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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

やさしい気持ち

ゆずのどうぶつカルテ(青い鳥文庫刊)

シナリオ、勉強しようよ

シナリオ・センター代表の小林です。毎日毎日、コロナウイルスの感染者が増えていることと対応がよくないニュースばかりで心が塞ぎます。
住民説明会で厚労省の幹部が「ゴジラの咳でもなければ感染しない」と発言して、批判されていました。
ご本人は冗談でおっしゃられたとかですが、きちんとした策を持っているならばともかく、今の時期、誰もがどうなるのか、どうすればいいのか、何もわからない状況に置かれて、不安で心配で神経をとがらせているのですから、そういう状況を見据えて、説明する人は対応しなければなりません。
どうもお上の方々は、想像力に欠けているとしか思えません。他人を思いやる気持ちに欠けています。
この件だけでなく、お上はすべて具体的な説明も解決策も明示しないで、大丈夫とか適切とか、簡単に言葉を使われるけれど、意味をわかって使われているのでしょうか。今や、真摯、謙虚、丁寧の意味も違って聞こえるくらいだというのに。
伝え方はとても難しいのです。自分の言うことがきちんと伝わると思ってはいけないのです。自分の気持ちだけを言えばいいのではありません。
相手がどう思うだろうか、他人はどうとるだろうか・・・想像力を思いっきり広げなくてはわかりあえません。
他人の気持ちを謙虚に受け止めて、真摯に想像力を巡らして、丁寧で適切な対応をしていただきたいものです。
シナリオ、勉強しませんか?

ゆずのどうぶつカルテ

作家集団の辻みゆきさんの小説「ゆずのどうぶつカルテ~こちらわんニャン動物病院~」(青い鳥文庫刊)の4巻目が出ました。
毎巻ご紹介していますが、こうしてシリーズになるってすごいことなのです。今や重版されることの少ない出版界で快挙です。
でも、重版されるのは当然だと私は思っています。
主人公はお母さんが入院していて、お母さんの弟の秋仁叔父さんと暮らしている小学5年生の柚ちゃん。叔父さんは動物病院をしていて、最初は手伝うこともとまどった柚ちゃんも今では一人前のお手伝いができるようになっています。
このキャラクターの良さは、主人公の柚が動物について何も知らないこと、そんなに動物が得意ではない子にしていることです。
なので、画一的な動物を助けるお話ではなく、柚は読者とともに悩んだり、考えたり、新しいことに出会ったりする、ここが肝だと思います。

4巻目は、3つのストーリー構成になっていますが、主には「多頭飼育崩壊」を描いたものです。
たくさんの猫と暮らすおばあさんと知り合った柚とお友達のせいらちゃん。
猫たちを可愛がる優しいおばあさんが、ある日、倒れてしまったところに遭遇。
おばあさんを助けることはできたのですが、50匹もいる猫たちは保健所の人に連れられていってしまいます。
多頭飼育の崩壊、避妊去勢の必要性、保健所の取り組み、引き取り手のない動物たちの行く末など、現実の厳しさに直面していく姿を描いています。
辻さんは、柚目線で「小さな命」の大切さ、安易に飼ってはいけないことをやさしくいくつかのエピソードを通して語りかけています。
他のお話も、光を浴びることができないために骨折してしまったインコ、目が見えなくなってしまった犬を通して、飼い主の在り方、動物への付き合い方、愛情のかけ方、人としての生き方をさりげなく伝えています。
常に迷いながら動物たちと接していく柚という主人公を使って、読者のこどもたちに、上手に動物に対する思いやりの心を伝えている素敵な本です。
5巻目が楽しみです。

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