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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

人間性

園田新さん 映画『消せない記憶』/受賞シナリオを映像化

消せない記憶 園田新監督

古典

シナリオ・センター代表の小林です。今、26℃ですって。寒かったと思ったら、梅雨をすっ飛ばして真夏ですか。この頃は、気候に振り回されますね。風邪ひきさんが増えています。寒暖の差が激しい時は要注意です。
日本は四季があり、その折々の季節感がよかったのですが、俳句の季語も変ってしまいそうな昨今ですね。

昨日、何年ぶりかで国立小劇場に文楽を観に行きました。
「夏祭浪花鑑」を観ました。
この演目は、亡くなられた勘三郎丈の歌舞伎で何度も拝見していました。
渋谷文化村のコクーン歌舞伎で、最後に舞台の壁が開いて、外へ飛び出していく演出に度肝を抜かれたのを覚えています。
もちろん、こちらは文楽ですから、さすがにお人形は外には飛び出しませんが、久々に堪能しました。
人形浄瑠璃のすばらしさは人形遣いと語りの調和だと思うのですが、文楽はよくわからないのですが、「夏祭浪花鑑」で、主人公の団七が舅を殺してしまうクライマックス、普通、浄瑠璃語りはお一人なのに、団七と舅義平次をお二人で語るその迫力にびっくりしました。
舅義平次を豊竹藤太夫、団七を竹本織太夫、二人の掛け合い(というのでしょうか)がすごい。
おふたりの丁々発止のやり取り、息遣いに、人形がまるで生きているようにみえてきます。
この話は、義理、体面、自分や身内を立てることで、人間関係が絡み合っていく、今だったら考えられない男のメンツ、女の心意気が描かれている芝居です。
ふと、「森友学園」への財務省の決裁文書改ざんで佐川さんが赤木さんが亡くなられたにもかかわらず、未だにだんまりを決めているのはつまらない義理と体面のせいなのかと思ってしまいました。
義理・体面って、本当はそんなに大事ことなのでしょうか、ドラマ的に言えばカセの一つですが。

消せない記憶

今日は、試写に行きそびれて見れなかった園田新監督脚本の「消せない記憶」をやっと観てきました。
とても評判がよく、3月からロングラン上映でシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』とkino cinéma横浜みなとみらいでは6月1日頃まで上映予定、5/27から大阪 シアターセブン、6/23福岡 KBCシネマ、名古屋 シネマスコーレ(上映日は公式サイトで近日公開)と続々上映になります。

この映画は、園田監督が2009年函館港イルミナシオン映画祭で受賞したシナリオを原作につくられたもので、十数年たって形になりました。温めていたものが形になるというのは素敵なことですね。
園田監督は、先日147期シナリオ作家養成講座にお顔を見せてくださり、先輩として、コンクールの作品ができるまでのことなど、受講生の質問に丁寧に答えてくださっていました。

若年性認知症になった男性の前に、記憶代理人という人が現れて・・・。
好きな人と離れない約束をしたにもかかわらず、若年性認知症になった潤一は彼女のために姿を消すのですが、姿を消しても彼の行方を求め続ける優衣と、記憶代理人が導く二人の切ないラブストーリーです。
若年性というのは、本当に気の毒で、老人性とはまた違った切ない物語が展開します。
記憶がなくなる不安と戦うというのはとてもつらいことだと思います。
どんどん記憶が消えていく中で、それでも「消せない記憶」はあったのでしょう。
「記憶代理人」が、本当に存在していたら、人生の不意の悲しみや喜びに寄り添ってもられるとしたら、少しだけ悲しみも苦しみも和らげられるのかもしれません。
何気ない時間が、何気ないふれあいがとても大切だということに気づかせてくれる映画です。

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