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小説の描写について~情景描写Ⅰ~

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
小説の地の文で重要なのは描写。今回は「情景描写」について。読者が情景をイメージしながら、その物語世界に入っていけるようにするにはどう書けばいいか。解説いたします。

小説の地の文で重要なことは「描写」

基本的に小説は地の文とセリフで書きます。

地の文では読者に、その物語世界の設定を分からせ、登場する人物の紹介をしなくてはいけません。

こうした物語上の情報をどう伝えていくかは、シナリオも同様ですし、できれば説明と感じさせずに読者に分からせるのが理想です。

小説の地の文で重要なことは「描写」です。

どういう物語にするか? キャラクターをどう作るか? 構成をどう立てるか? といった作劇上のテクニックなどもありますが、小説はともかく「文章による描写」が命、決め手になります。

ただ、こういう言い方をすると、どうしても文章力であったり、いわゆる文学的な素養が必要なのか、と思う人が多いでしょう。

芥川賞を目指す、あるいは文学を極めるのだ、と思っていらっしゃる人でしたら、それはもう絶対に追求しなくてはいけないテーマになります。

ですが何も、読み手が唸ってしまうような名文美文を書け、と言っているわけではありません。

読み手が違和感なくスラスラ読めて、書かれていることが分かる素直な文章でいいのです。むしろ麗々たる美文よりも、はるかにそちらの方がいい。

視点者が見えるものを書く「情景描写」

どういう文章が悪文なのか? こういう文章は書くな、というのはいずれ。ともかく文章による描写ですが、大きく分けると、

①情景描写
②心理描写
③人物描写
の三つがあると思います。

もっと細かく分けると(昔の小説ハウツウ本とかをみると)自然描写、性格描写、内面描写、外面描写、さらには環境描写といった語句まで出てきて訳が分かりません。

性格描写なんて、要するにキャラクターの性格づけで、それをどう表現するといいか、といったことのようです。

これは三番目の人物描写に入れてしまっていいでしょう。同様に自然描写も情景描写の一部と考えていい。

ともあれまず、①の情景描写ですが、物語を運ぶ視点者を定めたら、基本的にはその人物の目線で見えるもの、情景を文章で描いていきます。

読者は、その視点者が見ている(感じている)情景をイメージしながらその物語世界に入っていきます。

これがきちんと伝えられないと、読者は情景なりその場面が見えてこなくて、イライラしてくる。

つまり物語に入っていけないわけです。特に書き出しの一行、最初の情景(シーン)をどう描いていくか。

道がつづら折になって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さでふもとから私を追って来た。

美文を書こうとしなくていいと言いながら、いきなり美文中の美文をサンプルにしてしまいますが、ノーベル文学賞作家川端康成の『伊豆の踊子』の書き出しです。

こんな文章はとても書けませんので、皆さんも目指さなくていいのですが、読み込むことで吸収はしてほしい。音読もしてみて下さい。

情景がありありと浮かびつつ、突然の雨に見舞われた感覚まで伝わりませんか。しかもこの物語が展開する場所が天城峠、すなわち伊豆なのだということもさりげなく分からせています。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2015年10月号)より

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

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