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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

言の葉

もえとかえる ことばのふしぎ大冒険(KODANSHA)

ふる~!

シナリオ・センター代表の小林です。今日から確定申告が始まります。
「きちんと納税しましょう」っていわれて、すっかりやる気を失ってしまった皆さん、「納税は国民の義務ですよ~!」とブーメランのように、やまびこのように、おっしゃった方へ返してあげましょう。(笑)

日本はどこまでも遅れていますね。
先進国という言葉は返上した方がいいと思うくらい、進歩がありません。
一体いつからこんな日本になったのか、バブルが崩壊してから失われた30年といわれていますが、もはや失われた40年に突入しているとしか思えないていたらくです。
経済だけでなく日本のお上のたちの精神構造も恐ろしく古い。
あのギリシア正教会が力を持つギリシアですら同性婚、同性カップルの養子縁組を認めたというのに、日本は、八百万の神々の国で宗教的に縛られることもないのに、同性婚どころか夫婦別姓すら認めないふる~い固い頭の国のままです。
多様性だのダイバーシティなど言葉ばかりが躍るだけで、全く変わりません。
戦後の日本は、敗戦の貧しさから脱却しようとそれこそ夜も日も開けぬほど頑張って頑張って一時はGDP2位までいきました。
でも、富める国へと頑張り過ぎて、精神的な部分を置き去りにしてきたのではないかと思うのです。
人として何が大切なのか、豊かな生活とは何のか、本質を考えずにすべて「豊かさ=お金」に換算してきたことが間違えなのではないでしょうか。
本質を考えないから、形容詞だけで語る中身のない嘘っぽい答弁や政策(または対策)しかできない国、他人へのやさしさをなくした国になってしまった、のではと危惧しています。

言葉

日本語って、世界の言語の中でとて難しいものだと言われています。
英語だったらアルファベットだけなのに、日本語って、漢字ありひらがなありカタカナあり、確かに面倒くさい。
当たり前のように使っているので、深く考えたこともなかったのですが、日本人が繊細といわれるのは、日本語の表現の多さから生まれたものではないのかと考えさせられた本を読みました。
出身ライターの川上徹也さんの「もえとかえる ことばのふしぎ大冒険」(KODANSHA刊)
児童向けの漫画とイラストで書かれた日本語の本です。

いやあ、面白いです日本語は。
さすがコピーライターでもある川上さん、大人も楽しく日本語を学べる本にしています。
例えば日本語の一人称ってたくさんあります。言われてみると他国語では一人称って一つというのがほとんどです。
英語は、I(アイ)。ドイツ語はIch(イヒ)。フランス語はJe(ジュ)ひとつ。
日本語はというと、わたし、わたくし、うち、あたし、自分、あたい、おれ、小生、われ、某(それがし)、拙者、オイラ、おれっち、わて、わし、おいどん、朕、麿、吾輩、オレ様・・・。
夏目漱石の「吾輩は猫である」は英語で訳すと「I Aⅿ a Cat」
なんか全く雰囲気違う、気持ち伝わらないかんじですね。(笑)
オノマトペもすばらしい。
人や動物が発する言語をいう擬声語、音を立てる表現をいう擬音語、身振り手振り、行動などの状態をいう擬態語があります。
笑いだって、ワハハ、アハハ、ガハハ、ゲラゲラ、ケラケラ、キャキャ、オホホ、クスッ、クスクス、ぷっ、にやり、にたにた、にやにや、にこにこ、にこり、にこっ、にっこり・・・まあ、豊かなこと。
笑い方ひとつにも、一人称の使い方にもキャラクターがでる、豊かな言葉の溢れる日本に生まれて創作する者としてしみじみよかったと思います。

今は何かというと差別とか不適切とか言われかねない時代ですが、言葉の語源をたどっていけば、また違った意味合いを知ることになります。
この本は子供向けではあるのですが、読んでいると表現のイメージが広がってきます。
シナリオ勉強本として、日本語の豊かさを知る本として、手元に1冊おいておきたい本です。
日本語の豊かな表現を変に捻じ曲げて、言葉を殺さないようにしてほしいとしみじみ思う今日この頃です。

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