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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

シナリオの根本。ドラマの基本をしっかり知ろう!

ドラマへの提言(新潮新書刊)

様々な見方

シナリオ・センター代表の小林です。平成がもうすぐ終わりますが、シナリオ・センターも今年で一区切り、来年は50年になるので新年号でも作ろうかと。()
気持ちだけは、新しいシナリオ年に向かって、あれもこれもやりたいことがあふれ出てきて、わさわさと収まりがつきません。
もはや、月刊シナリオ教室に告知しなくてはいけないので、まだ寒いのに早くもサマーセミナーが進んでいます。
2年続けて、シナリオミッションインポッシブルをやってきましたが、ちょうど区切りとしてファイナル、2年の総決算として、でも、めちゃ新しい発想でやりたいと思っています。
一番人気は講師もゼミメンバーも毎回シャッフルしたこと。1日の中で3回ゼミをやったのですが、その都度メンバーも講師も総入れ替え。なので、色々な意見、感想をきけることで、すごく自分の作品を客観的にみられるようになるのです。
2人よりも4人に、4人よりも10人から感想や講評をもらうことが、また講師によって見方が違うことがとってもプラスになるようです。
そういえば、週末にフォーハンドというマッサージを受けたのですが、上半身、下半身と分れて二人がかりでマッサージをしてくれるので、2倍お得ってかんじ。同じですね。意味不明な解説でした。どこが???()
ま、色々な人との出会い、さまざまな見方は、自分を広げる大きな糧です。
今年は、ファイナルですから、めちゃくちゃ皆さんが楽しんでいただけるよう企画します。お楽しみに。

化学反応

2月に「ドラマへの遺言」という本が出ました。ご存じ倉本聰さんへ、倉本さんと親交が深った元テレビマンユニオンのプロデューサー碓井広義さんがインタビューされています。
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歳を過ぎられても新鮮な発想で、シニア世代をとらえた昼ドラ「やすらぎの郷」を書かれ、今年またその続編「やすらぎの刻~道」が春から放送されます。
その倉本さんが次代に伝えるドラマへの遺言を読まれると、なるほどなあと思うことがたくさんあります。
前回の「やすらぎの郷」は菊村栄という脚本家が主人公で彼を取り巻く老優たちの狂言回しです。
その中で「今のホン屋(脚本家)は人を書くより筋が大事だと勘違いしているからな。視聴者は筋を追うより人間を描くことを求めているんだけどな」と菊村に言わせています。
それについて倉本さんは、「筋とよばれる、いわば、大まかな展開から描いてしまうと、人のことを考えていないから、(登場人物たちによる)化学反応が期待できない。
AとBが出会った瞬間からしか考えていなくて、とりあえず、都合よく出会わせてしまってね。
役者でたとえるなら・・・(略)昔の役者でいえば、ショーケン(萩原健一)と桃井かおりが出会うのと、草刈正雄と大原麗子が出会うのでは役者同士だけ見ても違うと思うんですよね。そこに各々のキャラクターを設定し、ぶつけ合った時にどんな出会いになるのか、化学反応が起きるのか。
そこを考えるのがドラマ作りの中で一番面白い。
まさにドラマ作りの醍醐味でもあると僕は思っているけど、そういう脚本家、今どれだけいるんでしょう。」
「登場人物ひとりずつの履歴書を作ると、どこでAとBが出会うのか、これまでにそれぞれが形成してきた履歴やキャリア、はたまた、Aという性格とBという性格が向き合った時に起こる化学反応こそがドラマだと思うんですね。僕は。
履歴書をしっかり作らないとドラマが湧きようがなく、“根っこのない本”になってしまう。
根っこがなければ木は立つわけがないのに、強引に立たせたフリをして、花を咲かせたり、葉を茂らせたり、実をつけさせたりしている書き方っていうのは違いますよね。」
倉本さんはものすごく綿密な履歴書を作られることで有名ですが、筋ではなく、人間同士の化学反応こそがドラマという倉本さん。
まさにドラマの神髄ですね。「人間を描く」というドラマの根本を倉本さんから学びましょう。
「ドラマへの遺言」(新潮新書刊)、お勧めです。

 

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