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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

先輩の活躍は素晴らしい。あとへ続こう。

雪の華(幻冬舎文庫刊)

人形町の魅力

シナリオ・センター代表の小林です。東京新聞を読んでいたら、あれ~???
知っている顔がいつもと違ってニヒルなお顔で載っていました。 ヤバイ!いつもの笑顔ではないということは、新聞に載るなんて、どんな犯罪を?もしかしたら銃刀法違反、横浜あたりでバンバンぶっ放しちゃったとか、確かそんな場所を探していたような気もするし・・・あぶないデカじゃないあぶない人がスタジャン着てそこに。(笑)
よくよく読んでみたら、わがシナリオ・センター大先輩の柏原寛司さんの三日月座のお話でした。
柏原寛司さんが私財を投じて創られた試写室併設のカフェ三日月座のご紹介でした。
知っている人は知っている柏原さんのミニシアター、といっても映画館は消防法の関係で難しく、ご自分が楽しまれるための試写室となっているのですが、人形町の一角に25席の小さいながらも素敵な映写室です。
しかも、さすが凝り性の柏原さん、35ミリフィルムからデジタル作品まで上映できるのです。
そこではお芝居もできて、私はお芝居も映画も拝見したことがあります。2階のカフェは、奥さんの久美子さんが切り盛りされていて、ヘルシーな「麩レンチトースト」人気だそうです。私はコーヒーしかいただいたことがないので、今度は是非いただきたいと思います。
試写室は参加無料の「映画研究会」を随時解さされていらっしゃり、貸し切りでも利用させていただけるそうです。

あの「新参者」の舞台にもなっている東京のど真ん中の下町日本橋人形町。
水天宮もあり、子供を授かった方は犬の日に腹帯をいただきにお参りします。
私は大好きな町で、鳥近という鳥専門店で鶏肉や焼き鳥を、人形町今半でお肉とかお惣菜を、お豆腐屋双葉で豆乳を、森野園でほうじ茶を、三原堂で豆大福やおせんべいを、福神漬けで有名な酒悦で東京名物べったら漬と福神漬を毎月買い出しに行っています。
最近は人形焼き屋さんも鯛焼き屋さんもシュークリームが売りのケーキ屋さんも人人人と並んでいるので、そこはスルーすることが多いのですが、人形町って、本当に商店も飲食店も豊富で、昨今は平日だって観光客が溢れています。
私はいつも50円玉をいくつかいただけるだけですが、暮れの福引が現金つかみ取りというのもワクワクします。いつかきっと・・・。
よくいくわりには、三日月座は、いつも横目で、今日は何しているのかなあと思いながらスルー、残念なことに、いつも犬連れなので通り過ぎるだけという現実なのですが。(涙)
柏原さんは、本当にちゃきちゃきの江戸っ子で、親分肌で、どなたにも差別なく面倒見がいい。自分だけが楽しもうとされない方で、そのお人柄に同級生ですが本当に尊敬しています。

映画も小説も

岡田惠和さん脚本の映画「雪の華」が大ヒット。そして、ノベライズの「雪の華」が重版、重版で6万部を超えたそうです。
ご存知のように「雪の華」は中島美嘉のヒット曲。そのラブソングをお題に、タイトルは「雪の華」で脚本は岡田さんのオリジナルです。
シンプルなラブストーリーで、一見お約束事のような設定ではあるのですが、岡田さんの脚本の凄さは、主人公二人のキャラクターとその変化が見事で、全然お約束事に見せない。「一生に一度の運命の恋」というキラキラムービーを、ただのキラキラではなく大人も楽しめるラブストーリーに昇華して観客の紅涙を絞っています。
映画は3日間で3万人の動員、グッズも売れて売れて、中島美嘉さんの「雪の華15周年ベスト盤」も売れて売れてと・・・、冬は「雪の華」で埋まっています。

こちらのノベライズ「雪の華」(幻冬舎文庫刊)の作者は、やはりセンター出身の脚本家国井桂さん。
昨年秋の「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日)は人気を博しました。
国井さんが、岡田さんの脚本をノベライズ化されました。国井さんは、「岡田さんの脚本を堪能しながら、ノベライズ化しました。岡田さんの脚本は本当に勉強になります」とおっしゃっていらっしゃいました。
映画も泣かせられますが、小説は全く別物として素晴らしいです。
国井さんのノベライズの凄さは、岡田さんの脚本を生かして、映像をそのまま彷彿させながら、上手に二人の心情を描いていること。 二人主人公の一人称で交互に描くという映像的な方法で、二人の気持ちの変化が切なく描かれています。
国井さんは岡田さんの「ひよっこ」もノベライズされていらっしゃいますが、岡田脚本をこよなく愛していて、リスペクトしていらっしゃるからこそ、いきいきとした岡田さんの脚本を、物語の展開だけはなく、主人公へ感情移入できるドラマと同じようにノベライズとして描けるのでしょう。
文章もこなれていて、いわゆるノベライズという感じではまったくありません。映画を知らない方が読めば映画のノベライズというより原作本だと思われるかもしれません。
岡田脚本のすばらしさを大切に国井さんの小説世界へ惹きこんでいく、脚本家の国井さんだからこそできる新しいノベライズのジャンルとなった気がします。
これからも岡田・国井コンビで、ドラマや映画をノベライズ化して欲しいです。
映画を先に観るか、ノベライズを先に読むか、どっちが先でも感動します。

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