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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

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若戸大橋物語

視座

シナリオ・センター代表の小林です。なぜか文化の日ってお天気なんですよね。なんでだろう。
昨日文化の日、文化的なことをしたいな(嘘っぽい)(笑)と思っていたら、友人が、日本近代文学館へ誘ってくれました。

日本近代文学館はご存じの方も多いかと思いますが、井の頭線駒場東大前の駒場公園の中にあります。
さほど人出もなく、森のような中にあり、お天気も良かったので気持ちよく過ごせました。
ここには加賀百万石の前田家、旧前田侯爵邸の敷地で、前田家のおうちも洋館と和館に日本庭園とあり、広大な敷地に駒場公園、東大教養学部があります。
日本近代文学館では「生誕120年記念住井すゑ展」を行っていました。
住井すゑさんは「橋のない川」(七部)で皆さんもご存じかと思います。
私はその一部しか読んだことがなく、しかも若い時だったので、彼女が部落民差別へや、大地を耕す人々への敬意をもち牛久に移転したくらいしか知りませんでした。

「生誕120年記念住井すゑ展」で、95歳で亡くなるまで、農村に視座を据え、社会の底辺に生きる女、子どもの声を丁寧に広いあげながら、近代を根底から問い直す問いを繰り出し続けたという足跡を見て、胸が揺さぶられる思いになりました。
皆さんにお話したいと思ったのは、住井すゑという人間としての作家としての視座です。

彼女の視座の元はうんこでした。
3,4歳の頃、誰もがうんこをすることを知らなかったので、自分はうんこが出るのが嫌で出すまいとして失敗し続けたそうです。
ある日、天皇も同じことをする事実を知って、食べたものは一定の時間が経つとうんこになり、時間の加減でそうなるなら時間というものこそが人間にとって絶対なものだと気がついたといいます。
その絶対の法則があるのに、なぜ人は「時は金なり」という考え方に支配され、「時間は命である」ことを忘れるのかと、深く問いかけた幼児期の問いが、生きてきた90年の中で答えを探し、文を書き、新たな問いを生み出してきたと。

「描く(書く)」とは言葉の遊びではなく、自分自身の視座を持って自分自身に問いかけながら「描く(書く)」ものだと、住井さんに教えられました。
もう一度ちゃんと、住井さんの本を読まなければ。
目覚めさせてくれた文化の日でした。「住井すゑ」展は11/26まで、是非。
日本近代文学館は「住井すゑ」展、神奈川近代文学館は、「川端康成」展です。各県の文学館もいろいろ催しをされているかと思います。
物書きの端くれの私達、ちょっと爪の垢をいただきにまいりましょう。(笑)

演劇の秋

文化芸術の秋です。
歌舞伎役者の松本白鸚さんが文化勲章をいただき、「役者は一生が修行」とおっしゃっていましたが、お芝居があちらこちらで公演されます。
20分の短編戯曲を集めて上演するという「花鳥風月 秋」で、「南のシナリオ大賞」「シナリオS1グランプリ」を受賞された作家集団の竹田行人さんの戯曲「淡い月」が上演されます。
11/22~27 新宿三丁目「雑遊」
主催のティーファクトリーは、春夏秋冬に短編戯曲を募集しており、「2022年度冬・短編戯曲祭参加募集」は11月末日締め切りだそうです。詳しくはHPで。

11月26・27日は、今月のラジオドラマ講座でも講演してくださる葉月けめこさんの戯曲「若戸大橋物語」(劇団青春座主催)が北九州芸術劇場中劇場で公演されます。
再演なのですが、キャストも大幅に変わりシナリオも改訂されたそうです。
このお話は、実話に基づいたものです。
1930年に春の大祭「若松おえべっさん」に詰めかけた人たちが乗った若戸渡船が転覆。73名の犠牲者を出した。救助にあたった吉田啓太郎が、戦後若松市長になり東洋一に吊り橋建設を実現させるまでのお話です。
葉月けめこさんは、九州・戸畑出身。
北九州愛に熱く「北九州の逆襲」(言視舎刊)も書かれ、ギラヴァンツ北九州を熱烈応援し、先日も若戸大橋ウオーキングにも参加され、若戸大橋愛も半端ではありません。それだけに、この舞台にも熱い想いがこもっています。是非とも、ご観劇ください。

ミュージカルです。
過日もご紹介させていただきましたが、出身ライターの佐藤万里さん脚本・作詞のミュージカル「東京ラブストーリー」が11月27日から12月18日まで東京BrilliaHallで上演されます。
「カンチ!」で有名な柴門ふみさんの漫画、ドラマ化されて大ヒットになった「東京ラブストーリー」がミュージカルになりました。
主役の完治は「鎌倉殿の13人」で実朝役の柿澤勇人さんと「ウルトラマンジード」の主人公朝倉役濱田龍臣さんのダブルキャストです。
佐藤万里さんは、脚本に作詞も手掛けられています。
11/28発売の「月刊シナリオ教室」では、佐藤さんのインタビューも載りますので、ミュージカルの作り方も教えてくれるかも。
そして、あの「東京ラブストーリー」のミュージカル版を観劇し、またまた胸キュンしていただけたらと思います。

秋の一日、あなたの芸術意欲をかき立ててください。

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