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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

出前授業

嘘八百 京町ロワイヤル

出前授業1

シナリオ・センター代表の小林です。今日は、出前授業に千代田区立番町小学校へ出かけました。毎年5年生にシナリオの授業をさせていただいています。
案外知られていないのですが、子供の数が少ないことが子供の生活に弊害になっていることをご存じでしょうか。
第二次世界大戦が終わって数年経った時期に世界中がベビーブームという時代がありました。
日本で今団塊の世代といわれる方々が生まれたのです。
300万人ぐらい生まれて、私もそのシッポあたりに生まれたのですが、教室が足りなくてプレハブ校舎や二部授業をする学校も多く、1学年10数クラス、1クラス60人くらいが当たり前のなかなか人数、多いだけに自己主張しなければ存在も危ぶまれるほどの厳しい状態でした。担任に覚えてももらえていない生徒だっていたほど。(笑)
2019年の出生人数は90万人割れと、ベビーブームの1/3以下です。
子どもの人数が少ないと今度は何が問題になるかというと、ベビーブーム時代と反対にあまりに目が行き届きすぎてしまうことなのです。
学校でも人数が少ないから指示が細かい、家では一人っ子が多いから、親が必要以上に口や手を出してくる。それにシングルマザーなどそれぞれの家庭環境も多様化している。
で、どうなってくるかというと、子供たちは息抜きする場所がなくて、窒息寸前な状態なのだそうです。
いじめが増えているのも、吐け口がない、息ができないからかも知れません。
多すぎても少な過ぎても弊害はあるのですね。

シナリオを描くことは、子供たちにとって大きな息抜きになるようです。
セリフが主体なので、作文のように面倒ではないせいでしょうか、キャラクターづくりとシナリオの形式がわかると、どんどん書いてくれます。
今日も勢いがとまらないくらい書いてくれました。
シナリオは、アクション・リアクションの両方を書かなくてはいけません。
こう言ったら、こう行動したら、相手は、他人はどう言うのかどう行動するのか…他者を受け入れる想像力と他者に伝える創造力をもつことは、子どもたちにとって大きな武器になります。
楽しみながらも、他人のことを想像できるシナリオは、自然と子どもたちに人としての力をつけてくれるはずです。
このふたつのそうぞうりょく(想像力と創造力)は人として不可欠なもの。
子どもも大人も持ってほしいです。

出前授業2

現在、絶賛上映中の「嘘八百 京町ロワイヤル」は、センター出身のプロデューサー横山和宏さんプロデュース。
横山プロデューサーは、是枝監督の「歩いても歩いても」(08)や「地獄少女」(19)「ファイナルファンタジーXZV光のお父さん」(19)などを手掛けており、上映中の「嘘八百 京町ロワイヤル」は、ヒットした1作目を超えたどんでん返しに次ぐどんでん返しの立春にふさわしい開運招福コメディです。
中井貴一さんと佐々木蔵之介さんの骨董コンビが最高!
贋物仕事から足を洗った骨董屋が仕立てる古田織部の幻の茶器を巡る大バトルに笑いがいっぱいで、面白いコメディに仕上がっています。
泣きのツボは一緒でも笑いのツボはみんな違うといわれ、コメディは、一番難しいといわれています。
コメディを描きたい、日本中を笑いに包みたいと思っていらっしゃる方は参考にしてみるといいです。

現在ヒット上映中の岩井監督の「ラストレター」をはじめ「君の名は」「天気の子」などのプロデューサー川村元気さんもセンター出身。「電車男」でプロデュースデビューされてからヒットメーカーとして大活躍されています。
「ドラえもんのび太の新恐竜」(20)では脚本も描かれています。

実をいうと、出身プロデューサーの方は案外多いのです。学生の頃学ばれた方もいらっしゃいますし、現在学ばれていらっしゃる方も。
シナリオは、シナリオライターだけのものではなく、映画ドラマを作る方々の指示書でもありますから、製作を司るプロデューサーの方々もシナリオが読めることが必須です。
ここ数年、制作会社での出前ディレクション研修が増えて、多くのプロデューサー、ディレクターの方々が熱心にシナリオの勉強してくださっています。嬉しいことです。
製作にかかわる人々がすべてシナリオをしっかりと学ぶことで、共通言語が生まれ、みるべきところもお互いにわかり、コミュニケーションも活発になります。一つのものを見る方向が決まることで、いいものができる、より面白いものを作ることができるのです。

シナリオ・センターは、シナリオライター養成のみならず、製作する方々すべてに、また子どもたちの想像力・創造力をを広げるために、シナリオの技術を、楽しさを出前していきたいと思っています。

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