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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

『 チャンネルはそのまま! 』に学ぶ/落ちこぼれ主人公の描き方

アニメや漫画にはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えは話題のアニメや漫画にある!シナリオ・センターでマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
落ちこぼれの主人公が活躍する物語を書くとしたらどうしますか?描き方を一歩間違うと、視聴者や読者はイライラして主人公のことを好きになってくれない。でも例えば「普段は落ちこぼれだけど実は特殊能力が!」としたらどこかで聞いたことがあるような内容になってしまうかも…。今回ご紹介するマンガ『チャンネルはそのまま!』の主人公は、落ちこぼれすぎるが故に同僚達の潜在能力を開花させてしまいます↓

マンガ『チャンネルはそのまま!』(小学館)/佐々木倫子

注目ポイントはキャラクター
謎の採用枠「バカ枠」でTV局に入社した新人記者・雪丸花子。視聴者をも釘付けにするバカぶりが同僚達の潜在能力を開花させる。成長も変化もしないバカの神髄がここに!

無自覚なのに存在だけで影響を与えてしまう人間

高校にMさんという謎の先輩がいた。制服のない学校なのにいつも学生服で、ひどくおっさんくさかった。3年生が彼に敬語を使っていたし、授業時間中に校庭を歩いていたりしたので、もしかしたら卒業生なのかもしれない。いつも1人でふら~っと部室や生徒会室に現れ、またふら~っと去っていった。

一丁前に理想や未来を熱く語る生意気で青くさい集団の中で、Mさんはひとり飄々と、全く違う次元にいるような「ただ者じゃない」感があり、その言動から目が離せなかった。Mさんを見ていると、自分がただのつまらない良い子の優等生に思えた。

世の中には、本人は無自覚なのにその存在だけで一方的に人に影響を与えてしまう人間がいる。この作品の主人公・花子もそうだ。

「バカ枠」「プチプチ」「優秀なその他」という理想的な人間関係のリアリティ

花子には高い理想や目的意識はない。ただ目の前の仕事をやりとげようとするだけなのだが、あまりにおバカで、かつ行動力があるのでどんどん状況は悪化する。結局、「優秀だけど小さくまとまっている」周囲の人間達が彼女をフォローするしかなく、おかげで意外な潜在能力を開花させていく。

とにかく花子のキャラクターが秀逸だ。フツー「落ちこぼれ」の主人公が活躍するドラマだと「根性」「信念」「情熱」あるいは「特殊能力」とか分かりやすい憧れ性をつけたくなるが花子にはない。とにかく無自覚である。自分に対しても仕事に対しても周囲に対しても。

だからやることなすこと全てが周囲の人間にとって想定外。結果的に周囲のフォローで結果オーライとなるので、最初から最後まで花子の会社での立ち位置は変わらず「バカ」である。

さらにこの作品がすごいのは「優秀な人材だけでは組織は硬直化する。バカは失敗を恐れないから大化けすればエースストライカーになりうる」と、花子を意図的に採用したという腹をくくった設定である。

偶然受かったとか、コネ入社とかそういうのとは段違いの説得力だ。しかもクッション役としてバカ係「プチプチ」まで配してある。このとぼけた突き抜け感とそれを支えるリアリティ、ぜひ盗んでください。

さて。Mさんを次に見たのは20年後、テレビの中だった。酔っぱらいの会社員の一人芝居をしていた。イッセー尾形という名前になっていたけど、一目でMさんだと分かった。強烈な存在感を放ちながら、やはり飄々と1人だった。

さっき偶然テレビをつけたらMさんが高校時代の思い出を喋っていた。自由な良い学校で大きな影響を受けたと言っていた。私も同じだ。そしてそれは「いつまでも人の陰にいるな」と言ってくれた同級生や先生やMさんのおかげだ。

出典: 仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2009年7月号)より

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!
今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

次回は12月10日に更新予定

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