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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

キャラクター・構成

ちよだ文学賞の冊子

カツベン!

シナリオ・センター代表の小林です。もう12月です。師が走る師走です。12月は23日で2019年の授業は終了し、事務局も24日には大掃除をして終わりなので、12月の仕事日の短さに事務局全員、走らなければなりません。それでも冬休みを長くとろうと思えば頑張れるというものです。(笑)
11月30日の朝日新聞夕刊のトップは、「カツベン 映画 熱弁」でした。
無声映画のライブ感が人気で新たな若いファンが増えているとのお話でした。
折しも周防正行監督の「カツベン!」が12月13日公開するにあたり、とてもいい宣伝にもなる特集でした。(笑)
周防監督には、12月20日(金)にシナリオ・センターのミソ帳倶楽部においでいただいて、映画「カツベン!」のお話をたっぷりとお聴かせいただくことになっています。(こちらも即日満員御礼、キャンセル待ち状態です)
私は、過日試写を見せていただいたのですが、試写も満員御礼で補助椅子、それもバーにあるような高い椅子で見なければならず、「いや~まいったなぁ」と足をぶらぶらさせながら拝見し始めたのですが、足がつかないのも、お尻の痛いのも忘れてすっぽり大正時代の無声映画にはまりました。
無声映画というのは、ある意味、ライブで、映画を見ながら楽団が音楽を入れ、弁士が、これぞとばかり話芸を見せていく、今の映画とは全く違ったものという感じのものです。
この「カツベン!」の弁士になる成田凌さんを指導されたのは、過日、林海象監督ご一緒においでいただき、カツベンを聞かせていただいた坂本頼光さん。坂本さんのライブはいつも中年から若年層まで幅広いファンで満員だそうです。
ミソ帳倶楽部は、満員ですが映画「カツベン!」12月13日公開です。見てください。

 

ちよだ文学賞

東京・千代田区が主催している「ちよだ文学賞」第14回目に、惜しくもちよだ文学賞は逃されましたが、最終の5編に残りました。
作家集団の島岡吉郎さんの「父の償い」
残念ながら、ちよだ文学賞を逃されたのに、島岡さんがとても喜んでいらっしゃることがあります。それは同じ最終5編に、あの脚本家の中島丈博さんが「猫の湯たんぽ」という作品で残られ、同じちよだ文学賞の冊子に並んで掲載されていることがとても嬉しいと。
いやいや、島岡さんには、中島さんの作品を越えていたと思います。
中島さんの作品は、六番町に住んでいた小説家内田百閒さんの「ノラや」をオマージュしたような作品でした。
島岡さんの作品は、突然死したお父さんの秘密を追っていくという話で、
選考委員の逢坂剛さんは「文章はきちんとしており、物語の展開もテンポがよくて、先がどうなるのかと、期待させるテクニックもある。(略)
恋人千鶴がよく描けていて父の秘密を追いかける過程での緊張をうまく中和している。ストーリーテーリング、キャラクター創造の二点で、十分水準を超える作品だ」
同じく唯川恵さんは「物語として読み手を引っ張っていく力がある。ミステリー的要素が含まれ、辻褄合わせもよくできていて、読み進めるにつれ期待感が募っていく。構成の巧さは候補作一番だと思う。(略)」
角田光代さんは「ある母子が、亡き父とどういう関係だったのかを語り手の慎吾がさぐっていくストーリーには大変引き込まれた。(略)」

私が、なぜ選評を載せたかのかというと、もちろんこの選評の略の部分には、文学書を逃された理由、25歳の主人公なのに十分経験を積んだ作者の視点が出てしまうとか、登場人物の男性が夢追い人ばかりだとか指摘もされてもいるのですが、シナリオ・センターで口を酸っぱく言っているキャラクター、構成に対してどの方もとても褒めて下さっているからです。
島岡さんの基本の力は十分お持ちだということ、それは技術に培われた展開ができているということなのです。
作家の視点については、感性ですから読み手によって感じ方が違うので仕方がないことだと思います。
島岡さんの作品は、とても読み応えのある、次の展開へと引っ張りこむ、期待感満載の力の強い作品でした。
次作に取り組まれるときは、技術には自信をもって書いていただきたいです。
おめでとうございます。

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