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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

東京03のコントに学ぶ、シーンを面白くする方法

東京03さんのライブ 『FROLIC A HOLIC』ポスター

シナリオ・センターの新井です。
幸運にも、東京03さんのライブ  FROLIC A HOLIC『何が格好いいのか、まだ分からない。』にチケットを手に入れました!観てきました。笑いました。

ちなみに、私が観たのは、東京03さんに加え、おぎやはぎさん、浜野謙太さん、GENTLE FOREST JAZZ BANDが出演、さらに、日替わりゲストとして、塚地武雅さん(ドランクドラゴン)、川栄李奈さんが出演の回でした。

公式サイトはこちら:http://tokyo03frolicaholic.jp/

『FROLIC A HOLIC』は映画『雲の上団五郎一座』に通ずる

観劇後、一緒に観に行った妻が一言、
「なんか、お正月に観たおじいちゃんの映画に似てるね」

と、言われ…「なるほど!」と思いました。
妻曰く、お正月に観た喜劇映画『雲の上団五郎一座』と、東京03『FROLIC A HOLIC』は、喜劇作品として通ずるところがあるということみたいです。
『雲の上の団五郎一座』の脚本は、長瀬喜伴さんと共に、祖父新井一も執筆しています。なんだか、嬉しい共通点です。(おじいちゃんのおかげで、我が家は今日も平和です)

そう言われると、
角ちゃん(あえて、ちゃん付で!)は、フランキー堺さんみたいに、本人はいたって真面目なのに、面白さがにじみ出ちゃう感じがあります。矢作さんなんて、三木のり平さんに見えてきます。
となると、作者のオークラさんと飯塚さんは…

もうね、観劇後のビールが3倍くらいおいしくなります。
どっちが新井一でも、私はうれしい!お2人には、迷惑かもしれませんが。

シーンを面白くするコツは、喜劇にあり!?

シナリオS1グランプリの審査をしている講師と話すと、「もっとシーンを面白くできるはずなのに…」「もっと飛びぬけた発想を、シーンに入れてほしい」という言葉を聞きます。

では、どうすればいいのか。
そのヒントは、喜劇作品にあるのではないでしょうか。

ものすご~く乱暴な言い方をすると、喜劇作品は観客を楽しませるということしか、考えていません。
ワンシーン、ワンシーンどこで笑わせるか、その一点に集中しているように思います。90分通して観て「なるほど、非常に興味深い作品であった」なんて感想を期待していません。
この5分、10分のシーンでいかに笑わせようか、それしか考えていません。でも、それが俳優さんの見せ場を生んでいます。

例えば「あべこべ」法でエピソードを面白くする

『雲の上団五郎一座』であれば、団五郎一座の面々とフランキー堺さん扮する流浪の演出家酒井英吉が出会うシーン。このシーンの役割は、一座と酒井の出会い。

場所は、興業先へ向かう船の中。
車座になった一座が、興業先の心配をしていると…
その話を聞いていた酒井が、西洋演劇かぶれの演劇論を一座の周りを歩きながら、語ります。

なんだか薄っぺらい演劇論を、大真面目に語る酒井。語りながら、団員の煙草をすったり、焼き芋をちゃっかり食べてしまったり…と、なんともうさんくさい。

新井一流に言えば、「あべこべ法」でしょうか。
真面目なことを語らせながら、真面目とは逆のことをやらせています。フランキー堺さんの独特の雰囲気も相まって、クスクスクスクス、劇場に笑い声が生まれます。

シーンの役割が決まれば、あとはエピソードを面白くするだけ

各シーンには、ぞれぞれの役割があります。
主人公との再会のシーン。主人公に好きな子ができるシーン。そのことを、友人に相談するシーン。主人公がフラれるシーン…

この役割を、はっきりさせて、どんなエピソードで笑わせるのか、ここを徹底的に考えるのが喜劇だといえます。

それだと、ストーリーが破たんするじゃないかって?
いえいえ。そんなことはありません。なぜなら、シーンの役割というのは、ストーリーラインになるからです。なので、シーンの役割さえ決まってしまえば、エピソード作りで発想を飛ばしても、ストーリーが破たんをすることはありません。

ストーリーが破たんするとしたら、シーンの役割が不明確なまま、エピソードを書いてしまっているときです。

喜劇やコントは緻密に計算されているんだ

「泣かせることより、笑わせることの方が難しい」

と、よく言います。人が泣くツボというのは、ある程度共通しています。でも、笑いのツボというのは人それぞれです。だからこそ、緻密に計算されたシナリオが必要なのです。

そして、緻密に計算されたシナリオを、いかに計算されていないように演じるかが、喜劇俳優でありコント職人の腕の見せ所ではないでしょうか。

喜劇やコントのシーン作りは、すべてのドラマ作りに活きるんですよ!!
『FROLIC A HOLIC』を観れば、そりゃあ、角ちゃんは終始コミカルだし、豊本さんもいい味出すし、そこにおぎやはぎも加わって、彼らのボケを溜めてためて、一気に突っ込む飯塚さんたちのやり取りは、一見ドタバタしているように見えるけど(矢作さん、セリフ忘れるし)、完璧なる喜劇!

職人技に騙されちゃダメなんだぜ。

今週末の(3/10深夜)の『ゴットタン』が楽しみだ!東京03がでるもの。
シナリオ・センターの新井でした。

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