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小説の 長編と短編を書く 際の心得

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
「小説書きたいけど全然進まない…」とお悩みのかた。いま取り組んでいるのは長編小説ですか?それとも短編小説ですか?柏田講師は、長編を書くときと短編を書くときの心得はちょっと違うと言います。普段あんまり、“心得”については考えないですよね。そこで今回は村上春樹さんのエッセイを引用しながら長編と短編を書く際の心得を柏田流に解説。ちょっと一緒に考えてみましょう。

なぜ、短編なのか?

小説修行の段階として、ショートショートからもう少し枚数を増やして短編小説へと進む。短編といっても、本当に短い400字詰め原稿用紙20~30枚程度から、もう少しボリュームのある80~100枚くらいのものもあって、当然題材や取り組み方も違ってきます。まずは短めの30枚くらいを目安に始めてみましょう。

小説に限らず創作は、何を書くか? どのようなテーマなり世界を追求するか? 題材やジャンルとして何を選ぶか? といったことは、当たり前ですが、個々の書き手の問題です。

あなたが「これを書きたいんだ!」と思うものを書きましょう。ただし、ここで追求したいのは、読者を獲得できるか? つまり読んでもらうに値する小説を書けるか? ということ。

で、これは短編・長編に限らないのですが、まずは短編でそれを目標としましょう。そのためには、大前提として「読みやすい文章」であること。さらに読者に何かを与える、それが「感動した!」「おもしろかった!」なら文句なし。少なくとも「読んでよかった」と思わせることを目指したい。

なぜ、短編なのか? 

実際にプロ作家になるには、長編の方が近道です。長編が書けるという自信をおもちならば、短編をすっ飛ばして長編小説を完成させてコンクールなどに挑戦しましょう。それが“読んでもらうに値する”小説ならば受賞となって、作家デビューに直結します。

コンクールでなくても、何らかの方法で出版社や編集者に認められて、世に出ることもあります。そこから読者を獲得できれば、その後も作家として書き続けることができます。

短編小説は数日かければできあがる……?

ただ長編は短編に比べると、はるかにエネルギーがいります。これに関して、日本だけでなく世界中に読者を獲得している作家村上春樹は、『若い読者のための短編小説案内』(文春文庫)の冒頭で、「僕にとっての短編小説」というエッセイを書いています。

ご存じように村上春樹は、いくつかの短編も書いていますが、長編が出版と同時にベストセラーになる書き手です。ご自身も“基本的には長編小説作家であると見なしています。”とのこと。

数年に1冊のペースで長編小説を書き、ときどきまとめて短編小説、さらにエッセイや雑文や旅行記のようなものを書き、合間に翻訳をやる。どの仕事も、“文章を書くという作業に携わっていることが、僕は好きなのです。”

この感覚、気持ちは私もまったく同じなのですが、大きく違うのは、それで世界中に読者を獲得しているのですから、うらやましい限り。

ともかく村上さんは、

“しかし現実問題として、長編小説を一冊書き上げるにはずいぶん長い時間がかかりますし、多大のエネルギーが必要とされます。それなりの準備も必要だし、覚悟も必要です。”

で、村上さんは

“だからだいたい3年に長編を1冊書くことが、僕としては精一杯なのです。”

これに対して文章はこう続きます。

“それに比べると、短編小説を書くことは多くの場合、純粋な個人的楽しみに近いのです。とくに準備もいらないし、覚悟みたいな大げさなものも不要です。アイデアひとつ、風景ひとつ、あるいは台詞の一行が頭に浮かぶと、それを抱えて机の前に座り、物語を書き始めます。”

村上さんはこうして短編小説を書き始めて、

“すべては数日のうちに終わってしまいます。数日かければひとつの物語はできあがります。”

とのこと。

これはもちろん、村上春樹がプロの小説家だからですし、「短編小説なんて簡単に書けるんだ」と言っているわけでない、と前提を述べた上ですが。ともあれ、長編と短編を書く際の取り組み方、心得はその通りかなと思います。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2018年4月号)より
次回は12月7日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらで↓
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

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