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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

柏田道夫おすすめ 映画『 運び屋 』を楽しむ 見どころ

脚本家でもあり小説家でもあるシナリオ・センターの柏田道夫講師が、公開されている最新映画を中心に、DVDで観られる名作や話題作について、いわゆる感想レビューではなく、作劇法のポイントに焦点を当てて語ります。脚本家・演出家などクリエーター志望者は大いに参考にしてください。

柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その5
『運び屋』一人旅型ロードムービーの最終目的地

巨匠という名に相応しい映画人となったクリント・イーストウッドの新作。ここのところは監督業に徹していたのですが、久しぶりの主演・監督です。脚本はかの名作『グラン・トリノ』でコンビを組んだニック・シェンク。なるほど人物造型やテーマ性だったりに共通点が見られます。

実在した80歳のコカインの運び屋をモデルに、(すっかりジジイとなった)イーストウッド自身が、家族にそっぽを向かれ(自業自得なのですが)孤独な運び屋アールを演じています。ちなみにこの映画も「回想」が1カ所もありません。

さて前回は、相反する2人に旅をさせる典型的な「バディロードムービー」の『グリーンブック』について紹介しました。

その際〝一人旅は単調になりがちなので、旅の同行者バディ(相棒)を加えることが多い。と書きましたが、そもそもの「ロードムービー」は「一人旅」というカタチをとります。

主人公が何らかの理由なり目的があって、旅を始める、もしくはしている。その途中途中でトラブルに巻き込まれたり、人と出会ったり別れたりして変化(成長)していく。何らかの最終地点で旅が終わって、物語も終わる。

一人旅型の名作は、古くは傑作反戦映画『誓いの休暇』や、そういえばそうだの『マッドマックス』1と2、ヴィム・ベンダーズの代表作『パリ、テキサス』、アメリカンニューシネマの異色作『バニシング・ポイント』、ペキンパーはやっぱりたまらん!の『ガルシアの首』。

近年でも、ノンフィクションをショーン・ペンが映画化した『イン・トゥ・ザ・ワイルド』、チェ・ゲバラの若き日の旅を描いた(途中までバディですが)『モーターサイクル・ダイヤリーズ』、雑誌の地味な写真管理編集者が世界中を旅する『LIFE!』、旅する人と待つ人の思いが味わい深いウォン・カーウァイの『マイ・ブルーベリー・ナイツ』などなど。

イーストウッドも『ブロンコビリー』(旅の劇団チーム)や、『センチメンタル・アドベンチャー』(甥がバディ)、『パーフェクト・ワールド』(逃亡犯と少年の旅)など、旅人を演じたりそうした映画を作ることが多かった。

さて、今回の一人旅の『運び屋』ですが、少し変わった構成になっています。
通常「ロードムービー」はシンプルに、長いひとつの旅を描くことが多いのですが、今回はたまたまコカインの運び屋になってしまう初回の旅から、何回かの旅を繰り返すという構造になっています。

この運び屋アールの旅を中央の線として、麻薬組織を摘発しようとするベイツ捜査官(ブラッドリー・クーパー)のDEA(麻薬取締局)側、麻薬カルテルのボス(アンディ・ガルシア)側、そして、アールが〝本当に帰りたいと願う〟真の目的地、妻がいる家族の物語が交差していく。

で、本作で見てほしいのは、この最終到達地点としての〝家族〟のところ。
散々な目に遭わされてきた夫に対して、愛を失っていない妻メアリー(ダイアン・ウィースト)のセリフ、「あなたはずっと外に生きてきた。あなたは家から外に帰っていく。そばに居てくれることが何より嬉しい」

「旅もの」が名作になり得る要素はいろいろですが、結局「人生は長い旅なのだ」と喩えられるように、主人公の人生と重なるからでしょう。

『運び屋』は悪事に荷担する物語でありながら、〝家族〟を最終目的地と据えたことで、しみじみと(けれども幾分苦い)感動を与えてくれるのだと思います。

※You Tube
ワーナー ブラザース 公式チャンネル
映画『運び屋』特報【HD】2019年3月8日(金)公開より

柏田道夫の「映画のここを見ろ!」その6
『僕たちのラストステージ』一代記とバディものの切り取り方

今回取り上げる映画は、地味に公開されている『僕たちのラストステージ』です。
邦題の〝僕たちの〟とついているのが軽くて違和感がありますが、原題は『Stan&Ollie』で、これは実在したお笑いコンビのスタン・ローレルとオリバー・ハーディを差しているから。

確かにこの原題のままでは、どんな映画かも分からないし、このコンビはもっぱら〝極楽コンビ・ローレル&ハーディ〟として一世を風靡したとか。

監督は悪徳警官の奮闘ぶりを描いた『フィルス』のジョン・S・ベアード。脚本は『あなたを抱きしめる日まで』(これはよく出来た感動作でした)のジェフ・ホープ。

20世紀前半、映画のサイレントからトーキーの時代に、コンビだった17年間で、実に長・短編映画あわせて108本も出演作があったそうです。

実は私もこのコンビについては知りませんでした。
映画の中でキートンやチャップリンの名前が出たり、二人が旅先で〝アボット&コステロ〟の主演映画のポスターを見るシーンがありました。こちらの名前なら私も知ってましたし、彼らの出ていたモノクロ映画も観ています。

それはともかく、今回のここを見ろ!のポイントはまさにバディ(相棒)もの造りと、どこを切り取って描くか?という構成の部分です。

前回は「旅もの(ロードムービー)」としての基本型の『運び屋』、そして前々回は「バディ(相棒)ロードムービー」の教科書的な『グリーンブック』を取り上げましたが、本作も構造としては「バディロードムービー」です。

【起】でハリウッドでのローレル(ステーブ・クーガン)とハーディ(ジョン・C・ライリー)の羽振りのいい全盛時代ぶりを振っておいて、【承】で一気に落ち目になった晩年に時間経過します。

二人はイギリス各地を巡業する旅に出るので、ロードムービー的な作りになるのですが、それよりもバディ(相棒)としての対立・葛藤を掘り下げて、テーマとしての「真の友情」を描いています。

こうした実在した人物の一代記ものは、どこを切り取って描くか?で構成が決まります。

大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』は、クィーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーを主人公に据えて、彼がバンドに加わるところから死ぬまでのほぼ人生を丸ごと追いかけていました。それはそれで一代記ものの作り方のひとつです。

でも『僕たちのラストステージ』は、コンビの晩年をクローズアップし、それもタイトルにあるラストステージに向っていく物語としています。2人の友情だったり、すれ違いに加えて、二人の相容れない妻たちも中盤から放り込んでドラマを濃くさせている。

もうひとつ、コンビが演じるコントやステージシーンの造りにも注目。
〝漫才師ネタ〟というのがあって(又吉直樹さんの『火花』のような)、シナリオコンクールとかでも、ちょくちょくお目にかかります。

これらに見られる顕著な欠点こそ、人物たちが披露する漫才ネタや芸がつまらない、というのがあります。シナリオとしておもしろく描くのは確かに難しいのですが、でもそれを感じさせてくれないと、まさに「絵に描いた餅」になってしまう。

この映画の〝ローレル&ハーディ〟のネタは、今見るとけっして新しくないのですが、それでもおかしさなりアイロニーとして伝わります。

これをある程度しっかり見せた上での、まさにクライマックスのラストステージが感動を導きます。

※You Tube
シネマトゥデイ
ローレル&ハーディの実話!映画『僕たちのラストステージ』予告編

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