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自分大好き小説 にならないように一人称に注意

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回は、一人称で書くときの注意点について。一人称で書くと特に初心者は「自分大好き小説 」になりがち。なぜ一人称で書くと主人公が自意識過剰なキャラクターにみえてしまうのか。自分大好き小説 にならないようにするにはどうしたらいいのか。柏田流の考えをご紹介。

自分大好き小説 としないために

小説を書こうとする際に、一人称か三人称かの選択をします。

「私は」「ボクは」といった一人称だと、原則として、物語の中に常に私がいなくてはいけませんし、私が見たことや心理しか書いてはいけない。私以外の人物の心理は見えないので書けません。「真美は」「佐倉は」といった三人称の場合は、三人称一視点が原則とされます。

で、前回まで一人称で書かれていた“私”を、三人称の例えば“真美”に置きかえればOKかというと、そうとも限らず、微妙なニュアンスが違ってくると述べました。

これをもう少し簡単な例で示すと、“真美は美人だ。”というのを、“私は美人だ。”とするとどうでしょう?

三人称の場合は、読者は「そうなんだ」と思うだけですが、一人称だと「ほんと?」「こいつ自意識過剰なんじゃない?」と思うかもしれません。この差が両者の違いです

三人称一視点についてまとめる前に、もうちょっと一人称小説について述べておきます。

というのは、数ヶ月前までに連載を持っていた『公募ガイド』誌では、1000字というショート小説を読者に提出してもらっていました。こうした短い小説は一人称が書きやすいのか、全体の7~8割を占めていました。

小説としての完成度の高い作品ももちろんありましたが、多くの一人称小説がエッセイのようでした。

書き手が「私」なり「俺」とかになって、日常の体験や感慨、思いが綿々と綴ってある。そうした作品はエッセイとかならば、いわゆる「いい話だね」なのですが、小説としては物足りない。

結局、上記のような書き手の「自意識過剰」、もしくは「自分大好き」物語になっていて、読み手の私としては正直うんざりさせられました。

たまたま小説コンクールの下読みをしていた人たちと話したら、「純文学系とかはそんなのばっかりですよ。私はこんなに有能なのにひどい目ばっかり遭っていて理不尽だ、みたいな」「それと、こんな美しい体験をして、心が洗われた。人生は素晴らしい、とかもあるよ」ともう一人。

笑い話ではなく、こうした印象の小説(実はシナリオも)が近ごろ多い気がします。

ある段階からは三人称で

一人称小説にそうした傾向が強い印象があるのですが、三人称で書くことで、書き手は架空の人物という認識で動かせるために、「私大好き」小説になってしまう危険性が回避できる。

もちろん、三人称であっても作者自身を主人公(視点者)に投影させ過ぎると、そうした印象になりがちです。これは三人称多視点であるシナリオも同様です。

書き手が人物に投影される、あるいは作者自身の思いや感覚を人物に代弁させるといったことは、創作においては当たり前です。問題はどのくらい(自分が創造した)人物や物語に対して客観性を保てるか? 

小説のハウツウ本で「初心者は一人称小説は書くな」と主張している筆者の理由は、この「書き手=私」の度合いが強くなりすぎる弊害をあげているケースが多いようです。

私は「書きやすい」「入りやすい」ならば、一人称を選択しても構わないとは思うのですが、改めて「自己陶酔」「自意識過剰」「自分大好き」とならなければ、という但し書きをつけたいと思うようになりました。

ですので、一人称からスタートしても構いませんが、ある段階からは三人称で書いてみることをオススメします。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2015年6月号)より

次回は11月3日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

【要ブックマーク】これまでの“おさらい”は「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧で!

小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。 

 

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