menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

日常も小説もサスペンス

十三階の神(双葉文庫刊)

東京サスペンス

シナリオ・センター代表の小林です。あらら、東京感染者55人だそうで、職場クラスターもでたとか。都知事は「職場でも集団感染が出るという事例だ。新しい日常での働き方やオフィスの在り方を改めて確認してほしい」と他人事のように分析?
会社もお店も営業しないとつぶれちゃうから、こわごわ始めたのにこれだけですか。何も動かないのですか。やっぱり自衛なのですね。
かと思えば、ユニクロの柳井社長、京都大学へ100億円、かつゴミ回収作業員の方や配達員医療従事者の方々にエアリズム15万枚寄付されたのだそうです。
本庶佑特別教授、山中伸弥教授の研究への支援、本当にいいですね。
呼びつけて「援助切るぞ!」と脅かしたりしている国とはずいぶんの違いです。
研究というのは、とかく時間もお金も人出もかかる、即結果が出るものではないということもわからないのでしょうか。
大好きなお友達にあげるお金、自分たちが好きに使えるお金はあるのに、大事なことに使うお金、困っている人たちにあげるお金はないというのは、本当に腹が立ちます。
コロナ禍でとてもよくわかったことは、政治は、社会、私たちの生活と密接に関わっているということです。
だからこそ、芸能人だろうが芸人だろうがスポーツ選手だろうが、誰でも社会を担う人として声をあげていかなければならないと思うのです。全て他人事ではなく自分事なのですから。

 

十三階の神

国家を守るために、非合法な捜査も厭わない公安秘密組織「十三階」、使命に燃えて生きる公安女スパイ黒江律子が新たに任務につきます。
出身ライターの吉川英梨さんの人気シリーズの第2弾の文庫版がでました。
「警視庁公安部特別諜報員・黒江律子 十三階の神」
吉川さんは、「日本ラブストーリー大賞」エンタテイメント特別賞を受賞され、作家デビューされたのですが、一度お聞きしてみたいと思っているのですが、なぜか警察ものの人気シリーズをたくさん書いていらっしゃいます。
この「十三階」シリーズをはじめ、「女性秘匿捜査官・原麻希」シリーズ、「新東京水上警察」シリーズ、前にご紹介した「警視庁53教場」シリーズなど、よくもまあ、これほど次々と発表できると思うくらい多作の作家さんです。
吉川さんのすごさは、主人公の壮絶なキャラクターに加え、登場人物がこれでもかというほど濃いキャラクターで、読者を裏切るめちゃ面白いどんでん返し、どんどん読みたくなる構成力、驚くほどエンタテイメント。これはどのシリーズにも共通しています。
「十三階の神」は、かって地下鉄テロを起こした「カイラス蓮昇会」が舞台。
その教祖の死刑執行が迫り、またテロを起こすのでは遺体を奪還しようとするのではと警察はその対応に苦慮していた。
そんな時、律子の母がカイラスの後継団体に入信し、上司の古池は姿とくらまし、律子の妹をスパイとして潜入させろと十三階の司令官に命令され、律子は窮地に陥ります。
そこには裏の教祖と名乗る姿が警察にもわからない後継者がいて・・・。女スパイとして律子が動き出すと怒涛のような展開を見せ始めます。
帯の惹句には「終盤のどんでん返し7連発に絶句!」とありますが、それほど何を信じていいのか主人公の律子と一緒に悩みながら、読み進んでしまいます。
本当に面白い。それぞれのキャラが見事で、裏切り、援助、愛、人間の本性が暴かれます。
身内との葛藤もすごく、父親と姉を亡くしている律子は、この事件で、妹を失い、母親は精神病棟に送り込む羽目になるのです。
もうびっくり。え~、ここまでしちゃうの?と、次の第3弾「十三階の血」(こちらは文庫ではありません)は、すべてを失った律子がどのように生きるのか、もう普通の生活には戻れない律子の生きざまに、サスペンスの面白さもさることながら興味が湧いています。本当に絵がみえてきて、頭の中のスクリーンは大騒ぎになっています。
「十三階の血」すぐに買っちゃいました。(笑)
どうやったら、畳かけるようなシーンが描けるのか、是非読んでください。
構成とは何か、キャラクターとなにか、シナリオライターこそ勉強になる気がします。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ