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展覧会を企画する /古き良き文化を継承する会代表・根本隆一郎さんのお仕事

古き良き文化を継承する会代表の根本隆一郎さん(シナリオ8週間講座修了)

展覧会を企画する /シナリオの技術を活かして

シナリオ・センターの受講をご検討中のかたから、
「文を書くことには興味あるけど、脚本家になりたいわけではないし…。シナリオの技術は脚本家になる以外にも何か役に立つのでしょうか」
――といった質問を受けることがあります。

シナリオ・センターの受講生は、脚本家や小説家など“文筆家”になりたいかただけではありません。
それ以外の目的をもって受講されているかたも勿論いらっしゃいます。
2000年にシナリオ8週間講座を受講された根本隆一郎さんも、そのひとり。

【テレビ番組・イベント・寄席などを企画する制作会社に勤めていたとき、シナリオの技術を学べば、企画書や構成台本を作るときに役に立つと思い、シナリオ・センターに通いました。特に「構成」は、この仕事をしていたときも、今の仕事でも、本当に役に立っています】と根本さん。

根本さんの“今の仕事”とは?
それは、ご自身で立ち上げた特定非営利活動法人「古き良き文化を継承する会」でのご活動です。同会の代表理事として、展覧会やイベントのほか、出版企画・編集なども精力的に手掛けられています。

例えば展覧会では、佐藤製薬のマスコットキャラクター「サトちゃん」の生みの親でもある画家の土方重巳さんの作品を展示した「土方重巳の世界」展を、西宮市大谷記念美術館では今年2018年12月9日まで、また、刈谷市美術館では2019年4月20日~6月2日まで実施。
(画像↓:『ねずみとおうさま』(1953)絵本原画 土方重巳)

また、映画・ジャズ・ミュージカル評論家/画家/グラフィック・デザイナーの野口久光さん生誕110年記念した「野口久光 シネマ・グラフィックス」展を、横須賀美術館では来年2019年2月9日~3月31日まで、また、山形美術館では同年4月6日~5月12日まで実施予定です。
(画像↓:『大人は判ってくれない』(1960)ポスター 野口久光)

根本さんは脚本家ではありませんが、「展覧会を企画する」というお仕事にもシナリオの技術を巧みに活用されています。

そこで、根本さんはシナリオの技術をどう活用されているのか、お聞きしました。
この活用法は、皆さんのお仕事にも活かせると思いますよ!

それではまず、根本さんが展覧会を企画してから実施するまでの「道のり=スケジュール」からご紹介。

毎回このブログコーナーでは、シナリオ・センター先輩方の「ある日のお仕事タイムスケジュール」をご紹介していますが、今回は「土方重巳の世界」展が実施に至るまでの「作業スケジュール」を教えていただきました。

なお、根本さんが「古き良き文化を継承する会」を立ち上げた経緯や目的、展覧会でフィーチャーしている「土方重巳」と「野口久光」に対する想いやエピソードは、『月刊シナリオ教室』(12月号/11月28日発行)に掲載しますので、こちらのブログと併せてご覧ください。

展覧会「土方重巳の世界」展を企画してから実施するまでの主なスケジュール

〇根本さん:早くても開催の1年半前~2年前あたりから準備を開始します。

一番初めに取り掛かることは実施できる美術館を探すこと。企画に興味をもっていただいて、開催させていただけるかどうかお願いします。

その後、どれを展示するか選んでいきます。今回は5000点以上の膨大な作品の中から500点近い作品を選びました。

また、会場で流す映像はどうするかも決めます。その映像はどこからお借りできるのかを確認後、展覧会用に編集します。

図録の編集では、どういう構成にするかを決めて、インタビューさせていただきたい方へのオファーをします。

今回の「土方重巳の世界」展の図録は表紙のデザインもしました。

この「土方重巳の世界」の文字については特にこだわりました。土方先生が生み出したキャラクターたちが土方重巳の文字の中で遊んでいるというコンセプトで文字とイメージ画を私が手描きし、デザイナーにレイアウト指示を出します。

図録の編集作業と展示キャプションの原稿、レイアウト作成、そして350枚を超える展示作品の額装を同時進行で進めます。

展覧会は会期が決まっているので、間に合わせるために連日徹夜に近い状態が続きます……。

額装に関しては1つの作品ごとにそれぞれ額を決め、作品ごとにマットを切ってもらうため、1枚1枚指示書を作成します。

そして、マットが上がってきた段階で具体的な額装作業に取り掛かります。
出来上がりがこんな感じです↓

全体的な展示の構成も考えますが、当然ながらそれぞれ美術館ごとに仕様が異なるので、具体的な展示については各美術館の学芸員にお任せしています。

ただここでも構成の上手い下手はあって、上手い学芸員さんの手にかかると同じ展覧会でも素晴らしく作品が映えるので、やっぱり構成力、構成に伴う演出力は重要だと思います。

案内状は、400~500通ほど手書きで準備します。心を込めて1通1通お送りしています。

脚本家以外の仕事にも「構成」は使える

〇根本さん:「土方重巳の世界」展は、今回が初めて(第1回目)の実施となるので、上の図の③「協賛していただける企業を募るため直筆で手紙を書く」という作業をします。

手紙をお送りした後、リアクションをいただけた企業様には直接お会いしてプレゼンをさせていただくのですが、この手紙やプレゼンもシナリオの技術が役立っています。

具体的に言うと、シナリオの技術の「構成(起承転結)」です。

手紙もプレゼンも、相手のかたに協賛するメリットと広がり、ストーリーを明確に理解していただかなくてはなりません。
自分が具現化したいことを相手に納得してもらうには説得力が大切になります。

そして、その説得力の根底には、構成力が一番必要だと思います。

例えばプレゼンだったら、どのタイミングで、どのようなことを、どんな風に話せば相手に分かってもらえるか。相手にきちんと伝わるようにするには、予めきちんと構成を立ててイメージしておかないといけませんよね。

僕の場合は、「構成」を立てることがクセになっていますね。
展覧会の図録も含めて毎年5冊ほど出版しているので、アタマの中でページ構成をイメージする習慣がついています。

以前、締め切り間近に予定していたページ数が急遽埋まらなくなってしまったことがありましたが、「この構成ならあの原稿をここにいれよう」と瞬時に閃き、ぴったりおさまったということがありました。日頃から意識して引き出しを増やしていくことも大事ですね。

構成力が求められる仕事は脚本家以外にも沢山あると思います。
皆さんもご自分のお仕事に「構成」、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

※「土方重巳の世界」展と「野口久光 シネマ・グラフィックス」展の詳細は、こちらの「古き良き文化を継承する会」の公式サイトをご覧ください。

※是非これまでの記事も併せてご覧ください。
【「先輩のオ・シ・ゴ・ト(『月刊シナリオ教室』)」連動企画/ブログ記事一覧のブログ】はこちらから。

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