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小説を書くとき 三人称一視点を勧める理由

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
これまで何度も小説家志望・初心者にオススメしてきた三人称一視点。柏田講師はなぜ「特に初心者が書くならまずは三人称一視点で」と言うのでしょうか。今回はその理由に迫ります!

小説を書くとき 三人称一視点を勧める理由
なぜ三人称でも一視点とすべきなのか?

小説の多く、特にエンターテイメント系の小説の場合は、三人称で書かれることが多い。私小説などを含む純文学系は、短編で書かれることが多いせいもあって、一人称が使われる割合が増えてきます。

一人称は“私”といった主人公の視点なり思考が動かせませんので、その人物の行動のみで物語を展開させなくてはいけないために、短編が向いています。もちろん一人称であっても、章を変えるタイミングとかで、人称であったり語り手を変えるという手法を使う場合もあります。

三人称は基本的に“真美は”とか“佐倉は”というように、登場人物の名前で物語を展開させていく。で、これもいわゆるシナリオ手法的な「三人称多視点」で書く場合と、一人称手法に近い「三人称一視点」に大別できます。

で、これまでも述べてきたように、近年の小説コンクール(特にエンタメ系の)などでは「三人称多視点」だとマイナス点がつけられるようになっています。

真美はスカウトマンの佐倉に、渋谷の雑居ビルに連れて行かれた。
ドアに「六本木芸能社・渋谷支局」と看板があって、壁には女性モデルのポスターが貼られている。
———あれ、この子ギャル雑誌に出てた?
じっと眺めていると、
「知ってる? 弥生みいなちゃん。うちの看板モデル」
真美の不安を逆手にとって、佐倉が得意の口説き文句を並べた。
———この子はチョロそうだ。三日で落とせる。
佐倉は心の中でほくそ笑んだ。

例えばこうした書き方が三人称多視点で、真美と佐倉の視点が混在しています。間違いではないし、こうした手法で書かれたプロの作品もあります。

ですが「三人称一視点」と作者が決めた場合は、視点を混在させずに書かなくてはいけなくなります。真美を視点者としたなら、「知ってる? 青山みいなちゃん。うちの看板モデル」という佐倉のセリフ以後を例えば、

後ろから佐倉が得意そうに言う。真美の不安を逆手にとろうとしているのか、スカウトマンの余裕なのか……
———この子はチョロそうだ。三日で落とせる。
なんて思っているに違いない。

というような書き方になります。

「ここから人物視点が変わった」ということが分かるように書く

基本的に「三人称一視点」とした場合も一人称と同じで、真美なら真美の視点で物語を展開させます。ただこれも章を変えたり、一行空けた後で、別の人物視点に切り替えるといった手法を使ったりします。

要は読者に、ここから人物視点が変わったということが分かるように書かれていればいいわけです。

で、一人称で展開していたのに、途中から人称を変えるのはかなり大きな変更という印象になるのに対して、三人称でパーツごとに視点を変えるのは(それが容認できればですが)読者は受け入れやすくなります。

ともあれ、三人称を選択した場合は、(コンクールの減点を避けるという意味合いだけではなく)、なるべくその人物の視点で物語を運んでいく「三人称一視点」をオススメします。

なぜならば神的な視点となりがちな「三人称多視点」は、読者も上から目線的になるため、どうしても一人の人物(主人公)に感情移入しづらくなる恐れがあるからです。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2015年7月号)より
次回は1月5日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

 

【要ブックマーク】これまでの“おさらい”は「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧で!

小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。 

 

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