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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

映像の力

島守の塔パンフレット

視える

シナリオ・センター代表の小林です。全仏オープンで、ナダル選手が前人未到4連覇、13度目の優勝を飾りました。怪我も克服して、年齢だって高くなってしまったのに、本当にすごいです。
スポーツ選手は怪我が一番怖いですが、今は誰もがコロナが怖いです。
今日の東京は78名の感染者、ちょっと少なくなってみえるけれど、昨日は140名越え、休み明けですからまだまだ予断は許しません。
トランプ大統領も陰性になったそうですが、マスクもせずに他人に振りまくことも恐れない姿は自分自身の事だけ考えているようでは、本当に国民のことを考えてくれるのか、心配になってくるほどです。
私たちも、何気にコロナに慣れてきてユルユルしている部分も出てきているので、手洗い、マスクは忘れないようにしたいものです。

日曜日に、森達也監督のドキュメンタリー映画「i新聞記者ドキュメント」の再編集版とシンポジウムを見てきました。
ご存じ東京新聞の望月記者を追ったものです。
私は、前回も拝見したのですが、再編集版では、性暴力を受けた伊藤詩織さんが、裁判所の法廷から出てきた廊下で、女性の方のお顔を見た途端、抱きついて思わず涙ぐんでいらした姿がとても印象的でした。
伊藤詩織さんがご自身をさらされたことで、どれだけ同じ目にあった女性たちに勇気を与え、#MeTooと世界中の被害女性たちが叫び、フラワーデモが生まれたことは本当にすごいことだとは思うのですが、ご自身は誰よりも傷つかれているだということが本当によくわかります。
どんなに口頭弁論で緊張されながらひとりで頑張られたことでしょう。
この映画の主人公の望月記者と、官房長官との有名な(笑)記者会見でのやりとりでもそうですが、お二人の姿を見ているだけでも、何が悪いとかどうとか言わなくても自然と見えてくるものがあるのです。
映像というのは、良しにつけ悪しきにつけ本人のわからない部分まで映し出してしまうのですね。
私たち映像に携わる人間の武器はこれかなと思いながらみていました。
ニュースやドキュメンタリー、生放送で、自然と語ってくるものこそ映像の特性なのでしょう。
フィクションを描く、ドラマを描く私たちにとっても、よく見つめることで人間性の表現が深まるのではないかと思います。
新井一は、「事実を描くのではなく真実の人生を描く」のがドラマだと言っています。

見せる 

出身の五十嵐巧監督と脚本家柏田道夫さんがこれから創られる映画「島守の塔」は、戦後75年企画映画として、沖縄戦で県民の命を守ろうとした沖縄県知事島田叡と沖縄県警察部長荒井退造のふたりの姿を描きます。
戦後75年、戦争を語り継ぐ人々が亡くなっていく中で、私たちはきちんと過去と向き合わなくてはいけません。
第二次世界大戦で、戦争と向き合わなかった、きちんと反省をしていないのは日本だけだといわれています。
どんないやな恥ずかしい事実としても、事実は事実として見つめて、語り継ぐことで、二度と同じ過ちを繰り返さないようになるのだろうと思います。。

「島守の塔」は、20万人が犠牲となった本土の盾となった沖縄県民の命を一人でも守ろうとした二人の島守のお話です。
このお話を知ったときに、自決を迫ったり、県民をあえて犠牲にしたりした日本軍の話を見聞きすることが多かったので、沖縄にも県民のために尽くされた方がいらしたのだとびっくりしました。
もっと驚いたことには、島田知事、荒井警察部長とも沖縄県民ではいらっしゃらない。
島田知事は兵庫県生まれ、荒井警察部長は栃木県生まれで、米軍上陸が必至とみられた状況下に赴任されてきた方です。
そのお二人が「命どぅ宝、生き抜け」と軍の圧力に屈しながらも県民たちの命を守ろうと奔走した姿を描きます。
お二人は摩文仁の森で消息を絶ち、いまもまだ遺体は発見されていないそうです。

この映画は2022年公開を予定していますが、一人でも多くの人に知ってもらいたい、力を貸してもらいたいと「島守の塔 サポーター募集」を始めました。
Aコース1口10000円(返礼品内容:選べる書籍・感謝はがき・HPにお名前掲載、劇場鑑賞券2枚、監督・キャストからのメッセージレター)
Bコース1口5000円(返礼品内容:感謝はがき・HPにお名前掲載、劇場鑑賞券2枚、監督・キャストからのメッセージレター)
皆さんのご支援をお願いいたします。
お問い合わせ先:映画「島守の塔」製作委員会事務局 0800-800-8171
メール:shimamori.kouhou@gmail.com

製作委員会委員長の嘉数昇明さんは
「県政の責任者として『鉄の暴風』と形容される沖縄戦の真っただ中で、県民の命を救う為に懸命の努力された島田さん、荒井さん、県庁職員の姿から今に通じる公職にある人の生きざまを問うているのではないか。(略)是非たくさんの方にご覧いただき、戦争を知っている世代と知らない世代の中継ぎ世代として、そう強く思います。」
私たちには知らない、知らせられなかった過去もたくさんあります。
未来を創るにはその過去を知ることから始まるのだと思います。
現首相が官房長官の時に沖縄へいらしたときに、時の翁長県知事に「私は戦後生まれなので沖縄の歴史はなかなか分からない」とおっしゃった話は有名ですが、知らないなら知ろうとすること、私たちは沖縄の犠牲の上で今があることを知り、曲りなりにも歴史を学んでいかなければと思います。
映画「島守の塔」がよい形で制作できますようお力添えください。

五藤監督の「おかあさんの被爆ピアノ」も全国各地で上映中です。
若い方々が戦争というものをどんなことなのかを知ろうとしてくれることが、「いつか見た道」を繰り返さない大きな力になるだろうと思います。

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