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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

四季の巡り

菊の慟哭(双葉社刊)

奉仕者

シナリオ・センター代表の小林です。今日で9月が終わるのですが、どうしても8月の終わりと勘違いしそうな気候です。まだ30度越えのところすらあるとか。
明日は、衣更え。
学校などでは、急に冬と同じ制服にさせたりするところもあるようですが、この気候不順、杓子定規ではなく服装は気候に合わせないと、これからはいけないと思うのですが。

少しずつですが、本当にほんの少しずつですが、まともな動きも出てきたのでしょうか。勘違い?(笑)
ま、当たり障りのないところばかりですが、日本維新を除名された石井元議員が公設秘書の給与を不正に受け取っていたとして在宅起訴されるそうです。
今更ながら知ったのですが、国会議員の公設秘書って公務員で国から給与をもらっているのですね。
確か、国家公務員は、国民の奉仕者。国家公務員法第 96 条には「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、 公共の利益のために勤務しなければならない」と定められていますよ。
国民の税金で賄われているのに、特定の人にだけ尽くす?公務員は国民に尽くすのじゃないでしょうか。
とても疑問です。
裏金議員はみんな「秘書がやった、秘書が勝手に」とか言って、罪を秘書に押しつけますけれど、なんで秘書の人は唯々諾々と従っているのでしょう。
それは公務員なのに、任命は国ではなく国会議員が任意で行っているからだそうで、国会議員に生殺与奪の権限を握られている秘書は弱い立場であるとのこと。はぁ?
裏金はもう終わったと言い張る自民党総裁候補もいますが、国会議員って、事務所丸ごとただの税金泥棒ってことですか。お縄にしてくれ!!

菊の慟哭

出身作家の吉川英梨さんの新刊が出ました。吉川さんは、警察小説シリーズものが多いのですが、こちらもシリーズ第2弾です。「菊の慟哭」(双葉社刊)
「桜の血族」から2年ぶりに上梓されました。

こちらは、他の警察シリーズの中でもなかなかの強面。なにしろ暴力団と渡り合う「女性マル暴刑事」桜庭誓が主人公です。
今は男女差別はと言われますが、さすがにマル暴刑事はハードな感じがしますが、「警視庁初の女マル暴刑事」である薮哲子とコンビを組んでガンガン行く姿は小気味がよく血なまぐさい描写ですら、ちょっと爽快。
第一弾の「桜の血族」は、マル暴デビュー。
父、夫ともマル暴刑事で刑事をやめて主婦をしていた誓が、夫が銃撃されて、犯人を逮捕するために復帰し、本家と関東に分裂した日本最大の暴力団吉竹組の抗争に足を突っ込み、自分自身の出生とも対峙するところまででした。

「菊の慟哭」は、マル暴刑事の執念と複雑化する暴力団組織の闇、自分の本当の父親との関係、赤ん坊の時に別れた生母の話しを軸に、暴力団吉竹組の抗争を描きます。
今回、父親、出生、生母の秘密の描き方、構成の仕方が見事で、帯は「皆殺しこそ仁義!血みどろの分裂抗争が終わる!」なんてすごいキャッチコピーなのですが、もちろん、その描写もすごいのですけれど、むしろ誓の両親の秘密がめちゃめちゃ魅力的で、バイオレンスなのに、心に響きます。

構成の仕方も、章ごとに誓の母親から描く過去と抗争とを見事にリンクして、否が応でも読み進めなければならない気持ちにさせられます。
吉川さんは、警察ものでも女性が主人公で、特殊でありながら、普通の女性の感情も持つ主人公をとても魅力的に描くのです。その主人公にもまた彼女を取り巻く人々にも共感させられます。登場人物すべてのキャラクターが本当うまい、それぞれの人生が垣間見えるようなのです。
「菊の慟哭」もまだ終わらない、一つの決着が次へと進む展開にかわります。

ふと思ったのですけれど、20枚シナリオで「ショートストーリー」だといわれて怒られている方は(怒らないけど、笑)、吉川さんの小説を読むと、次の展開へのもっていき方がわかるのではないかと思います。
吉川さんの作品のみならず、シリーズもののオシリを研究すると、20枚シナリオがシーンを描くことだということがわかるかと思います。

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