menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

未来

シン・ゴジラの里見さん

シナリオ・センター代表の小林です。猛暑です。熱中症警戒アラートが発令だそうです。
色々なアラートを出されても、ただただ「気をつけてね」と言ってくれるだけだから、自分自身で気をつけるしかありませんね。
憲法違反にもかかわらず国会を開かない政府与党は、今やだんまりをきめこんで、GOTOキャンペーンに帰省自粛、テレワーク推進という矛盾要請を何とか誤魔化してやり過ごそうとしているようです。
コロナに夏休みはない」と東京都医師会が訴えているように、感染は拡大するばかりなのに、なにも議題になることはないなんて言われると、議員の皆様は暑さにやられている?実はコロナに侵されている?なんて心配しちゃいます。

ここのところずーっと「シン・ゴジラ」を思い出しています。
私がこの映画で、一番感動したところは、臨時総理になった里見の変化です。
平泉成さんが演じているのですが、論功行賞、派閥順送りで農林水産大臣になった昼行燈と呼ばれていた里見は、閣僚をのせたヘリコプターがゴジラ光線を浴びて墜落し、総理大臣を含む閣僚が亡くなってしまい、仕方がなく総理大臣になります。
昼行燈と呼ばれていた彼ですが、里見自身で全責任を取るために、熱核攻撃案件に対する臨時総理への全権委任法案を成立させるよう下命したり、自身が直接コネをもっているフランスに熱核攻撃実施の寸前まで交渉するなど、昼行燈と評されていた彼が老練な政治手腕を見せます。
しかも、ゴジラ対策が一段落した後の政局を睨んで矢口・赤坂・泉と言った若手政治家を臨時内閣に登用し、自身達は核使用決定の責任を取って内閣総辞職をすることを決定しているのです。
また、熱核攻撃の際に住人に避難命令を下さなければならなくなった状況になった際は「”避難”というのは国民に今の生活や財産等を根こそぎ捨てさせることだ。簡単に言わないでほしい」と発言するなど、国民の事を第一に考えて行動します。
亡くなった総理大臣および閣僚たちも、実は責任を取りたくない優柔不断の人
だったのが、ゴジラが現れてから少しずつ責任感を持ち始めていました。
「ドラマとは変化である」ですから、この変化が一番大事なのですが、これはフィクションだけのこと?
東京、今日の感染者467人、現実のお上たちはどのように変化してくれるのでしょうか。

おかあさんの被爆ピアノ

五藤監督の映画「おかあさんの被爆ピアノ」が、ご自身の手で小説化されました。
明日から、東京・横浜で「おかあさんの被爆ピアノ」が上映されますが、それに先立って小説も出版されました。
このお話は、実際に被爆ピアノでコンサートを行い、戦争、原爆のむごさを訴え続けていらっしゃるピアノ調律師矢川光則さんをモデルにしています。
8月になって矢川さんの「被爆ピアノコンサート」は、テレビや新聞などにたくさん取り上げられていますが、戦後75年経った今もなお活動されていらっしゃいます。

「おかあさんの被爆ピアノ」(講談社刊)
昭和20年8月6日広島への原爆投下で被爆した「被爆ピアノ」。被爆二世のピアノ調律師の矢川光則は、持ち主から託された被爆ピアノを修理し、調律し、自らトラックを運転して、全国を回り被爆ピアノのコンサートを行っていました。
奈々子は、母久美子が、大好きな亡くなった祖母のピアノを被爆ピアノとして寄贈してしまったことをしり、愕然とします。
母がなぜ内緒にしているのか、わけがわからないまま、矢川のコンサートを訪れ、強引に広島へ一緒に連れて行ってもらいます。
何故、母は広島の被爆ピアノのことを秘密にしていたのか、何故あまり広島のことを語りたがらないのか、ピアノや広島、大好きな祖母、矢川を通して、自らのルーツに出会い、広島の原爆のことを知るのでした。
 

声高に広島の悲惨さを語るのではなく、若い人を通して、広島原爆投下そのものをさりげなく見つめさせるように書かれています。
被爆の方々を主人公の奈々子が訪れたときに、被爆者の方が「被爆者が百人おれば、百通りピカの体験があると思います。・・・戦争はいかんですよ。戦争なんかしちゃいかんのですよ」おっしゃいます。
このそれぞれのピカ(原爆)体験こそが真実だと思います。
被爆者の方だからこその言葉だと、五藤利弘さんがいかにたくさんの方に出会い取材されたかがよくわかりました。
差別をされて、結婚も仕事もできなかった被爆者の方々の姿が浮かび上がります。
心から読んでほしい、心から見てほしい・・・五藤監督の被爆ピアノを通しての被爆者の方々への想いを、読んで、観て、感じて下さい。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ