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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

小説・脚本の肝は同じ。魅せる技術を使いこなせ

ランチ酒 (祥伝社刊)

創作テレビドラマ大賞授賞式

シナリオ・センター代表の小林です。創作テレビドラマ大賞の授賞式にお伺いしてきました。用事があり、私は授賞式だけで失礼してしまいましたが、石原さん、潮さんのしっかりしたコメントをお聞きして、おふたりはプロとしてやっていけるとビシビシ感じられて、受賞も嬉しかったですが、嬉しさ倍増になりました。
創作ラジオドラマ大賞の藤沢秋さん、葉月けめこさんのおふたりも紹介され、うふふでした。(笑)
 これからがスタートです。石原さん、潮さん、藤沢さん、葉月さん、頑張ってください。
まだ受賞されていない方、みなさんに「続け!」です。

創作ラジオドラマ大賞つながりがここにもあります。原田ひ香さんです。

脚本と小説

こちらは、プロ中のプロの新作です。
「ランチ酒」(祥伝社刊)原田ひ香さん。
原田さんは、小説家をめざす方のお手本になるような経歴の持ち主でもあります。
というのは、2006年「創作ラジオドラマ大賞」の大賞を受賞されていらっしゃるのです。
受賞作の「リトルプリンセス2号」は、面白いとすごい評判でした。
原田さんは、シナリオライターに邁進され、プロットを数多く書かれていらっしゃいました。
 これまで通らないプロットを山ほど書かれたそうです。
プロットはなかなか通らなかったのですが、プロットをたくさん書かれたことで、小説家の道が開けてしまったのです。
原田さんはシナリオ・センター出身の小説家としては、とても珍しく純文学からデビューされました。

純文学は、エンタテイメントと違って、作家の文体、発想など大きく作家性が重視されます。
原田さんは、プロットをたくさん書かれた経験が活かされて、ご自分の文体を創り上げられたのです。
 07年「すばる文学賞」を受賞。
 素晴らしい文体とシナリオで養ったエンタテイメント性、シナリオの技術が融合して、新しい形の純文学作家、原田ワールドが生まれたと言っても過言ではないかと思います。

「すばる文学賞」を受賞された「はじまらないティータイム」、「東京ロンダリング」「母親ウエスタン」「彼女たちの家計簿「ミチルさん、今日も上機嫌」「三人屋」「虫たちの家」「失踪.com東京ロンダリング」「ラジオ・ガガガ」、どの作品も設定のユニークさと魅力的なキャラクターづくりは、ちょっと類を見ません。
受賞時に審査委員の高橋源一郎さんが、シナリオの技術が活かされているとおっしゃったのはこういうことなのだということがよくわかります。
小説家志望の方も脚本家志望の方も大いに勉強になります。

ランチ酒

今回の「ランチ酒」、主人公の犬森祥子のキャラクター、最高です。
まず職業設定が、夜から朝まで見守る「見守り屋」ときちゃいます。 訳ありの客からペットまで頼まれたらなんでも寝ずの番で見守るお仕事。
彼女自身は、バツイチのアラサー。離れて暮らす娘の幸せを願いながら生きている。
つかの間の幸せが「ランチ酒」。
夜寝ずの番なので、お昼が一番大事なお食事タイム。街で出会った最高のランチとお酒で癒されながら、今日も孤独な彼女が孤独を抱える客のもとに向います。
16酒(16話)のめちゃくちゃ美味しそうなランチを描きながら、都会に住む人たちの様々な人間模様を描いています。
さすが、脚本家出身の原田さんです。どのお話も映像が浮かび上がります。

一話完結の連ドラにしたら絶対に面白いと思います。
聴いたことも見たこともない職業「見守り屋」、ユニークな設定に「美味しいランチ」ですもの、視聴者が喜ぶこと請け合いです。
NHKBSプレミアムとかにうってつけだと思いますが・・・。
ドラマになったら、絶対面白い。
キャラクター、設定、構成というものは、こういうものか~とよくわかります。
楽しみながらお勉強していただける本です。

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