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読書は 小説を書くため の“筆力”を高める

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
このコラムでは何度も「作家になりたいなら小説を読んでください」と皆さんに呼びかけています。なぜなら、小説を書くための“筆力”を高めてほしいから。では、筆力とはなんでしょうか?柏田講師は筆力と文章力という言葉を使い分けています。今回は、柏田講師が考える筆力と文章力の違いについてお伝えした上で、筆力を構成する“要素”についてお話しします。

「文章力」は当たり前で「筆力」が必要

作家志望者が作家になるために不可欠な、効果的な読書の方法について述べてきました。
 
読書をする際、一般読者のように楽しみながらも、作家志望者ならば、プロ作家のテクニックや文章を吸収する、学ぶ(盗む)つもりで読むべきだというのが私の主張です。そのために臨機応変に、「熟読」や「精読」を、さらには「音読」や「書き写し」も時にはやってみましょう。そうした勉強法で皆さんの、小説を書くための「筆力」を高めてほしい。
 
ところで、もうひとつ「文章力」という言い方があって、このコラムでも何度も、“小説を成立させるためには、読者を立ち止まらせない文章が書けることは、最低限の条件です”といった意味のことを強調してきました。
 
あくまでも個人的な見解ですが、私はこの「文章力」と「筆力」を区別して使うようにしています。例えば、新人の小説を読み「あなたはそれなりに通用する文章力はお持ちですが、まだ小説としての筆力は足りません」というような。
 
まず「文章力」ですが、その人がそもそもから持っている資質もありますが、訓練によって身につけることはできます。それこそ、小説に限らず、ネットであろうと、メールや手紙、仕事で提出しなくてはいけない報告書、レポートといった文章であっても、たくさん書くことで、文章力はアップします。
 
仕事で、内容が伝わらない、意味不明な報告書を出していたら、上司から書き直しを命令されるでしょう。そこでどう書けば、他人が読んで伝わる文章になるだろう、と試行錯誤するはず。ネットやブログでも同じでしょう。

“筆力”の要素

小説の場合も、まずはスラスラと読める文章であることは最低限の作家としての心得です。それだけでなく、優れた小説とするためには、読者をその物語世界に導いて、人物の心情と重ねたり、情景(映像)として見えてくるように書けなくては、プロの小説として認知されません。

つまり単に「文章力」だけでなく、小説として通用する文章、書き方、おもしろさを含めての総合的な力こそが「筆力」です。

優れた書き手による小説を読んでいると、いつの間にか主人公の心情に自分を重ねたり、人物が見ている情景を思い浮かべたりしています。さらにはドキドキしたり、心揺さぶられたりしつつ、ここから先は「どうなるのだろう?」とか、「まさか!」「そうだったのか!?」といった驚きを得たり、深い感動を覚えたりします。

これが小説を読む(物語の)醍醐味と言っていい。作者は読者にこれを与えたくて小説を書く(物語を創る)のです。より多くの読者にこの醍醐味を与えられる書き手こそが、「筆力」を有していることになります。

すなわち通用する「文章力」をベースにしつつ、おもしろく展開できるテクニックを駆使できて、ようやく通用する「筆力」となるわけです。あえてその要素をあげると、

・そもそものアイデア
・題材や設定の新しさ、珍しさ、切り口など
・テーマの据え方、伝わり方
・登場人物の魅力、立体性
・構成の巧みさ
・的確な文章力・文体(読みやすさ+描写力)
・などを展開させる総合的なテクニック

まずこれらを得るために「読書」が必要になるわけです。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2016年11月号)より
次回は10月5日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらで↓
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

 

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