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長編書けない なら主人公に葛藤をプラス

「長編が書けない…」というかた、主人公に葛藤をプラスしてみてください。では、どうプラスさせればいいのか。今回ご紹介する“三歩進んで二歩さがるの術”を使ってみてください。

このコーナーでは、「自分にはシナリオを書く才能がないかも……」と悩んでいるかたへ、面白いシナリオが書けるようになるちょっとした“術”を、シナリオ・センター講師・浅田直亮著『いきなりドラマを面白くする シナリオ錬金術』(言視舎)&『月刊シナリオ教室(連載「シナリオ錬金術」)』よりご紹介いたします。

20枚シナリオだからこそつく力とは

「20枚シナリオを書いていても1時間や2時間などの長いシナリオを書けるようにはならない」などと言う人がいます。本当でしょうか?

答えは明らかですよね。みなさんと同じように20枚シナリオを書いている人たちがコンクールで、どんどん受賞していますし、みなさんの先輩がたが2時間のドラマや映画のシナリオを書いて活躍しています。

さらには、1時間連続ドラマや、NHKの大河ドラマや朝の連続テレビ小説、昼の帯ドラマなどなど、1時間や2時間どころか、もっともっと長いシナリオでも20枚シナリオで培った力を発揮しています。

だいたい、もし20枚シナリオを書いていても1時間や2時間のシナリオを書けないのなら、いくら1時間や2時間のシナリオを書いても1時間連続ドラマ、NHKの大河ドラマや朝の連続テレビ小説、昼の帯ドラマは書けないということになってしまいます。

実はね、逆なんですよ。1時間や2時間のシナリオではなく20枚シナリオだからこそ、1時間や2時間はもちろん、1時間連続ドラマや大河ドラマや朝の連続テレビ小説や昼の帯ドラマも書ける力がつくようになるのです。

じゃあ、20枚シナリオだからこそつくようになる1時間も2時間も連続ドラマも書ける力って、どういう力なんでしょう?

それは、しっかりと主人公を葛藤させて、その葛藤(ドラマ)を描く力です。

いや、もちろん1時間や2時間のシナリオを書いても葛藤を作って葛藤を描く力をつけようと思ったら、つけられないことはありません。

ただ、どうしても書く分量が多いので、主人公を葛藤させることより、ああなって、こうなってと話を先に先に展開させることにばかり気を取られがちなのです。

これはプロット(シノプシス)を書く時も陥りがちな落とし穴です。基本的には話を先に先に展開させると葛藤はなくなってしまうんです。逆に主人公が葛藤しているときは話は先に進んでいかないのです。

なので、話を先に先に展開させないこと、むしろ、どうやって話を先に進めないで展開を止めるかが、うまく葛藤を作るコツなんです。

というわけで、今回のシナリオ錬金術は、三歩進んで二歩さがるの術!

葛藤を作ると面白くなる

たとえば、片思いの女の子に告白できないサエない主人公が、不思議な老人と出会い、どんな女の子でも一瞬で自分を好きにさせる薬をもらって飲むと、片思いの女の子に告白されて、めでたく恋人同士になれました、という話を書くとします。(そんなつまらない話書くかよ!なんですが、ここはベタにね、分かりやすく)

ここには葛藤はありません。では、主人公が不思議な老人と出会って薬をもらって、というところで話を先に進めず展開を止めてみましょう。

主人公が不思議な老人に声をかけられ、どんな女の子でも一瞬で好きにさせる薬をあげると言われますが、あまりに怪しげなので「結構です」と逃げ去ります。でも、部屋に帰ると薬のことが気になります。翌日、もう一度、老人に会いに行こうと思うのですが、でも、やっぱりやめておこうと…。

ね? 声をかけられるが逃げ去って、とか、薬が気になる気持ちと、いや、やめた方がいいと思う気持ちという対立する気持ちの間で揺れ動く葛藤が生まれたでしょ?

さらに声をかけられるが逃げ去って、というところで展開を止めてみましょう。

声をかけられるが、あまりに怪しげな老人に思わず後ずさるが、薬の話を聞き飲んでみたいと歩み寄るが、でも、老人がニヤリと不気味な笑みを浮かべ立ち止まるが…。

またまた葛藤が作れました。

老人に声をかけられ二歩下がり、薬を飲んでみたいと三歩進むが、老人の不気味な笑みに二歩さがり…これが、三歩進んで二歩さがるの術! なのです。ね? 簡単でしょ?

「葛藤って何ですか?」「ドラマって何ですか?」「ストーリーとドラマって、どう違うのですか?」と、よく尋ねられます。また、そういう質問に対して「葛藤とは、ドラマとは、一言では言えない難しいものだ」などと答えているのも、よく見かけます。確かに葛藤やドラマとは何か、言葉で説明しにくいものかもしれません。でも葛藤(ドラマ)を作るのは実はカ~ンタンなのです。

みなさん、20枚シナリオで、この三歩進んで二歩さがるの術を使って、葛藤を作ってみて下さい。そのためには、まず話を先へ先へ進めないで展開を止めてみて下さい。

老人から薬を受け取るが、いざ飲もうとすると大丈夫なのかなと不安になるが、思い切って飲もうとするが、でも…とか。

これが薬を飲んでしまったら葛藤はなくなります。つまり話を先へ進め展開させると葛藤はなくなってしまうんです。

葛藤を作り、葛藤を描く力こそ、観客や視聴者を「面白い」と思わせる力に

ちょっと思い出してみて下さい。基礎講座の『迷っている人』という課題の時、「迷っているところを描いて下さいね。結果は書かなくていいですよ」と言われませんでしたか?

どうして結果を書かないのか?
主人公がAかBか、どちらを選ぶか迷っている間は葛藤しています。

でも、Aを選んで結果が出た途端に葛藤はなくなってしまうのです。結果を出さないで、しっかり葛藤させてみて下さい、ということだったのです。

これは20枚シナリオでも同じです。20枚シナリオでは結末は書かなくて構いません。1つのお話としてまとまってなくていいんです。

というより、むしろ、結末まで書こう、1つのお話としてまとめようとすると話を先へ先へ進めてしまって葛藤がなくなってしまいます。なので『迷っている人』と同じように結果は出さないようにして主人公が葛藤しているところをしっかりと描くようにしてみて下さい。

『迷っている人』の次は『イライラしている人』でした。これは主人公を前に進ませないことで葛藤を作りイライラさせる課題なのです。

たとえば、主人公は好きな女の子にラブレターを渡そうとしている、けど、女の子の周りには友達がいっぱいいて渡せない、みたいな感じで主人公を前に進ませないことで、渡したいんだけど、渡せない、けど渡したい、と葛藤させるわけです。

つまり『迷っている人』と『イライラしている人』で葛藤をいかに作り、いかに描くかの基本形を、みなさんはすでに基礎講座で学んでいるわけです。

『迷っている人』は本文3枚、『イライラしている人』は本文4枚です。3枚や4枚のシナリオでも、20枚シナリオでも、1時間や2時間や、もっと長い連続ドラマでも、お話の長さというのは当然、枚数によって違ってきますが、葛藤(ドラマ)を作り葛藤を描くことは、まったく同じなのです。

そして、この葛藤を作り葛藤を描く力こそが観客や視聴者を「面白い」と思わせる力になります。基本的には主人公を葛藤させれば葛藤させるほど、観客や視聴者は、より感情移入してくれます。感情移入すれば感情移入するほど「面白い」と感じてくれるのです。

話を進めずに展開を止める

チャップリンの『街の灯』を観ると、ここで「面白い」と思わせよう、笑わせようといているところは、話を先へ進めず展開を止めていることが、よく分かります。

たとえば冒頭の銅像の除幕式のシーン。銅像から降りろと言われたチャップリンが降りようとしますが、ズボンに銅像の剣が刺さって降りれなくて、また、よじ登って…と、ただ銅像を降りるだけのところを話を先に進めず展開を止めて、降りようとするが降りれなくて、と、まさに三歩進んで二歩さがるの術で笑わせています。

自殺しようとするお金持ちを助けるシーンもそうです。ただ、首にロープで石を結びつけ川に飛び込んで死のうとしているのを助けるだけなんですが、石を結びつけたロープがチャップリンにからまったり、お金持ちを引っ張りあげようとして川に落ちたり、助けようとして、助けられなくて…と話を先へ進ませないようにしています。お金持ちの家でワインを飲むところも、パーティーみたいなところへ行って騒動を起こすところも、ボクシングのシーンも、みんな話を前に進めず展開を止めています。

本題とはズレますが、笑いのシーンで必ずといっていいほど小道具が使われていることにも注目してください。

花を生けていたバケツ、金持ちの首にかけられたロープつき石、ワインのボトル、葉巻、椅子、パスタとクラッカーのテープ、植木鉢、樽、ホイッスル、などなど、本当に、たくさんの小道具を使って笑わせています。

特にコメディを書きたい人、アイデアにつまったら小道具の使い方を考えてみるといいかもしれませんね。

出典:『月刊シナリオ教室』(2006年12月号)掲載の「シナリオ錬金術/浅田直亮」より
次回は6月20日に更新予定です

※20枚シナリオ=200字詰め原稿用紙20枚の、映像にすると10分弱のシナリオのこと。シナリオ・センターでは、これを色々なテーマで何本も書いてもらうことでプロのシナリオライターになる力をつけてもらいます。
20枚シナリオ活用方法についてはこちらの記事「シナリオを書きたいと思ったら20枚シナリオで練習」も併せてご覧ください。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

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今回の記事をご覧になって「ちょっとシナリオ、書いてみたいな…」と思われたかた、是非お気軽にいらしてください。

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