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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

コンクール

NHK銀の雫文芸賞2018冊子

他人の話を聴け♪

シナリオ・センター代表の小林です。シナリオS1グランプリの授賞式と共にコンクールのための公開講座を毎回開催していますが、今回はもはや100名以上の方が出席という満員御礼の状態になりました。ありがとうございます。
シナリオや小説等など様々なコンクールでの入選のほとんどをシナリオ・センターの受講生の方々が受賞されているという実績からでしょうか、コンクール講座は超人気です。
多くの方々がやる気満々でいらっしゃることはとてもうれしいことです。
公開講座は、シナリオS1グランプリの審査員でもある浅田講師が講義をしますが、公募のテクニックを聴いたからといって入選するわけではありません。
浅田の話ををちゃんと咀嚼されて、どのようにご自分の作品に反映させるかです。
どこかの首相ではないですが、他人の話は聞かない、勝手に曲解して驚くようなことを平気で話す・・・いわゆる「ご飯論法」的な人が増えています。
でも、シナリオライターの適正として一番大事なことは「他人の話を聞く」ことです。
ドラマには、色々な登場人物がでてくるのですから。
人間はすべての人が皆違う、誰一人同じ人はいないわけで、昨日も湊かなえさんのお話しを書きましたが、人は様々です。
反対の人の意見も、180度違う考えもあれば、同じようでちょっと違う、同じ反対でも理由が違うなど・・・そういうところまでしっかりと理解してこそ、登場人物が生きてくるのです。
コンクール入選の秘訣は、どれだけ人間がいきいきと描かれているかです。

銀の雫

団塊世代の人間をイキイキ描かれて作家集団の浅川徳義さんが、「NHK銀の雫文芸賞2018」で最優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。
最優秀賞「最後の最期の一人になるために」作家集団の浅川徳義さん
団塊の年代の要蔵を主人公に、妻の頼子、友人の健さん、奥さんのお母さん(要蔵の義母)、息子信一の5人が登場します。
団塊世代の要蔵、頼子、健さんは行く末を考えては溜息、すると義母に、3年前にでていった息子信一からお金を貸してほしいと電話が入る。オレオレ詐欺なのか、本当に信一なのかわからないまま、それぞれが複雑な思いを胸に指定された駅前に向かうと・・・。
それぞれのキャラクターが見事に描かれていて、団塊世代の男の気持ち、女の気持ちとの違い、「終わった人」かどうか男同士でも微妙に違う将来への展望。
団塊世代の迷い悩みを見事に描いた小説は、NHKFMシアターで、ラジオドラマになりました。
10月27日「最後の1人になるために」というタイトルで脚本家小松與志子さんの脚色、小野武彦さん主演で放送され、好評を得ました。
私としては浅川さんに書かしていただきたかったのですけれど。

この「銀の雫文芸賞」は、1988年、戦争ですべてを奪われ、極貧の暮らしの中で描くことだけを生きがいに91年の生涯を生き抜かれた作家雫石とみさんの申し出から始まりました。
雫石さんは「自分のように文筆活動を志す人々の励ましに役に立ててほしい」と2000万円を寄付し、運営基金を作りました。
残念ながら31年間の活動は、今年をもって終了となります。
こうした文化芸術への後押しは、予算云々でやめてほしくないと思います。つまらないところに助成金を出すくらいなら、こういうところにつぎ込んで欲しいと心から思うのですが・・・。

実は、1988年の第1回目の最優秀賞の井口勢津子さんは、シナリオ・センターの受講生でいらっしゃいます。当時センター中で大喜びしたものです。
これもご縁。
「銀の雫文芸賞」最初と最後にシナリオ・センターの方が受賞されている、縁というのは面白いものですね。

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