menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

過去未来

団塊のぴあニスイト ハヤシくん(講談社エディトリアル刊)

文明

シナリオ・センター代表の小林です。今週末も連休となりますが、今週末もどうも台風で大雨の恐れとか。先週末今週末と日本列島は大荒れの様相です。
どこをどう通るのかにもよりますが、どうぞ先週の被災地はよけてほしいと・・・。
パキスタンの洪水は国土1/3を覆い、それは温暖化を招いた先進国のつけを回されたのだという記事を読んで、今こそ、地球規模でお互いを助け合わないといけないのではと思いました。
とはいえ、今やどの国も自国のことばかり考える傾向になって来ています。
誰かを助けることは自分を助けることに繋がるという考えはないようです。
「貧すれば鈍する」という諺があります。
「どんなに才能や人望がある人でも、貧乏になると馬鹿になり愚かな行動をする人になり得る」という意味ですが、どの国もこんな状態な気がします。
四大文明といわれるエジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明の三つが滅びたのは、農耕の発展などによって無秩序に森林を伐採したりして、エネルギーなどの枯渇を招いたからといわれています。
現在の状況も同じように思えます。
環境破壊によって気候変動が起こり、近隣との諍いが起こり、世界中が瀕死の状態ではないでしょうか。
四大文明のうち生き残った黄河文明は石炭を発掘したからだそうですが、ところが石炭は今や破壊要因になり、太陽光や風力など再生可能エネルギーに変わらなくてはなりません。
原発は、石炭が辿っている道と同じく、いやそれよりも悪く、後始末もできない代物ですから次の文明を破壊することでしょう。
世界中が、過去から学んで「貧にして楽しむ」方向に舵を取って欲しいです。
私たちは、知恵を持っています。
貧しくてもそれなりに楽しみをもって生活をしていけるのです。
宮沢賢治の「アメニモマケズ」のように、欲を持たずに学問などに楽しみを見出して生活をするという前向きな方向に進んでいきたいです。

団塊のぴあニスイト ハヤシくん

出身の林和男さんがご自分とご自分が創業した映画情報誌「ぴあ」の歴史を描いたエッセイ「団塊のぴあニスイト ハヤシくん」(講談社エディトリアル刊)を出版されました。
林さんは、映画青年なら誰もが小脇に抱えたあの映画情報誌「ぴあ」創業者の一人であり、編集長だった方です。

読ませていただいて、初めて知ったのですが、同い年でした。
「だからどうなの?」といわれそうだけれど、だから、彼が書いていることはすべて腑に落ちるのです。
ジーンとくるのです。
やっていることは違うけれど、見た映画も聞いた音楽も、経験した社会も知っている。同世代、同時代を生きるというのはこういうことかと思いました。
私の青春時代の感慨(笑)は別として、この「ぴあ」とともに過ごしたハヤシくんの足跡は、映画の歴史でもあります。

この時代の映画が、今の映画を育てたといっても過言ではありません。
なので、私は若い方にこの本を読んでもらいたい。
「ぴあ」世代ではない、「ぴあ」という情報誌を知らない若い人で、シナリオを志している人、監督を志している人、映画が好きな人に。
なぜなら、過去から学ぶものの大きさを知ってもらいたいからです。
ハヤシくんが見た映画を皆さんにも見てほしいです。

「ぴあ」という映画情報誌なくして、映画館へは通えなかった時代でした。
シナリオ・センターは、ずーっと「ぴあ」に講座の広告を出していました。
「ぴあ」全盛は、映画青年たちの全盛でもあり、「ぴあ」の広告を見て、シナリオライターになりたい、監督になりたいという方々が受講してくれました。
ハヤシ君もそのひとりで、その時彼は映画監督を目指して、構成台本を書かれていらした。
「台本を書くという仕事を通じて、それがテレビであれ映画であれ、良い台本、映画でいえば良いシナリオを書けるということが、作品の優劣を高い比重で左右することを学んだ。(略)
シナリオの重要性を認識した結果、あくまで未定の予定でしかないが、のちに映画監督になるための一つのプロセスとして、シナリオの書ける映画監督になるためにシナリオ・センターに通うようになるきっかけが生まれた。」と書いていらっしゃいます。
この時のハヤシくんのゼミ担当講師今村は現在93歳、勇退されていますが、この本をきっかけにハヤシくんは今村講師に再会を果たし、昔の仲間とも連絡をとられたようです。過去は未来へと繋がるのです。

「ぴあ」という映画情報誌は、インターネットの出現により2011年その生涯を静かに閉じましたが、その功績はとても大きいものでした。
この本の中には、映画とともにその時代の音楽の詞も載せています。
うまい構成ですよね、「映画と音楽」はまさに思い出を呼び起こす「起爆剤」ですから。
終章を飾っているのは加山雄三さんの「旅人よ」(1966)でした。
ハヤシくんがなぜこの曲を選んだか・・・奇しくも加山さんも今年現役を引退されます。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ