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作家になるための読書方法Ⅲ

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
作家になりたいなら色々な小説を読むことは絶対。でも、普通に読んでもいいのでしょうか…。なにか、やった方がいいような気がしますよね。そこで今回は、作家になるためには、どうやって小説を読めばいいのかを、柏田講師の『月刊シナリオ教室』連載コラムからご紹介します。

鑑賞にプラスして吸収(充電)としての読書を心がける

少し前に(本をほとんど読まないらしい)作家志望者から「どうして小説を読まなくていけないのですか?」と質問をされました。

「当たり前だろ!」とは怒鳴らずに、「ピアニストになろうとする人なら、毎日ピアノのレッスンをするだけでなく、名ピアニストたちの演奏を何度も何度も聴くはず。どの分野でも同じです」とお答えしました。

作家志望者(シナリオも)で、書くことにはひたすら熱心な人がいて(思っているだけで、一枚も書かない人よりはずっといいのですが)、それはつまり、ピアニスト志望者が毎日我流で、ピアノを弾いているのと同じです。

優れたピアニストの演奏を聴くことで、どのように曲を捉えているのか、どうテクニックを発揮しているのか、どこがどううまくて、観客を感動させているのか?さらにはこの人にあって、自分に足りないところはどこなのか?

そうしたことは実際に聴いてみないと分かりません。小説やシナリオも同じ。

ただ聴くだけ、読むだけならば、観客、読者でいいわけで、それを理論立てたり、分かりやすく解釈を示せるならば評論家を目指せばいい。

皆さんは、実作者を目指すのですから、鑑賞にプラスして吸収(充電)としての読書を心がけるべきです。それは映画やドラマを見る、書かれた優れたシナリオを読むのも同じ。

趣味本とテキスト本で読み方を変える

実作者を目指すための小説の読み方に絞りこみますが、まず純粋に楽しみながら読むことを前提としつつ、趣味として読む小説と、創作のテキストとして読む小説に大別する。

私の場合だと、翻訳ミステリーとかは(最近では『ミレニアム』シリーズ)は趣味度が高いのですが、好きな作家(例えば、藤沢周平とか松本清張や、現役なら村上春樹など)は、エンピツと付箋を常備して読みます。

もちろん、前者でも趣味的に楽しみながらも、「なるほどあの伏線がここに来たか」とか、「ここで視点が変わったか」みたいに、無意識チェックをしながら読んでいますし、後者であっても、読者としておもしろがりつつ小説世界に入っていきます。

ともあれどちらの場合であっても、まずは小説を手にとった段階で、全体のおおよその枚数を把握します。短編として書かれているのか、中編、長編なのか?さらには短編連作ならば、各話が何枚くらいで、全体で何枚くらいか?

文庫本とかだと(出版社によって多少違いますが)例えば、手元にあった新潮文庫の向田邦子『思い出トランプ』(直木賞受賞作3作収録)ならば、1Pが400字原稿用紙で約1、6枚組みで、第1話の『かわうそ』は14Pですので、22枚くらいの短編になります。このくらいの短編が13篇収録されています。

以前、引用した江戸川乱歩賞受賞作の桐野夏生『顔に降りかかる雨』(講談社文庫)は、約390Pですので、換算すると620枚の長編小説となります。

22枚の短編と、500枚を超える長編では当然、書き手のスタンス、手法が違いますので、それを頭に入れつつ、まずは視点をチェックします。一人称か三人称か、混合型かなど。

『かわうそ』は、“指先から煙草が落ちたのは、月曜の夕方だった。宅次は縁側に腰かけて庭を眺めながら煙草を喫い、妻の厚子は座敷で洗濯物をたたみながら、いつものはなしを蒸し返していたときである。”とありますので、宅次という人物の三人称。

『顔に降りかかる雨』は、“いやな夢を見ていた。私はマイクロバスの後部座席に一人座り、どこかに向かっているところだった。”と一人称です。

全体の枚数と視点だけを頭に、後は普通に読んでいきます。

エンピツと付箋はどう使うか?はまた次回。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2016年6月号)より

次回は2月の第2土曜日に更新予定です

■シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

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