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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

誰一人完璧な人がいないから世の中面白い。

マンガでわかる認知症の人の心の中が見える本(わかさ出版)

キャラクターって

シナリオ・センター代表の小林です。九州の雨は一体いつまで続くのでしょうか。大きな災害にならないことを切に祈るばかりです。
今日はアメリカの独立記念日。日本としては、またトランプ大統領が何かいいだすのではないかとハラハラドキドキしているのではないでしょうか。 これほど面白いキャラクターはドラマでは嘘っぽくなりすぎるかもしれませんね。()

新聞の本の広告を読むのが好きです。
この頃では、出身ライターの方のお名前をよく拝見するので、それもまた楽しいです。
そのなかで、岡田惠和さんのコメントが載っていた本がありました。瀬尾まいこさんの「優しい音楽」です。
「好きすぎて好きすぎて、あまりに何度も読みすぎて溶け合って、もう自分が書いたんじゃないかと思うくらい好きな小説です。」と絶賛されていらしたので、この言葉に誘われて読ませていただきました。
3編の短篇集なのですが、登場人物はいい人ばかりで、心温まるお話です。
「いい人」というひとくくりにすると2面性もないみたいですが、本当に魅力的なキャラクターばかりが登場します。半端ない素晴らしく魅力的なキャラクター。
まず、読んでみていただきたい。
なるほど、岡田さんが「もう自分が書いたんじゃないかと思うくらい」とおっしゃる意味が分かりました。
設定は突飛だけれど、なぜか気持ちがいい、登場人物に感情移入してしまう。
瀬尾まいこさんが本屋大賞を受賞された「そして、バトンは渡された」もそうですが、みたことのない新しい設定×魅力的なキャラクター=面白いってこういうことだと勉強させられます。
岡田惠和さんの「最後から二番目の恋」見たくなりました。

マンガでわかる認知症の人の心の中が見える本

元作家集団の水城孝政さんが編集人で、元研修科の漫画家の浅田アーサーさんが描かれた「認知症」の本が出版されました。
「マンガでわかる認知症の人の心の中が見える本」(わかさ出版刊行)
>>https://amzn.to/2YkceKh
理学療法士の川端智さんが実話から認知症の方の行動を紐解いてくれます。
認知症に興味のない方も是非読まれると、他人の行動性を理解できて、優しい気持ちにもなりますし、シナリオに活かせます。

認知症の方は何度も同じことをききます。聞かれた方は何度も言っているので、だんだん腹が立って「さっきも言ったでしょ!」と怒鳴ってしまったりします。
実は認知症の方は、他人に迷惑をかけないように常に「記憶しよう」「覚えていたい」と思って頑張っているのです。記憶しなければという意識があるからこそ何度も聞くのです。
「短期記憶の障害」ですから、本人は不安を覚えて何度も聞くわけで、何度も言ったことでも初めて話しているように話したり、別の言い回しをする、または「私が覚えておくから大丈夫よ」と安心させるなど周りが「覚えていたいという気持ちを尊重してあげる」ことが大事なのだそうです。
認知症の世界と非認知症の世界にはギャップがあるということを常にわかって接することが大事なのです。
認知症の方は、不安を解消するために、自分がはっきりわかる時代や輝いていた時間、場所に戻っていたり、全体の雰囲気で判別したり、目的をもって出かけていたりするのだそうです。
認知症の方は、私たちの会話が「早送り(2倍速以上)」で聞こえているといわれています。なので、理解しにくいのだそうです。
そういえば、歳をとるごとにテレビの漫才や早口が聞き取りにくくなっていきます。
私は、野田MAPが大好きで、学生の頃から観劇にいっていたのですが、今はちょっと躊躇しながら出かけます。
なぜかというと、突発性難聴の上に歳をとったこともあって、他の役者さんのセリフはまだ聞き取れるのですが、野田秀樹さんのセリフが聞き取れない、高音で早口なのです。
しかもアドリブを言う時は余計早口で高音になるので聞き取れず、周りが笑っているのに取り残されて寂しい思いをするときがあります。

この本を読んで、ああ、認知症の方は、私が芝居で取り残された寂しさを毎日感じていらっしゃるのだとわかって、そんな思いをさせないように気をつけねばと思いました。
なによりも大事なのは、相手(認知症の方)を思う想像力ではないでしょうか。
シナリオの技術を習得するのと同じで「なんで」ということがわかると他人に対してやさしく対処できるのですね。
肝に命じたいものです。

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