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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

みえないみえる

いろんな技教えてくれます。浅田直亮の「シナリオ錬金術2」(言視舎刊)

わかんない

シナリオ・センター代表の小林です。今日も東京は感染者29名。5日連続20名越え。
東京アラート解除前より感染者数が多いのに、ステップ3でOKというのがよくわかりません。
誰もどうしていいのかわからないことなので、仕方がないのかもしれませんが、散々「自粛、自粛」と言っていたのに、今は何も言わないのは、「自衛せよと言ったから、勝手に考えなさいよね」ということでしょうか。
シナリオ・センターは7月再開を目安に動いていますが、どうなることやらと毎日気持ちは、揺れ揺れで感染者数を見つめています。
県外外出もOKになり、多くの人々が色々と動き始めていて、本当にいいのだろうか、大丈夫なのだろうか、疑心暗鬼の日々です。
命の守り方も難しいです。
感染して亡くならないように動かないことで守ってきたであろう2ヶ月、今度は暮らしていくための命を守ることが第一義になってきています。どちらも命を守ること。
私が支援している子供のためのボランティアでは、本当に食べていけない学生さんやシングルマザー、ファザーがいらっしゃる。
今、寄付だとか民間の支援でつないでいますが、支援だってどこまで続けていけるのかわかりません。
この命を助けるのが行政の役割なのだと思うのですけれど、どうもなぁ~、どこよりスピードはおろか、スピード感すらもない。
どうしたもんでしょ。人の命って、他人事?

いわずもがな

シナリオの講義の中で「モンタージュ」という技術があります。
「贅沢極まる殿様が、豪勢なごちそうを食べちらかして、ついには捨ててしまう」というシーンを見せておいて、次のシーンは、「貧乏な百姓が苛酷に年貢をとられ、家族5人でわずか4粒の豆を取り合って食べる」というシーンを繋ぐと、何も言わなくても「こうした世の中があっていいものだろうか?」という気持ちを、見ている人に思わせるという方法です。
「モンタージュ」の大きな意義に一つは、相克や対照ができるということです。
「二つのものシーンとかカットを合わせて、第三の意義を見出すこと」なのです。

「シャレード」はシナリオ・センターでは、よく話します。
なぜかというと、この技術は、人物、場所、状況に対して心理や状況を巧みに表現することができるからです。
何かを象徴として示すことでその言わんとする意味が伝達されるのです。
昨日も坂元裕二さんの新作スペシャルドラマ「スイッチ」(テレビ朝日)を拝見していて、シャレードの使い方の巧さにほれぼれしました。
阿部サダヲさんと松たか子さんは12年前に別れた恋人、その上、もっと因縁は深くて同じトンネル事故で両親を失った被害者家族。
やたらとカルプスを飲むシーンがあるのですが、ふたりともかならずストローで飲み、ズズズーッと音を立てて吸い上げて飲む。そこに過去の因縁も二人の深い結びつきも愛情も表現されていました。
シナリオ・センターでは、基礎講座で、夏目漱石の「坊ちゃん」を例にとって、坊ちゃんと山嵐の確執を、机の上にいつまでも氷代の1銭5厘をおいてみせるやり方をお話します。
埃まみれのところを映せば冷戦状態が続いているということ、どちらかがそれをとったらとった方から和解の感情があるというように、セリフもなしで表せるのがシャレードだとお話をしています。

人と接することが少なくなった昨今、人間観察はおのずと狭められていますが、反対にニュースだったり、お店や会社の上司や仲間、お客さまの対応など今まで以上に見えてくるものがあるかと思います。
安倍さんだけがやっている小さなアベノマスクにも、何か深いドラマが隠されているように思いますが、いかがでしょう。(笑)
アンテナを張って観察力を研ぎすませて、なんでもしゃべらせてしまったり、心の声だったりにせずに、見せることで間接的にわからせる、伝える方法を探ってみましょう。
一味違ったシナリオが描けるかと思います。

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