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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

『とりかえ・ばや』に学ぶ/ 読者を夢中 にさせる物語とは

アニメや漫画にはシナリオ創作に役立つヒントが満載。魅力的なキャラクターとはどんなものなのか。設定だけで面白いと思わせるにはどうしたらいいのか。その答えは話題のアニメや漫画にある!シナリオ・センターでマンガ原作講座やSFファンタジー講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回取り上げる『とりかえ・ばや』は平安時代末期・作者不詳の『とりかへばや物語』を漫画化した作品。“とりかへばや”とは「とりかえたいなぁ」という意味。男らしい姫君と女らしい若君。姫君は若君として、若君は姫君として育てられ、その“とりかえた性別”で宮中に出仕することに。もうこれだけ「2人はこの後どうなっちゃうの?」と引き込まれますよね。 どんな構成・展開ならば、読者・観客を魅了できるのか。ぜひ創作する際の参考に。

マンガ『とりかえ・ばや』(小学館)/さいとうちほ

注目ポイントはキャラクターと構成
秘密と嘘で引き込む展開に注目。男らしい姫君と女らしい若君。それならいっそ、お互いの性別をとりかえてしまおうか。やがて宮中に出仕する二人にさまざまな運命のいたずらが降りかかる。

いつの時代にもある、性別にとらわれた格差

若い女友だちが以前いた会社のことを話してくれた。企画部なのに企画の仕事はさせてもらえず男性社員の補佐ばかり。自ら発案した企画でも会議で発言は許されず、仕事は議事録をまとめること。

上司に直訴したら「女がしゃしゃり出ると男の士気が下がる」と一蹴されたそうな。なんと意識の低い上司か。星一徹ならちゃぶ台100個ひっくり返すところだ。しかし現代でも性別にとらわれた格差は珍しくないと聞く。なんだかなー。

ということで今月は個人の特質と性別による社会的役割との差異を描いた男女逆転物語。原作は平安時代の古典。男女とも出生時に人生がほぼ決まってしまう時代に誕生した「変態で異端」(もちろん褒め言葉だ)な物語だ。

自分の存在が「不安定」という強烈なカセ

時は平安時代。権大納言藤原丸光の2人の妻が、同じ日に玉のように美しい女と男の赤ちゃんを産んだ。

「沙羅双樹の姫君」「睡蓮の若君」と名付けられた2人だが成長するにつれ沙羅姫は男童たちと泥だらけで走りまわる活発な子に、睡蓮は男を怖がり屋敷内で人形遊びする内気な子に育っていた。

やがて沙羅の抜きん出た容姿や才能の噂は帝にまで届き、沙羅姫は男として宮中にあがることとなる。「2人の性別が入れ替わればいいのに」と嘆く丸光をよそに希望に胸ふくらむ沙羅姫は、たちどころに帝のお気に入りとなり、周囲から一目置かれる存在となる。

だがある日気付く。「ここに男装の女子はいない。自分ひとりだけなのだ」。ここから沙羅姫の葛藤がはじまる。

一方、女性として暮らしている若君・睡蓮には女東宮の内侍として仕える話が舞い込む。「沙羅にだけ辛い思いをさせるわけにはいかない」と、苦渋の決断で女性として内侍となる決意をする睡蓮。

こうして2人は大きな秘密と嘘を抱えたまま「自分らしく」生きるために様々な試練に立ち向かっていく。

だが仕事も恋も生き方も、性別による役割や「こうあるべき」が明確に規定されるこの世界で、本来の性を偽って自分らしく生きることはとても苦しい。正体を暴露しようとする敵には知略を持って対応すれば(それはそれで大変だが)すむ。だが好意や恋心を抱いている相手には罪悪感と葛藤しかない。

物語後半、2人が恋をする局面でそれはさらに顕著になる。男でも女でもない自分とは一体何者なのか。社会的な役割としての性と本来の性が違っていてはいけないのか。2人の心は常にこの不安定な緊張感に満ちている。

だからちょっとした出来事でも「もしや秘密がばれるのでは?」とハラハラするし、大切な人を裏切らねばならぬ局面では自分のことのように胸が痛む。物語はすでに完結。ぜひ第1巻からの一気読みを。

出典: 仲村みなみ著『サブカル総合研究所~マンガとアニメと、ときどきラノベ~』(月刊シナリオ教室2018年5月号)より

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください

※【要ブックマーク】漫画やアニメには創作のヒントがいっぱい!
今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「漫画・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

次回は10月8日に更新予定

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