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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

聴く力

エネルギー1

シナリオ・センター代表の小林です。「そろそろ年賀状を考えて下さい」とスタッフにいわれて、ああ、もうそんな時期まで来ているのだ、改めて実感。
毎日、東京コロナ感染者の数をここに書いていると、そればかりに目がいって、季節の移ろいに希薄になっていたことに気が付きます。今日は166名です。

3月からコロナ、コロナであっという間にバタバタと過ぎていき、なにをやってきたのかも記憶のかなたに飛んでしまっています。
あまりにも今までと違ったことをやらなくてはいけないことが多くて、私のなけなしの脳はパニック状態のまま過ごしているようです。
今ちょっと落ち着けるようになってきたのは、受講生の方々のおかげです。
4月・5月の自粛要請の時は、このまま終わってしまうのかとそればかり頭に浮かんできてしまうほど落ち込みました。
シナリオを描くということは、不要不急ですから、どなたもおいでにならなくなったらどうしようと思うと身体が震えるほど怖かったです。
でも、受講生の方々がほとんどお辞めになることもなく、オンラインに切り替わった講座もすぐに受け入れて下さり、こわごわ始めたzoomゼミも参加してくださり、参加できない方も20枚シナリオをしっかり描いて下さって、5月締め切りの「新井一賞」は1000本近く応募してくださった。
この受講生の皆様方からいただいた力が、シナリオ・センターのエネルギーになりました。ありがとうございます。
来年は、コロナはどうなっているのかわかりませんが、一段ずつ新しいことへの階段を昇りながら、より表現できる環境づくりには励んでいきたいと思います。

エネルギー2

月刊ンシナリオ教室9月号、10月号で、創立50周年を記念して、「先輩からのメッセージ」と題して、お言葉をいただいています。
在学中のエピソード、何故書き続けられたのか、近況をお聞きしているのですけれど、是非読み取っていただきたいと思うのは、先輩の皆さんも、今試行錯誤しながら自信を失ったり、頑張ろうと自ら励ましたりしている受講生の皆さんと変わらなかったということです。
では、どこが違うのかと言えば、プロになれたのは「描き続けた」こと。
アマとの違いは、「他人に見せる」ことを知っていて「心配りがある」ということ。
この二つのような気がします。
「私はプロになれますか」と時々受講生の方に訊かれることがあります。
そんなとき新井一の決めセリフは「もちろん、なれるよ」。
それは、シナリオの技術を創った本人だから自信をもって、この技術を学んでプロになれないわけはないと信じていたからです。
生憎、私はこのシナリオの技術を創った本人ではないので、ここまで言い切れません。
でも、50年(さすがに創立当時からは後藤所長しかおりませんが)近く、シナリオ・センターで、受講生の皆さんと過ごしてきてわかったことはあります。
お顔を見て、「あなたはプロになれる」とは、よく当たるといわれる星ひとみさんのような占い師ではないので言い切れませんが、「他人の話しを聴く」方はプロになれると思っています。
シナリオは特に、シナリオのみで存在するものではないからです。
シナリオの技術は伝える技術だと新井は言っていますが、それは視聴者、観客のみならず、俳優さん、監督さん、スタッフさんあらゆる人に伝わらなければいけないものです。
ご自分の作品ですから、ここはどうしても譲れないということはあります。
それはとても大事ですが、何か自分の想いと違ったことを言われたときに、何が必要で、なぜこうなのかということをきちんと話せる、説明できるのは、相手の話をきちんと聴けないとできないことです。
ゼミでも添削でも、自分はこういうつもりなのに、なんでこんなことを言われるのだと思ったら、それこそ何故そう言われるのかということをとくと考えてみることです。
小説家で脚本家の大山淳子さんは、ゼミで言われた感想、講評をすべてとりこんで、もう一度20枚シナリオの課題を書き直していらしたそうです。
なかなかできないことですが、言われたことの良しあしが一番わかる方法かもしれません。
「他人の話しを聴く」ことは本当の難しいです。
出身ライターの皆さんと接するたびに感じるのは、どなたも心配りのある方々。
心配りというのは他人の話しを聴けるからできることです。
新井一が「思いやりがなければ、シナリオ書きになれない」と言っていたことはこのことかもしれいません。

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