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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

視点

あなたと虹を作るために(幻冬舎MC刊)

ブレ恋

シナリオ・センター代表の小林です。143期シナリオ作家養成講座の開講です。
通学とオンライン併用のハイブリッドで講座は行っているのですが、昨年は80%以上の方がオンラインでしたが、今はほぼ拮抗。通学の方が増えています。
お顔が見えるのは嬉しく、講義もついつい口が軽くなり弾むのですが、とはいえ、イマイチ信用できないコロナですので、心配もまた。
安全対策はやれることは全部やっていますが、なんで感染者が激減しているのかもわからず、どうなるか見通しもないので、大手を振って「皆来てね!!」とはいえないのが悲しいです。
おいでになられる方は、乗り物も含めてくれぐれも気をつけておいでください。
検温・消毒・マスク着用・ソーシャルディスタンスをよろしく。
解除にはなりましたが、私は、外食はしたいと思ってはいるけれど、お酒はまだかな。
鬱積していたもののタガが外れると怖いですからね。(笑)
このまま、終焉に向かってくれますように、祈るしかありません。

10月はピンクリボン月間です。
コロナの蔭で癌ですとかほかの病気の影が薄くなっていますが、現実は変わっていない。コロナの声が大きいだけです。
ピンクリボンは乳がん撲滅のための運動です。
乳がん検診を皆さんしっかりやりましょう。
ご存じでしょうか、男性も乳がんになります。

今年3月コロナ禍で上演した出身ライターの鹽野佐和子SARAさんの乳がんサバイバーによる創作劇「ブレスウォーズ 恋する標準治療!~女の胸はときめくためにある」(ブレ恋)が、なんとなんと全米進出を果たすことになりました。
サンフランシスコ・ベイエリア、シアトル、L.A. 、N.Y.などのマスコミにも次々と取り上げられ、全米からも期待が高まっています。

鹽野さんは、約4年前乳がんが発覚。
手遅れに近かったため一度は治療を断念しましたが、紆余曲折を経て手術、放射線治療を受け、生還しました。
その経験を活かして「日本女性の9人に一人が乳がんに罹患する時代、患者さんたちを応援する演劇を作ろう」「見てくれる人、皆が勇気を持って生きられるよう、乳がんのことも広く知ってもらう話を創ろう」と欲張りな企画を立てられたそうです。

舞台は、横浜・野毛山にたつ乳がん患者ハウス。病気を跳ね返し、笑いながら生きる女性たちの姿を恋と涙と歌を交えながら清々しく描いたメディカルラブコメディです。
しかもキャストは、プロの俳優さんと乳がんサバイバーとの異色のコラボ。それがまた魅力の一つとなっています。

①10/16 14:00- 18:15 ブレ恋!リバイバル観劇会&おしゃべりサロンwith Dr. 南雲(限定95名)https://brekoioshaberi20211016.peatix.com/ 
②10/17(米西海岸時間)アメリカ西海岸の患者支援グループWecollaが、舞台動画を用いてブレ恋!オンライン観劇会を開催します。https://www.wecolla.org/events/breastchest-awareness
③10/23-12/22 アンコール配信(購入期限は11月22日までなのでお間違い無く)http://confetti-web.com/brekoi_streaming

あなたと虹を作るために

元作家集団福田恭子さんが、事故で亡くなった憲法学者のご主人と歩まれた日々を描いたお話が、企画出版コンテスト「命 つながり」(幻冬舎ルネッサンス新社)で受賞され、出版されました。
「あなたと虹を作るために」(幻冬舎MC刊)
早稲田大学で教鞭をとっていらした西原教授は、赴任先ヴェニス国際大学から一時帰国していた矢先に自動車事故で亡くなられました。
この御本では、ご夫婦との生活、憲法学者としての西原教授の姿を描かれていて、夫婦愛はもちろんのこと、お互いをリスペクトし合って、ともに学びを止めない姿に感動しました。
遺された恭子さんが気丈に頑張っておられるのは、二人に共通した前向きの研究心と生き方、お互いに高め合ってきた過去をお持ちだからこそではないかと思います。

西原教授は、早稲田大学社会科学部教授で、高名な憲法学者でおられ、人権について常に研究していらした方です。
震災で一人の政治家が「この地区での被災者が××人ですんでよかった」というのを聴いて
「ばかやろー!××人という数字の人が死んだんじゃないんだ。一人ひとりの人生があって、その一人ひとりの人生がなくなったんだ。
政治家なら打つべき対策がなかったのか、助けられる命はなかったのか、人災はなかったのか、しっかり検証しろ!」と怒られたと。
「日の丸・君が代強制」を、「憲法改悪」を反対されてきた方でもありました。
西原教授は「大切なことは、何が正しく何が間違いかを見極める力だ。悪人がわかりやすく黒い衣を着てくれているわけではない。
自分で考え、自分で確かめ、自分で質問し、自分で意見を言う力を持たなければならない。
だが、意見を言うことは、必然と反対者を作り、反対者を敵に回す場合もある。
黙っていれば嫌われずに済むかもしれないが、それでも言わなければならないときがある。」
「憲法は、国民が守るものではなく、国家権力というか施政者が変なことをしようとしたときに『それは憲法違反ですよ』とストップをかけるのが憲法なんだ。
憲法は、国家権力の担い手に対するルールである。
言い換えれば、政府をはじめとする権力側が何かをしようとした際に憲法違反ではないかを検証し、違反しているなら『それは憲法違反です』と歯止めをかけるのが憲法学者の仕事である。」
素敵な方でした。
ご存命であられたら、コロナ禍での対応をものすごく怒られたことでしょう。

そんな西原教授と過ごした生活を恭子さんは涙の中でお書きになっています。
亡くなられてわずか3年、でも、ライターとして、とても客観的に書かれておられ、だからこそ読者はご夫婦の生き方に共感し、感動するのだと思います。
人はいつか死にます。誰でも。
遺されたものがどう生きるかは、一緒に過ごした日々にかかってくるのかもしれないとこの本を拝読して思いました。
ちゃんと生きよう、そう思わせてくれた本でした。ありがとうございます。
福田さんは、NPO文化芸術教育支援センターが公募した舞台脚本で大賞を受賞され、上演された力のある方です。
これからは、作家として大きく羽ばたいて下さったら嬉しいです。

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