こちらの記事では、「シナリオ書けたけど、つまらない……。どこがいけないんだろう」というとき、どこを直せばいいか、が分かります。勿論、直しのときだけでなく、書き始めるときも考えなければいけないことです。
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
自分のシナリオ、どこを直せばいいのか
私たちが作品を書いて他人に読んでもらう場合、批評として「うまい」「うまくない」であったり、「いい」とか「つまらない」とか言われます。それで喜んだりクサったりする訳ですが、本当のところ、どこがよかったのか、いけなかったのか、よくわからないというのが本音でしょう。
「悪い子だ」と嫌われて、どこが悪いのかわからなくては、直しようがないのと同じです。でも学校というのはうまく出来ていて、素行が悪いのか、国語ができないのか音楽がダメなのか、はっきり示されるので、そこを直せばいいわけです。
シナリオでは、切り口、語り口、切れ味と大ざっぱに分けることが出来ます。
切り口を考える
「切り口」とは1つの素材なりテーマなりを採り上げる時の採り上げ方といっていいでしょう。
例えば二・二六事件を採り上げるにしても、青年将校の方から採り上げることも出来るし、沢地久枝氏のように、妻たちの側から、或いは襲撃された大臣たちから描くことも出来ますし、よくあるように音盤事件のように、民間側の動きからも作ることが出来ます。
素材ばかりではなく、テーマや考え方も、何も世の中の人の考えているのと同調することはありません。そこにユニークさが出てくるわけです。つまり、あなただけの作品です。それを作れる人だから、作家なのです。
その見方があれば、「平凡だね」などと言われることはありません。そのためには「作家的見解を持たねばならぬ」というのが、公式見解ですが、それこそ視点を変えて、「どうすればユニークな視点が持てるか」を考えましょう。
歌舞伎の世界でホンを作る時に、一番最初に決めるのが世界定めです。「いつの時代にするか」「人物をどうするか、誰の側から描くか」「カセ(平凡でない人物関係)はないか」「場所をどこに設定するか」などを考えました。
それもアベコベに考えて見るのがコツです。料理でいえば、この魚を刺身にするか、焼くか、煮るかと考えるのと同じです。
味をつけたり調理をするのが「語り口」、さらに隠し味をつけるのが「切れ味」です。
出典:『月刊シナリオ教室』1989年8月号「新井語録」/2018年4月号「新井一.com」
★次回は5月12日に更新予定です★
“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~
今回の記事をご覧になって「ちょっとシナリオ、書いてみたいな…」と思われたかた、是非お気軽にいらしてください。
シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を創作初心者のかたでも楽しく学べます。また映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説など、人間を描くすべての「創作」に応用できます。
まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。
■シナリオ作家養成講座(6ヶ月) >>詳細はこちら
■シナリオ8週間講座(2ヶ月) >>詳細はこちら
■シナリオ通信講座 基礎科(6ヶ月) >>詳細はこちら