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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

視野を広げる。自分の視点を創るためには他人の視点を学ぶ

名作なんかこわくない(PHP研究所刊行)

大吉の2018年

シナリオ・センター代表の小林です。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
年の初めというのは、なんとなく心が引き締まります。できれば身も引き締まりたいと願っていたのですが、こちらは大好きなお餅のお蔭でしょうか、締まることなく・・・。(笑)

今年の事務局は、新春授業開始より1日早く8日から始まりました。
恒例の事務局スタッフそろっての初詣は、渋谷青山界隈の総鎮守の金王八幡宮へお参りしました。
この境内の金王桜は、江戸三大桜と言われ、なんと一枝に一重と八重とが一緒に咲くのだそうで、今年のお花見にはお伺いしたいと思っています。

私は、毎年おみくじを引くのですが大吉を引きました。「なにをしてもよし、悪いことが起っても大丈夫」だそうで、相当今年は強運のようで、昨年は落ち込みがちだったので、とても嬉しくなりました。
もちろん、運は自分で切り開くものですが、やはりなにをしてもOKと言われると意欲は湧きますよね。ちなみに連れ合いは生涯初めての凶を引いて落ち込み、他の神社でもう一度と・・・(笑)
ま、何にしても頑張れと背中を押してくれるのがおみくじなのかもしれません。

名作なんかこわくない

シナリオ・センター48年目の今年のテーマは、「視野(48)を広げる」です。
そんな今年のテーマ「視野を広げる」ためにぴったりの良い本が出版されました。
出身小説家の柚木麻子さんの「名作なんかこわくない」(PHP研究所刊)

世界の名作を柚木さんが、ご自分の視点で案内してくれるというエッセイです。
フランス文学篇12編、日本文学篇20編、イギリス文学篇12編、アメリカ文学篇12編、計56編の名作が紹介されています。
この紹介の仕方ですが、並みの紹介の仕方ではありません。エッセイですから柚木さんらしさが満載なんですね。
まずはタイトルについているキャッチフレーズが素晴らしい。
読んだことのある作品ではこう読んだか柚木さんと、読んでいない作品だったらこういう話なら読んでみたいと思わせる、キレ味の良さに脱帽です。
例えば、信じることをあきらめないエネルギー「女の一生」(モーパッサン)
女のドロドロの盲点「危険な関係」(ラクロ)
胸をつかまれるキーワードが満載「放浪記」(林芙美子)
読まなければ損をする物語「悪女について」(有吉佐和子)
食の官能と幸福の記憶「鮨」(岡本かのこ)
史上最悪のヒールが登場「女の勲章」(山崎豊子)
目を背けたい「性分」を描き切る「嵐が丘」(エミリ・ブロンテ)
欲望に正直な女の子を肯定してくれる男性「風と共に去りぬ」(マーガレット・ミッチェル)
無自覚に異性を振りまわす才能「マノン・レスコー」(プレヴォ)
新学期のきらめきが思い出に変わる時「二十四の瞳」(壺井栄)
直球で愛を要求する主人公のすがすがしさ「ジェイン・エア」(ブロンテ)

名作には心に残る名文、名セリフが散りばめられています。
読者のキャラによって、読んだ時の心の状況によっても心に残るものは、人によって少し変わっているかもしれません。
柚木さんは、 「世の中って、ねぇ、人が思うほどいいものでもわるいものでもありませんね」(女の一生)
「私は窓をいっぱいあけて、上野の鐘を聞いた。晩はおいしいお寿司でも食べましょう」(放浪記)
「私どものような卑小な人間にとりまして、最終的には運命をご主人様の―この世界の中心におられる偉大な紳士淑女の―手にゆだねる以外、あまり選択の余地があるとはおもわれません。それが冷厳なる現実というものではありますまいか。」(日の名残り)
などなど。
その名作の読み方、視点の新しさ、キャッチフレーズのうまさは、企画書の勉強にもシナリオの勉強にもなります。
柚木麻子さんの視点をちょっと盗ませていただいて、この本をきっかけに視野を広げていくというのもありかと思います。
柚木さん原作の映画「伊藤くんAtoE」が1月12日から上映されます。脚本も出身ライターの青塚美穂さんが描かれています。こちらも是非。

新しい年の始まり、どんな年にしていきましょうか。

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