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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

時間ができたら始めるチャンス
函館港イルミナシオン映画祭 第25回シナリオ大賞 受賞者に学ぶ

函館港イルミナシオン映画祭2021 第25回シナリオ大賞ではなんと、受賞3作品すべてがシナリオ・センターの在籍生・出身生のかたでした!

・函館市長賞(グランプリ):『雲の切れ目から覗いた函館』塩田泰造さん(シナリオ8週間講座修了)

・準グランプリ:『指の形』本田周さん(通信作家集団)

・審査員奨励賞:『雨降る港街』高橋百合子さん(通信研修科)

こちらのブログでは、皆さんのコメントをご紹介。

塩田さんは、劇団『大人の麦茶』を主宰し、脚本・演出をご担当。またCMクリエイターとして、TV-CMやテーマパーク、広告イベントの企画・演出を手掛けています。コロナの影響で舞台の機会が途絶えたことで「この時間で映画脚本に取り組んでみよう」と今回応募されたそうです。

例えば、物語を作ることが好きで「いまちょっと時間ができたから、また書いてみようかな」と思っているかたは、塩田さんのコメントが“再開”のキッカケになるかもしれませんよ。また、本田さんの「シナリオを書くときに心掛けていること」や、高橋さんの「今回の受賞作はどんなふうに書いたのか」についても要チェックです!

なお、『月刊シナリオ教室』の2022年4・5月号には、皆さんの受賞の言葉とともに受賞作のシナリオも掲載されています。併せてご覧ください。

函館市長賞(グランプリ)
『雲の切れ目から覗いた函館』塩田泰造さん

*

=あらすじ=
北友真宵と穂苅拓馬は函館市の高校に通う16歳。二人は今晩「函館の街に、GPSの軌跡で世界一大きな秋刀魚を描く」という計画を立てている。二人の出会いは4年前。小学校6年の学級新聞を一緒に作る係になった。拓馬は“ウンコマン”と呼ばれている変わり者の少年で、仲良しの女子とチームになりたかった真宵は、最初は嫌悪感を抱くが、知れば知るほど、拓馬は純粋で優しい子だった――

〇塩田さん:早稲田大学在学中に自主映画を撮っていました。ぴあフィルムフェスティバルに入賞もできたのですが、映画製作の借金が残り、バイトをしながら7年半かけて卒業しました。

卒業後は、TV-CMの巨匠ディレクター・中野利彰さんに師事しました。シナリオ・センターに通うきっかけをくださったのは中野さんです。「泰造くんは物語を作る才能があるかもしれないから、この学校に通ってごらん」と教えてくださいました。

CMディレクターとしてデビューすると、忙しくて自主映画には関われなくなりました。そんなとき仲間が「映画が無理なら芝居をやろう」と提案してくれたので、働きながら深夜に戯曲を書き、小劇場で公演を打つようになりました。そこから数十年、いつしか、映画から離れてしまいました。

それが、今回コロナの影響で仕事が減り、舞台の機会が途絶えた。ならば「この時間で映画脚本に取り組んでみよう」と。最後のチャンスをもらった気がしたんです。イルミナシオンは映画化のチャンスがあり、映画への熱と愛情のある映画祭だと感じ、応募しました。

函館と言えば、世界的に有名な夜景の美しい港町。ならば、その圧倒的な夜景をクライマックスに持っていきたい。それもただ「眺める」のではなく、夜景の上にGPSで絵を描いて、それを、大事なひとに見せるという展開の中で、主人公が能動的に夜景に関わるストーリーにしたいと思いました。

また、コロナで家族や友人に長く会えない時期が続き、やがてこの事態に意味があるのかもしれないと思うようになりました。僕自身、人と会っている瞬間より、別れた後の方がもっと相手のことを思う。つまり、「ひとは、ひとから、離れないと、そのひとが見えない」という真理に、遅蒔きながら気づきました。

そんなとき、写真や撮影の歴史が人類に及ぼした影響を考察した『新写真論』(大山顕さん著)と出会いました。その中でスマホが人々のライフスタイルを劇的に変えたという記述を読んで、「ひとは離れないと見えない」というテーマは、スマホのカメラを触媒にすれば、うまく表現できるのではないか。カメラで写すときは被写体から離れないと撮れない。「離れないと見えない」というコンセプトが、そのまま当てはまると思いました。

今回の作品だけでなくシナリオを書くときはつねに、シナリオ・センターで教わった「まだ頭の中にしかない映像を、紙に書いた文字だけで、沢山の人に、出来るだけ誤解が無いように具体的に伝えることが大事」ということを心掛けています。また、「テーブルの上に煙草が置いてある」と書けば、読者は広い画角を想像し、「テーブルの上に置いてある煙草」と書けば、煙草のアップを想像する。「主人公は嬉しくなって笑う」と気持ちを説明するよりも、「主人公は小躍りして外へ駆けてゆく」と動作を書いたほうが、より喚起力が強い。こういう目から鱗のアドバイスをいただいたことも有り難くて忘れられません。

準グランプリ
『指の形』本田 周さん

*

=あらすじ=
夫を亡くしたばかりの須藤薫(60)のもとに、未成年後見人の依頼が舞い込む。15年前、薫の息子・明生は、離婚後の荒れた暮らしを送るうちに自殺のような死に方をしていた。その別れた妻が産んだ子・怜音(15)が息子の籍に入っていた――

〇本田さん:受賞はもちろん大変ありがたかったのですが、加えて函館の地に招いていただき、充実した4日間を送れたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。

函館港イルミナシオン映画祭では、連日、主催者・参加者ともに、上映される映画を観て過ごし、交流も盛んです。直接に関係者の方、審査員の方からお話を頂戴する機会に恵まれ、本当に勉強になりました。

受賞作では、「家族とは何か?」というと壮大なテーマですが、血縁に捕らわれず色々な形があり、孤独な者同士が結びつき家族になる幸せ、救いを描きたいと思いました。

函館に因んで『漁火』をモチーフとしていますが、函館でなければ成立しえないエピソードとしては、それだけでは弱かったというのが反省点です。

今回だけでなくシナリオを書くときは、すらすらと躓かずに読める読みやすい文章と、何かトリビア的な新しい知識の提示が出来るようにすることを心掛けています。今作でのトリビア的なものは「父が死亡後でも戸籍は残り、生まれた子はその戸籍に入る」や「漁火の仕組み」かと思います。

もう一つ、肝に銘じていることがあります。以前所属していた作家集団クラス・大前玲子先生の授業で教えていただいた「視聴者に主人公の感情や気持ちのラインが伝わるように書く」ということです。私はとても劣等生だったのですが、視聴者が知りたいのは「主人公の気持ちの変化」という基本の基本をしっかりと教えていただけたこと、大前先生に大変感謝しています。構成を考える際にそこは必ず思い返し、脱稿後も必ずチェックしています。

審査員奨励賞
『雨降る港街』高橋百合子さん

*

=あらすじ=
2
年前に息子・平口健太を亡くした平口利枝子は、勤務する函館市内のドラッグストアに入ってきたあまり愛想のない大学生の新人バイト・羽村祐樹のことを気に掛けている。仕事終わり、傘を忘れた利枝子がずぶ濡れで駅に着くと、偶然会った祐樹から花柄のハンカチを貸してもらう。利枝子は、女性物のハンカチを持っていた祐樹のことが気になる。翌日、風邪で休んだ祐樹が心配になった利枝子は、ハンカチを持って祐樹の家を訪ねる――

〇高橋さん:今回賞をいただいた作品は、通信本科の課題「ハンカチ」を元にしました。大学生の男の子から、綺麗な花柄のハンカチを貸してもらったら、どういうドラマが生まれるだろう、というところから物語を進めていきました。

函館の街をGoogle Earthで散策しながら、登場人物たちがここを歩いていたらいいな、とシーンを思い浮かべながら作っていきました。

作中では、母親を亡くした大学生の男の子と、子供を亡くした女性が出会い、明治-大正期の詩人・山村暮鳥(やまむら ぼちょう)の詩を朗読することで、お互いの気持ちを共有していきます。執筆中には、大切な人の「死」と、声に乗せた「言葉」という二つを何となくテーマとしていました。

シナリオ・センターで勉強を始めてからずっと「月刊シナリオ教室」で函館港イルミナシオン映画祭の受賞作を読み、憧れていたので、今回映画祭に参加させていただけたこと、未だに信じられない気持ちでいます。

映画祭では、コロナ禍で奮闘するミニシアターのお話に考えさせられ、同じスクリーンで他の観客の皆さんと作品を共有できる喜びと興奮を味わうことができました。

今回初めて函館を訪れ、Google Earthでは分からなかった街の空気、生活している方達の息遣いを五感で感じることができ、また、新しい気持ちで函館を舞台にした作品を書きたいと思いました。

*     *     *

今回ご紹介したお三方のコメントをご覧いただくと、「よし!自分も書いてみよう!」という気持ちがより高まったのではないでしょうか?

函館港イルミナシオン映画祭 シナリオ大賞ではこれまでもシナリオ・センターの在籍生や出身生の方が受賞されています。こちらのブログも是非↓

「函館港イルミナシオン映画祭第24回シナリオ大賞受賞者に聞く 受賞作を書いたきっかけ」

「函館港イルミナシオン映画祭第23回シナリオ大賞で準グランプリ受賞 村口知巳さん」 

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