘つき』。どうしてもセリフで説明しようとすると正直になってしまいます。
正直なセリフほどつまらないものはありません。現実の生活だってそうでしょ。
いくら彼女を好きだって、会っていきなり『僕は君が好きだよ』といえば気持ち悪がられます。借金をしにいくのだって、いきなりお金の話はできませんからね。
いくら正直な人でも「私は正直です」といわれて、代議士じゃあるまいし、誰が信用するものですか。
だから心で思っていることのあべこべを言ってわからせるのです。」(新井一語録から)

さて、応募された皆さんは、うまく「嘘つき」になれたでしょうか。
どこかの国のお上のように、嘘ばっかり言っていると、誰も信じなくなりますが、嘘も上手に使えば円滑油にもなるし、ドラマを面白くする大事なカギになるのです。

盛大なパーティーも、面白イベントもできない50周年だけれど、なかなかリアルに会うこともままならないけれど、皆さんが描いてくださることによって、表現することの大切さ、表現することへの熱い想い、描き続ける力、初心に戻って新たなは・じ・め・の一歩!が踏み出せそうです。

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