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企画 (アイデア)が凄い!と思うオススメ映画9選

企画(アイデア)が凄い!と思うオススメ映画、推薦人は…
左から:吉﨑崇二講師、坂田俊子講師、柏田道夫講師

企画(アイデア)が凄い!と思うオススメ映画・9本ご紹介

【わくわくドキドキ、心をふるわせ、笑ったり涙したりした名作、傑作、佳作、感動作…。
人間は肉体的欲求を満たすだけでなく、心のための物語(作品)を食べていかなくては生きてはいけない動物です。そうした、人に不可欠な「作品」は「企画」を立てることから始まります】
(柏田道夫・著『物語を創って商品化するための企画の立て方・改訂版』[映人社]より)

脚本家・小説家でもあるシナリオ・センターの柏田道夫講師が言うように、映画やテレビドラマなどの作品は「企画」をたてるところから始まります。「今まで観たことがない!」と観客や視聴者が驚くような「企画(アイデア)」を思いつくことが、そもそものスタートになるわけです。

そこで今回は、「企画(アイデア)が凄い!と思うオススメ映画」をシナリオ・センター講師に聞いてみました。

お聞きしたのは、
・通信講座担当・吉﨑崇二講師
・研修科クラス担当・坂田俊子講師
・作家集団クラスの他、企画書講座・小説講座も担当・柏田道夫講師
――のお三方です。

今回オススメする9本を参考に、どうすれば面白い企画が立てられるのか、考えてみるのもいいのではないでしょうか。

吉﨑崇二講師オススメ
「プロデューサーを口説き落とした企画」という視点で選んだ3本

今回のテーマが「企画(アイデア)が凄い!と思うオススメ映画」と聞いて、すごく悩みました。このテーマだと単純に「面白いからこの映画をオススメします」という話では、ちょっとないんじゃないかな、と思ったからです。企画自体は面白いのに、全体的にあんまり…ってこともあるので。

今回はあくまでも、「企画が面白い」ということに焦点を当てて選んでいます。
もっと言うと、「こういう企画だから、プロデューサーが“具現化=映像化”したいと思ったんだろうな」と感じた映画を選びました。

特に駆け出しの脚本家は、「何かいい企画ない?」とプロデューサーに聞かれます。
でも、企画はなかなか通らない…。

なぜこんなにプロデューサーが厳しいのかというと、プロデューサーはその企画を映像化するために色々な人を口説き落として、映像化するための資金を集めなきゃいけないからなんです。
だから、人を口説き落とす前に、まず自分が「これは凄い!」と口説き落とされないと始まらない。

じゃあ、どんな企画ならプロデューサーを口説き落とせるのか。
こういった視点で、今回はこちらの3本を選びました。

①『ビリギャル』【2015年/日本】

『ビリギャル』は、「学年ビリのギャルが慶應大学に現役合格した話」で、「〇〇が××する話」というふうに1行で内容が言えるからオススメ。

5秒くらいで内容が分かりますしね。忙しいプロデューサーを一発で“KO”するにはもってこい。

3行ストーリーというのは、シナリオ・センターの講座等でお伝えしているので、皆さんも脚本を書く前に考えていると思います。今度はもっと絞って、自分が書きたい内容を1行ストーリーで考えてみてください。

もう1つ、この映画をオススメする理由があって、それは展開を期待させるから。
だって、学年ビリの子が名門大学に現役で受かるんですよ。「え!?どうやって?」って思いません?

【学年ビリ】というスタートを“A地点”として、【名門大学現役合格】というゴールを“B地点”としたとき、道のりが長そうですよね。
こんなふうに、A地点からB地点まで道のりが長いと、観客は「どうなるんだろ!?」とワクワクします。プロデューサーだって同じです。

例えば、今公開中の映画『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年/日本)も同じタイプの企画だと思います。

プロデューサーに、5秒で内容が伝わって、しかも「どんな展開になるの?」と言わせる企画。皆さんも考えてみてください。

■製作スタッフ・キャスト=監督:土井裕泰/脚本:橋本裕志/原作:坪田信貴/出演:有村架純、伊藤淳史

※You Tube
シネマトゥデイ
映画『ビリギャル』予告編

②『ラヂオの時間』【1997年/日本】

オススメする2本目は、“裏”を描いた企画。いわゆる“舞台裏もの”です。

この映画はタイトル通り、ラジオドラマが出来るまでの舞台裏を描いています。
なんか“裏”って興味そそられません?「そんなことあるんだ!」って。だから、みんな好きなんですよ。

“裏”を描いた話題作やヒット作は沢山あります。

例えば、マンガ『ダンジョン飯』(九井諒子・著/KADOKAWA エンターブレイン)。これは勇者の“裏側”。冒険者の一行がモンスターを食べながら魔物に立ち向かっていきます。でも、「勇者だってお腹すくよね」って共感しちゃう。

あと、今公開中の映画『インクレディブル・ファミリー』(2018年/アメリカ)もそうだし、大ヒットしているシナリオ・センター出身・上田慎一郎監督の映画『カメラを止めるな!』(2017年/日本)もそう。

まだ描かれていない“舞台裏もの”を企画して、プロデューサーを「ウッ!」っと言わせてみては?

■製作スタッフ・キャスト=原作・監督・脚本:三谷幸喜/製作総指揮:松下千秋、増田久雄/企画:久板順一朗、島谷能成/製作:村上光一、高井英幸/プロデューサー:石原隆、佐倉寛二郎/出演:唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子

③『武士の家計簿』【2010年/日本】

オススメする3本目は、既成概念をぶち壊す企画。脚本を手掛けたのはシナリオ・センターの柏田先生!

一般的に、武士といったら真っ先に思いつくのは“刀”じゃないですか?
でもこれは違う。武士なのに“算盤”。刀ではなく算盤で生きる武士の話。意外性がありますよね。

これと同じタイプの企画が映画『ウォーターボーイズ』(2001年/日本)。キャッチコピーは「男のシンクロ!?」でした。女性がやるイメージが強いシンクロを男でやるなんて、今までになかったアイデアです。

また、テレビドラマで放送され、映画にもなった『任侠ヘルパー』(テレビ:2009年、映画:2012年)も、任侠がヘルパー!?って驚きますよね。対局な位置にある「任侠」と「ヘルパー」を合わせるなんて、このタイトルを聞いただけで今までにない感じがします。

こんなふうに「〇〇がこんなことしたら面白いんじゃない?」という切り口で考えてみると、これまで誰も考えつかなかったような企画が思い浮かぶかもしれませんよ。

■製作スタッフ・キャスト=監督:森田芳光/脚本:柏田道夫/原作:磯田道史/出演:堺雅人、仲間由紀恵、松坂慶子

坂田俊子講師オススメ
企画(アイデア)だけでなくエンターテイメント性にも富んだ3本

「企画(アイデア)の優れた映画を」と聞き、どれをご紹介しようか非常に迷いました。

悩んだ結果、「企画(アイデア)」が優れていて、なおかつ、複雑に絡み合ったストーリーながらエンターテイメント性に富んだこちらの3本を選びました。

④『エントラップメント』【1999年/アメリカ】

私は円熟味を増した頃からのショーン・コネリーが大好きで、今回ご紹介する3本全てを彼の作品にしたいと思ったくらい……(笑)。これはその中の1本。

ショーン・コネリー演じる60歳の美術専門の怪盗・マックとキャサリン・ゼタ・ジョーンズ演じる若く美しい保険会社調査員ジンの駆け引きを描くサスペンスアクション映画。

公開が1999年だったこともあり、“2000年問題”が背景になっています。マックは2000年問題で一時的にコンピューターがシャットダウンする間に、ある銀行に眠る大金を自分の口座に移してしまうという計画を企てます。

「2000年になる直前に何かを企てる」といったアイデアは、この時期いろいろあったと思うのですが、その中でもこの映画は特に秀逸でした。

というのは、この映画は「限られた日数の話」になっているからです。2000年を迎える直前の、わずか16日間という限られた期間の出来事を濃密に描くことで、“この時期よくあったアイデア”では終わらないものになっています。

また、このアイデアをより際立たせているのが、人物設定の巧みさ。マックとジンの2人だけでなく、さりげなく絡む登場人物も「実は…」という設定になっていて、とてもうまく構成されています。

誰が罠を仕掛け、仕掛けられるのか。誰が騙し、騙されるのか。誰が裏切り、裏切られるのか、と「一瞬も見逃したくない!」とどんどん引き込まれていきます。

このほかにも、伏線の張り方・回収の仕方、冒頭から観客の心をグッと掴むオープニングの見せ方、キャサリン・ゼタ・ジョーンズのしなやかな肢体によるアクションシーン、余韻のある終わり方等々、美しく映像化されていて、“アイデア倒れ”してません!

■製作スタッフ・キャスト=監督:ジョン・アミエル/脚本:ウィリアム・ブロイルズ/製作総指揮・脚本:ロン・バス/製作総指揮:アーノン・ミルチャン、イアイン・スミス/出演:ショーン・コネリー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ

※You Tube
Fox Home Entertainment AU – Access All Areas
Entrapment

⑤『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』【2008年/アメリカ】

この映画は文庫本でわずか50枚ほどの短編小説から発想されたもの。

原作の小説と映画は、内容は大きく異なりますが、「老人の姿で生まれ、赤ん坊の姿で死んでいく宿命を背負った男性・ベンジャミンの一生」というアイデアは同じです。

このアイデアだけを聞くと、「ありえない話」ですよね。でも、映画を観るとそう感じさせません。

なぜなら、ベンジャミンは全編を通して、成長に伴う心身のアンバランスに苦しみ続けるからです。彼は自分の宿命と葛藤し続けます。

ベンジャミンは幼馴染の女性・デイジーに恋をします。でも、同世代なはずなのに、自分だけ見た目は老人。40歳前後になるとお互いの容姿がやっと“同世代”になり、2人は結ばれます。

でも、デイジーの妊娠が分かると、またベンジャミンは葛藤します。
自分と同じような子どもが生まれてしまうのではないか。
無事に生まれたとしても、子どもが成長するにしたがって自分は子どもになってしまう。父親にはなれないのではないか。

そして、デイジーも悩み、葛藤します。自分の容姿はどんどん衰えていくのに、ベンジャミンはどんどん若返っていく…。女性としてはツライですよね…。

「ありえない話」ではありますが、こういった葛藤があることで、「どうなってしまうの…」とどんどん感情移入します。

また、キャラクター設定も、セリフも、構成も、小道具の使い方も、それから顔などに施されている高度なメイキング術による“超CG”も、まだまだ沢山、私がこの映画に惹かれる理由があるのですが書ききれません(笑)。

この映画は、これまで観たことがなかった「いいアイデア」ですが、それだけではなくて、そのほかの部分も素晴らしい映画です。

■製作スタッフ・キャスト=監督:デヴィッド・フィンチャー/脚本:エリック・ロス/原作:F・スコット・フィッツジェラルド/出演:ブラッド・ピット、ケイトブランシェット

※You Tube
YouTube ムービー(提供元 Warner Bros Japan)

⑥『愛を読む人』【2008年/アメリカ・ドイツ】

この作品も小説(『朗読者』)が原作。非識字者の女性ハンナが貫き通すプライドを、守ろうとした男性マイケルの物語。

まず「非識字者」というだけで、胸をつかれますよね。字が読めない・書けないということが、秘密や葛藤として描かれるんだろうなと予想できますし。企画としては強い。

ただ、この映画は、非識字者の当人が葛藤するというよりは、その秘密を知り、守ろうとするマイケルの葛藤が描かれています。これによって、「非識字者を描いた話」という企画により深みをもたせています。

物語の始まりは、1958年のドイツ。15歳のマイケルは、21歳も年上のハンナと恋に落ちます。
逢瀬を重ねる中で、ハンナはマイケルに「本を読んで」とお願いするようになります。愛を深めていく2人ですが、彼女は突然、彼の前から姿を消します。数年後、2人は再会するのですが、その再会の場が「ナチス裁判」だったのです…。

ハンナはナチス裁判という究極の場でさえ、非識字者であることをひたすら隠します。
そんな彼女の姿を見たマイケルは、「彼女を助けたい」「でも、彼女の秘密も守ってあげたい」と葛藤するのです。

この映画を観ると、置かれた状況・環境によって、自分が信じる正義や世界観、また葛藤する内容が全く違うんだ、と考えさせられます。

ただ、個人的な意見なのですが、矛盾を感じる部分もあって…。ハンナの職業を考えると、非識字者であることを隠し続けることは本当にできたのかな、と。名前をサインすることもあったんじゃないかなとか。いい映画だからこそ、観るたびにいろいろ掘り下げて考えてしまいます…。

ですので、企画を立てるときは「矛盾を感じさせないか」を考えることも忘れないでくださいね。

■製作スタッフ・キャスト=監督:スティーヴン・ダルドリー/脚本:デヴィッド・ヘア/製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン/原作:ベルンハルト・シュリンク/出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ

※You Tube
Wall Street Journal
‘The Reader’ 

柏田道夫講師オススメ
明確な“売り”が分かる、企画性が秀逸な3本

ライターズバンクに登録してコンペに参加したり、脚本家として仕事をするようになると、脚本を書く前に企画書を求められることが多くなります。

自分の「企画」を文章でプレゼンするのは難しいですよね。でも、難しいと感じるのは、「企画」の“売り”を見つけられていないからかもしれません。

今回オススメする3本は、明確な“売り”があります。ぜひ参考にしてみてください。

⑦『マルコヴィッチの穴』【1999年/アメリカ】

この作品は、テレビコメディの脚本を書いていたチャーリー・カウフマンの長編映画用脚本をスパイク・ジョーンズが映画化したもの。

実在する怪優ジョン・マルコヴィッチの脳内に入ってみたら、どんなものが見えていて、どんなことを考えているのだろう?

そんな奇想天外な発想からできた映画。このあり得ない設定を成立させる作りに注目。

ジョン・キューザック扮する主人公は、路上で人形パフォーマンスをしている売れない芸人。定職についたオフィスが「7・2/1階」にあって、しゃがまないと入れないフロア。そこの壁に穴があって、マルコヴィッチの脳内に通じている。入れるのは15分間のみで、ハイウェイ脇に放り出されるというのもうまい。

この映画を観た時に、「日本人なら誰の脳だろう?」と考えて「俳優さんなら山崎努か樹木希林かな?」と思いました。

自分以外の、それも端から見ると特異と思われる人格は、世の中がどう見えて何を考えて生きているのだろう?それが体感できたら、どんなにおもしろい(怖さを含めて)か?

このアイデアを追求した映画はいくつかあります。

SF的な設定のミステリーで犯罪者の脳に入る『ザ・セル』(2000年)、邦画でも『秘密THE TOP SECRET』(2016年)は似た設定でした。他人の脳内に入ってアイデアを盗む『インセプション』(2010年)はクリストファー・ノーランが映像に凝った世界観で魅せます。

これらもアイデア的にはおもしろいのですが、『マルコヴィッチの穴』は見事にさらに一歩先を行っていて秀逸です。

■製作スタッフ・キャスト=監督:スパイク・ジョーンズ/製作総指揮・脚本:チャーリー・カウフマン、マイケル・クーン/出演:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコヴィッチ

※You Tube
YouTube ムービー(提供元 NBCUniversal_ROW)

⑧『タンポポ』【1985年/日本】

伊丹十三監督が、大ヒット映画『お葬式』に続いて製作した第2作。

メインストーリーはトラック運転手(山崎努)が相棒(渡辺謙)と、客の入らないラーメン屋の主人(宮本信子)を助けて立て直そうとする話。

これだけだと、皆さんもよく書こうとするサクセスストーリーに過ぎませんが、この映画の秀逸さ、おもしろさは本筋とはあまり関わらない食に関するさまざまなエピソードです。

グルメなヤクザ(役所広司)と愛人の話や、人生最後に子どもたちにチャーハンを作って食べさせる妻と夫などなど。

日本ではあまりヒットしなかったのですが、アメリカで大受けしました。

つまり、今や当たり前の路線となっている〝食〟を描いた映画の、まさに嚆矢となった画期的な映画だったから。

これ以前に、これほど徹底して〝食と人間〟に絞り込んで描いた映画はありませんでした。

ちなみに私が脚本を担当した『武士の献立』も『タンポポ』の精神性を参考にしました。

最近では沖田修一脚本・監督『南極料理人』(2009)、少し前ですが、ガブリエル・アクセル脚本・監督のデンマーク映画『バベットの晩餐会』(1987)、そしてこの『タンポポ』が私の好きな料理映画ベスト3です。

この後で伊丹監督は、「日本で今までにない刑事(捜査)映画は何だろう?」という発想から、国税局査察官を主人公とした『マルサの女』を撮ります。

この〝今までにない〟というところから、まったく新しい世界なりジャンルを開拓する発想アプローチを、伊丹作品から吸収して下さい。

■製作スタッフ・キャスト=監督・脚本:伊丹十三/出演:山崎努、宮本信子、役所広司

※You Tube
TIFF Trailers
TAMPOPO | 4K Restoration 2016

⑨『幕末太陽傳』【1957年/日本】

今さらながらの日本映画の名作古典の一作ですが、企画性という面からも画期的な時代劇です。

落語という題材を実にうまく映画にしています。また、登場人物のキャラクターも立っているし、社会性も入っていて、いま観ても全然古くありません。

いつかこの映画の一片に到達するような時代劇の小説、もしくは映画脚本が書けたら、というのが私の夢のまた夢です。

脚本は田中啓一(山内久)、川島雄三(監督も)、今村昌平のお三方。

日本映画全盛期に撮られた時代劇で、落語から材を得たコメディ時代劇というと、シナリオ・センター創立者の新井一先生もプログラムピクチャーとしてたくさん書かれています。

ある意味そうした集大成的な映画ともいえますが、鬼才といわれた川島雄三の手腕が最も見事に結実した代表作のひとつです。

この映画をご覧になる前に(もしくは後でもいいので)、『居残り佐平治』『品川心中』『三枚起請』『お見立て』といった落語をYouTubeや、図書館でCDを借りて聴いてみて下さい。

それぞれバラバラの落語を、どのように一本のストーリー(構成としては「グランドホテル形式」)に取り込んでいるか?

しかも、時代を幕末と据えることで時代性もしっかりと背景としています。これぞ脚色(オリジナル作品ですが)の妙ともいえる傑作です。

さらに主演のフランキー堺の、キャラクターの二面性とリアリティ、品川遊郭や遊女たちのディテールなどなど。研修科最後の課題は「時代劇」ですが、この映画にはいくつものヒントが含まれています。

日本映画ベストというと、まずは黒澤明や小津安二郎の諸作品があげられますが、川島雄三とこの『幕末太陽傳』も脚本家志望者には必見です。

■製作スタッフ・キャスト=監督・脚本:川島雄三/脚本:田中啓一、今村昌平/出演:フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎

※You Tube
シネマトゥデイ
映画『幕末太陽傳』予告編

「企画書、苦手…」というかたにアドバイス!

企画書は、自分の書きたいものを明確にし、「この企画を基に作品を作れば、お客さんはこんな感情を抱きますよ、ヒットしますよ」とプロデューサーにイメージさせないといけません。

でも、それが難しい…。

そこで、今回オススメ映画を教えてくれた3人の講師に聞いてみました。
「企画書が苦手なんですけど、どうしたらいいですか?」

■吉﨑崇二講師
今回、オススメした3本の映画には、それぞれ企画の特長がありましたよね。
そこを意識しながら企画を立ててみては?

できる作家は、いつ声を掛けられてもいいように企画をストックしてあります。
名刺代わりに企画書を持ち歩くのもいいかもしれませんね。

プロデューサーは忙しいですから、枚数が多いと読むのが大変です。
ペラ3枚くらいを目安にしてくださいね。

■坂田俊子講師
まずは、テーマをきちんと決めること。
「これはこういう話です」と一言で言えないと。

その上で、「なぜいま、その企画なのか」「いまの時代に、観客に訴えられるものなっているか」を考えることが、企画書を書くときの大前提だと思っています。

研修科クラス修了後に進級できる作家集団クラスでも、企画書に関する色々なアドバイスが聞けると思いますが、本科や研修科に所属されているかたはまず、20枚シナリオを書くときにもテーマや時代に合っているかを考える習慣をつけていくといいと思います。

■柏田道夫講師
ポスターのヴィジュアルをイメージして、企画を考えてみてはどうでしょうか?

例えば、出身ライターの根津理香さんが脚本を担当した映画『虹色デイズ』のポスター。

男子高校生4人に、「いつもの毎日に、七色のキセキが輝く」というコピー、そしてタイトルが『虹色デイズ』。もうこれだけで青春モノということが一発で分かりますよね。これが大事。

あなたが書きたいと思っている作品は、ポスターイメージが浮かびますか?
いい企画なら「こういうの!」とイメージができます。
企画書を書くとき、こういったところから入ってみるといいと思います。

また毎年、アドバンス講座の1つである「企画書講座」を担当しています。この講座では、企画を立てるときのポイントをいろいろお伝えします。企画書を書くためだけでなく、勿論、脚本を書くときにも役立つことをご紹介しますので、ご都合があいましたら是非ご参加ください。

※アドバンス講座に関してはこちらご覧ください。

あらすじなどの詳しい情報はこちらでチェックしてみては?

※Yahoo!映画サイト『ビリギャル』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『ラヂオの時間』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『武士の家計簿』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『泣き虫しょったんの奇跡』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『カメラを止めるな!』はこちらから

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※マンガ『ダンジョン飯』はこちらから 

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※Yahoo!映画サイト『任侠ヘルパー』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『エントラップメント』はこちらから 

※Yahoo!映画サイト『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『愛を読む人』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『マルコヴィッチの穴』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『タンポポ』はこちらから 

※Yahoo!映画サイト『幕末太陽傳』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『ザ・セル』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『秘密THE TOP SECRET』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『インセプション』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『南極料理人』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『バベットの晩餐会』はこちらから

※Yahoo!映画サイト『マルサの女』はこちらから

“だれでも最初は基礎講座から” ~講座コースについて~

シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を学べます。

映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説など、人間を描くすべての「創作」
に応用することができます。

まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。

■シナリオ作家養成講座(6ヶ月) >>詳細はこちら

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