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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

映画もドラマも小説もすべてキャラクターの魅力が問われる

いちごの唄(朝日新聞出版刊行)

いちごの唄

シナリオセンター代表の小林です。サマーセミナーが終わって、無事に誰一人具合も悪くならず、最後まで乗り切ってくれて、本当に嬉しく、同時にホッとしました。
ホッとするといけません、そのままズルズル気力が萎えます。 歳のせいにするようになったらお終いだと思うけれど、情けないことに年々そうなります。
そこで、映画を観に行きました。
こういうときは、元気が出る映画、癒してくれる映画がいいなあと思いました。
「いちごの唄」岡田惠和さんのオリジナルです。>>https://amzn.to/2O67NyC

 昨年、ロックシンガーの峯田和伸さんと映画と同名の小説を出されました。
峯田さんのバンド銀杏BOYZの「漂流教室」「東京」「愛しているってゆってよね」「ぽあだむ」「銀河鉄道の夜」「もしも君が泣くならば」「恋は永遠」の7曲を1つのストーリーにした「いちごの唄」(朝日新聞出版刊行)
岡田さんが小説書いて、峯田さんがイラストを描かれています。
この「いちごの唄」が映画になったので、出かけました。

中学生2年生の時、「いちご園」という養護施設で育った伸二君をという友達を失ってしまったふたりの物語です。
恋人同士ではありません。男の子笹沢コウタ君にとっては憧れの「天の川の女神あーちゃん」天野千日(ちか)ちゃんとのおはなし。
田舎で育った二人が、ある日、大事な友人伸二君の命日、7月7日七夕の日に東京・高円寺でばったり出会います。
その奇跡に驚きながら、7月7日に1年1回の逢瀬が始まります。
とはいっても、美味しくないラーメン屋でラーメン食べて、環七を歩いて、コウタ君の一方的なおしゃべり…自分の会社の冷凍食品がいかに美味しいか(ちなみにコウタ君は冷凍食品の工場で働いています)とか工場のおばさんたちやブラジル人の同僚とのエピソードとかボロボロのアパートの自室でパンクなお姉さんに突然童貞を奪われたとか…そんなたわいもない話なのですが、あーちゃんは楽しそうにいつも笑いながら聞いてくれます。 そして、橋のところであーちゃんは野方に、コウタ君は中野坂上に別れるというだけの・・・七夕の逢瀬。
それでもコウタ君は、1年間七夕の日を待ちに待ち続けます。
3回目の逢瀬の時にもう会わないとあーちゃんに言われて落ち込むコウタ君。あーちゃんを求めて田舎の同窓会へでてみるのですが・・・。

悲しいこと寂しいこと苦しいことがいっぱいあるのだけれど、その中であがきながら、色々な人の優しさに包まれて過去から解き放たれていく二人の姿に泣けてきます。
疲れた体と心がゆるゆるとほどけていきます。
気持ちのいい、岡田さんらしい原作であり、映画でした。
最近のこの閉塞感、息苦しいなあと思ったら、この映画を観てください。深呼吸できます。そして、選挙に行きましょう。

登場人物

岡田さんは、NHK(ラジオ)で隔週日曜日の夕方「岡田惠和 今宵ロックバーで」というゲストの好きな曲をかけながらおしゃべりする番組をやっていらっしゃいます。
一番好きなのは音楽とおっしゃる岡田さんが峯田さんとの出会いで、また楽しいことをみつけられたような気がします。
岡田さんは、本当はロッカーになりたかったのかなあと時々勝手に思っています。 「ロックだぜ」とか「ファンキーだね」って、セリフお好きですよね。(笑)
それにしても、岡田ドラマに登場する人たちは、誰一人無駄な人がいません。どの人も大事なキャラクターでそこにいなければならない人です。
ストーリーの都合で動いたり、急にいなくなったり、その場だけで終わったりということがありません。
登場人物の10人いれば、10人のキャラクターがあります。そして、登場人物の名前も大事です。
「いちごの唄」では名前がドラマを大きく動かします。
登場人物は必要だから出てくるのです。そのことを案外考えていなくて、ご都合だけで動かすドラマが多いですね。
岡田ドラマをご覧になってみてください。
キャラクターとはどういうものなのか、登場人物とはどういうものなのか、おわかりになるかと思います。
なので・・・この夏は岡田ドラマで学びましょう。
映画「いちごの唄」、7月26日からはテレビ朝日金曜ナイトドラマ「セミオトコ」金曜日23:15~、8月4日からはWOWOW「そして生きる」日曜日22:00~、すべて岡田惠和さんのオリジナルです。
楽しみながら学んでください。

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