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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

いつの日も想像力

縁結び代官 寺西封元(KADOKAWA刊)

他人を想う

明けましておめでとうございます。シナリオ・センター代表の小林です。
今年もよろしくお願い申し上げます。
シナリオ・センターは、本日2024年新春一日目を迎えました。
今年54年目、皆様がシナリオ・センターで創作をたっぷり楽しんでいただけるように、新たな気持ちで体制を整えていきたいと思っています。

表参道シナリオ日記は、今年こそは穏やかに運気の上がることだけを記したいと願っていたのですが、早々から悲しいことになってしまいました。
元旦早々から、能登半島大地震が起こり、倒壊した建物に取り残されたり、寒空の中まともな避難先もない、食事も水もないまま過ごされた方も多々いらっしゃっるたようです。また羽田では、救援物資を運ぶ海保機と日航機の衝突で海上保安庁の乗務員の方々が亡くなるなど、悲しい事故が起こりました。
雪の中に倒壊された家々の姿は、あまりにも無残で目を覆いたくなるような惨状です。
地元の方によれば、食料も水も3が日は全くなく、避難所もまともではなく、寒さに震えながら過ごされて・・・いまだに水はでないとか。
しかも原発の棄損情報は隠すわ、初動は遅いわと、正月気分でいられるお上に呆れるばかり。
いつだったか、大雨災害起きた時に宴会していたこともありましたよね。変わらない体質。
お上は、陣頭指揮を自らとるといいながら、最初にやったことは財界、マスコミの新年会出席。暖かいホテルでにこやかに乾杯って、棄民政策極まれりという感じです。
財界、マスコミも「どうぞ、まずは被災地を優先して」と何故言えないのか、お上が迅速に動かない態を見て、被災地の方々がどれだけ絶望を感じるのか、この人たちは想像だにしないのでしょうね。

どうか、今年こそは心ある社会になるように、「他人を想う」想像力を世界中の人に持ってもらいたいと切に願います。

縁結び代官 寺西封元

出身ライターの土橋章宏さんが、「縁結び代官 寺西封元」(KADOKAWA刊)を出されました。
実存した名代官を基に描いたお話です。

主人公の寺西封元は、幕府の御徒組頭。その学問に秀でたところを、時の老中松平定信に見いだされ、突如、陸奥国白川郡塙の代官に任命されます。陸奥国白川郷塙は、飢饉で困窮した民は逃げ、子どもは間引きされるというありさま。
年貢を搾り取るだけの代官のあり方を見て、どうすれば塙から逃げ出さないようにできるか、増やすことはできないのか、間引きしないで済む生活ができないのか・・・代官として初めて、村人の方を向いて、村人たちが幸せに暮らせるよう様々な方策を練るのです。
最初は、師事していた中沢道二の心学をつかって、人の道を説く八ケ条を村人に浸透させることを考えます。
しかも精神論だけでなく幕府から5千両を借り受けて、金持の商売屋に金を貸して利息を稼ぎ、人足集めから子育てに村民にお金をだし、年貢を取り立てるだけでなく、日々の暮らしが成り立つようにしていくのです。
凄いのは、女性が足りないからと他の藩から遊女になった貧しい娘たちを連れてきて住まわせ、名物にしたい蒟蒻栽培をさせ、村の男たちと結びつけるというタイトル通りの「縁結び」までやるのです。

被災した人にも目を向けない、少子化問題などなに一つ解決できない、現代の政治家に読ませたい本です。
昔も今も、たぶんやることは変わらない、みんなが寺西視点でものごとを考えたら、今でもうまくいくのではないかと思います。
その視点は、上っ面ではなく、本質を見極める眼です。
土橋さんは、そこも考えてこの本を出されたのかもしれません。(笑)
ただ道を説くのではなく、さすが土橋ワールドは面白く、寺西代官のキャラクターもさることながら、松平定信、長谷川平蔵など実在の人物はじめ登場する様々なキャラクターがイキイキと、地域を活性化し、物語を運んでくれます。

2月9日から、土橋章宏さん原作・脚本の「身代わり忠臣蔵」も上映となります。
こちらも、ご存じ忠臣蔵を吉良家から描くというだけでなく、そこにまた身代わりという驚くような発想で楽しませてくれます。
こちらも、乞うご期待!!

新春、決して明るい幕開けではありませんが、気持ちを改めて、佳い年にする努力をみんなでしていきましょう。

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