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400字詰め20〜25枚程度から小説を書いてみよう

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
「小説を書きたいけど、最初はどこから取り掛かればいいか分からない」という方は、400字詰め20〜25枚程度の小説を書くレッスン方法がオススメ。このぐらいの枚数なら書けそうではありませんか?では、書くときはどんなことに気をつければいいのでしょう?向田邦子さんの短編集『思い出トランプ』から学んでいきましょう。

「非日常的なものを書きたい」というかたもリアリティは大切

直木賞を受賞した向田邦子の珠玉の短編集『思い出トランプ』(新潮文庫)を教材に、皆さんも400字詰め20〜25枚程度の小説を書いてみよう、というレッスン法について述べます。
(※『思い出トランプ』に収録されている短編はどの作品も400字詰め20〜25枚程度)

この短編集には、13編の短編が収められていますが、〝私〟や〝僕〟といった一人称で書かれたものは1編もありません。どの作品も三人称で、13編中 男性視点が8編、女性視点が5編です。それも皆、どこにでもいそうな中年か初老の域に差し掛かったサラリーリマンと主婦たちの物語です。

向田さんは生涯独身でした。若い頃に映画雑誌の編集者(記者)といったサラリーマン経験もありますが、すぐにフリーランスで脚本やエッセイを書く仕事についていましたので、会社員や主婦の経験はほぼありません。

もちろん、ご存知のようにテレビドラマではホームドラマがメインでした。またエッセイの多くは、ご自身の体験、それも(『父の詫び状』のような)厳格な会社員だった父と家族のことで、その娘時代の体験が基になっていました。

ともあれ、ホームドラマで培われた、ごくありふれた庶民の悲哀を見つめる視点、切り口というものが常にあり、それを小説にも活かしています。

ところで、小説を書きたいという(特に若い)志望者の多くは、こうした日常的な題材やテーマ、ジャンルではなく、反対側にある非日常のファンタジーや、殺人事件を解決するミステリー、さらにはキラキラした恋愛や青春物が頭にあるように思います。

そうした志望者は、向田さんの短編小説なんて「関係ないし、参考にならない」と思うかもしれません。その考え方は間違っています。ファンタジーを志向する書き手であっても、あなたが書こうとする物語内で、生きている人物の日常なり感覚、生活といったことを、いかに本当のことのように描けるか?

つまりリアリティの有無が物語を物語として成立させるからです。

心温まるいい話は書かない!

逆の言い方をすると、皆さん自身であったり、周囲の人たち、さらには日常や生活から(それがどんなに平凡、ありきたりと見えたとしても)題材なりテーマなりを見出せない、小説のタネを見つけられないとしたら、(認められる)ファンタジーもミステリーも恋愛小説も書けません。

そうした意識でレッスン(習作)として短編を書くのです。すなわち、どこにでもいそうな人物(自分や家族、友人、知人、街を歩く人など)を(あくまでもモデルにして)主人公として造形した上で、その人物に起きる事件、他人物との関係性から起きる出来事などを書くようにします。

で、その際に(あくまでも私の提案ですが)、体験に基づいたいい話、心温まる話、小さな幸せでオチをつけてよかったね、という話は書かないようにしてほしい。

こういう言い方をすると誤解を受けそうなので、もうちょっとその狙いを述べると、そうした心温まるいい話としたいのなら、そこに至るまでの紆余曲折をしっかりと描いた上で、そうした感慨を読者に与えるようにしてください。エッセイでしたら体験したいい話で一向に構いませんが、フィクションの小説とする場合は、造りとするための作為が不可欠だから。

『思い出トランプ』の13編を教材とする理由のひとつがここにあります。これらの短編に共通して描かれているのは、上記で述べた「庶民の悲哀」です。別の言い方をすると「毒」こそが、向田作品の秘訣です。

向田さんは冷徹な眼で、題材とする初老のサラリーマンや、中年過ぎた主婦を見つめて、そこに「毒」を盛り込んでいます。このスパイスゆえに「悲哀」という絶妙な味が醸し出されていて、それこそが向田短編のおもしろさになっているのです。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2019年2月号)より
次回は6月6日に更新予定です

※こちらの記事「小説を書く練習 “5~10枚小説”を書く」も併せてご覧ください。

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらで↓
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

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