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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

普遍

向田邦子さん

映画の日

シナリオ・センター代表の小林です。映画の日は、沖縄だったので、今週は映画へ行こうかと思ったのですが、歳のせいか1週間休みなく働くとどうもエネルギーが切れるらしい。で、結局惰眠をむさぼって・・・。
11月も出身ライターの映画公開が目白押しだったのですが、12月も多いのです。
12月1日公開 「鋼の錬金術師」宮本武史さん
12月9日公開 「ガールズ&麺麭ツァー最終章」吉田玲子さん
12月16日公開 「8年越しの花嫁」岡田惠和さん
12月20日公開 「Hide Behind」阪野有美さん
毎週観に行かなくては、間に合わないです。(笑)
来春もたくさん公開があるようで、ちょっとわくわくします。
映画は、一人で行くのが好きです。孤独にみることができるのが好きです。
暗い中で誰にも見とがめられずに、ため息ついたり、涙したり、大口開けて笑ったり、たまに金返せと腹立てたり、色々に一人完結で楽しめるのがいいです。
もちろん、感動した映画は、他人と共有したくなりますが、やっぱり映画は一人で観たいです。

向田邦子

出身ライターの吉田弥生さんが13年ぶりに向田邦子さんの「春が来た」の脚本を書かれ、WOWOWで来春放映されるということで、月刊シナリオ教室の編集長の前田がインタビューをしました。
インタビューの前に前田が原作を読み返していたので、終わった後お借りして、久々に向田さんの小説を読みました。
私は、向田さんの小説はほとんど読みましたが、向田さんが理不尽にも飛行機事故で亡くなられてから、どうしても読む気になれなくなってしまったのですが、吉田さんの13年ぶりのホンということもあって、呪縛から解き放って原作を読んでみました。
「春が来た」は、文庫「隣の女」の中の短編のひとつです。向田さんの絶筆でもあります。
読むほどに悔しさが湧きあがります。何故これが絶筆なのかと、何故神様はもっと描かせてくださらなかったのか・・・胸に突き刺さるのです、本当に素晴らしいのです。
「春が来た」だけでなく収められている短編を読んでいくうちに、再び私の中の向田ワールドに火がついてしまいました。
時代は変わっても、普遍なのは人間の心、人間の機微を描かせたら天下一品の方でした。

ホームドラマ118本描けますか

 私は、脚本家としての向田さんが大好きでした。
たくさんの作品を描かれていらっしゃいますが、特に「だいこんの花」が大好きで、平凡な家族のホームドラマなのですが、登場人物すべてに魅力が溢れているのです。「みんな違ってみんないい」なのです。
主役の森繁久彌さんのお父さんと息子の竹脇無我さんとのやりとりが絶妙で抱腹絶倒しながら心に迫って泣けるのです。笑って泣けるドラマの典型でした。
昔の連ドラは、大河ドラマだけでなく1年間だったりしました。
ワンクール13本ですが、26本だったり、52本だったりのドラマが普通でした。
「だいこんの花」はなんと約5年間、5部作118本です。最初の頃は、松木ひろしさんなども描かれていらっしゃいましたが、80%以上向田さんの筆だったと思います。
向田さんかどうかは脚本家の名前を見なくても、まだ大学生であった私でもわかったほどでした。

海軍大佐だった明治生まれの頑固おやじと戦後世代の息子との話だけで、1時間もの118本も描けるというのはどういうことでしょうか。
ストーリーではないことはお分かりですね。
そう!キャラクターです!
登場人物すべてのキャラクターが魅力ある人たちばかりだからです。
キャラクターの魅力とはなんでしょうか。
講座では共通性と憧れ性と言っています。 と言われても、イマイチつかめないという方は向田さんの小説をたくさん読んでみてください。
きっと「なるほど!」とガテンがいきます。
向田さんの人間を見る目の鋭さを、少しでも分けていただきましょう。

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