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シナリオはキャラクター で面白くなる/ 『ガリレオ』に学ぶ脚本勉強法

「そこそこ面白い」から「飛躍的に面白い」シナリオにするシナリオの書き方を、シナリオ・センター講師浅田直亮著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)からご紹介。
今回は、テレビドラマ『ガリレオ』を参考に、シナリオはキャラクターで面白くなる、その理由を分析。また、「このシーンって必要かな?」と悩んだときの解決法もここにあります。

キャラクターならではのト書やセリフがシーンを面白くする

こんにちは、エンゼル浅田です。あなたのシナリオをパラダイスに導きます。

イメージしてみてください。まったく同じストーリーで3人の人がシナリオを書いたとします。

3人とも同じように面白くなると思いますか?

たぶん、まったく同じストーリーだからといって同じようには面白くなりません。より面白いシナリオと、中くらいのシナリオと、より面白くないシナリオができるはずです。

まったく同じストーリーなのに、この差は何なの?

それは、シーンの面白さです。

まったく同じストーリーでも、シーンが面白いと面白いシナリオに、シーンがつまらないとつまらないシナリオになるわけです。

ところで、面白いストーリーって、なかなか浮かびませんよねえ。

自分だけが面白いと思ってるのはダメですよ。人にも面白いと思ってもらわないと。

人にも面白いと思ってもらえるストーリーを考えるのは本当に至難の業です。

実際、ストーリーだけでいうと、ありきたりでつまらない題材や設定、展開は時々ありますが、図抜けて面白いストーリーなんて、めったにありません。

それでも、少しでも面白いストーリーを考えようとすることは、もちろん悪いことではありません。

今までにない新鮮な題材、ありきたりでない設定、パターンでない展開…でも、面白いストーリーを一生懸命考えたからといって、すご~く面白くなるかというと、大してなりません。

まあ、ちょっとぐらいは面白くなるかもしれませんが。いくらストーリーを考えてもなかなか面白いシナリオにならないというのが現実のようです。

じゃあ、どうすればいいの?
オススメは、ストーリーを面白くしようと考えるより、シーンを面白くすることを考えてみてください。

ストーリーに比べてシーンを面白くすると、見違えるようにシナリオが面白くなります。

しかも、たった一つのことを考えるだけでシーンを面白くすることができます。

その天国への扉の鍵こそがキャラクターです。

人物のキャラクターから考えて、普通の人はやらないけれど、このキャラクターならやりそうだなということをやらせるのです。

普通の人なら言わないけど、このキャラクターなら言いそうだなというセリフを言わせてみてください。

つまり、キャラクターならではの個性あふれるト書やセリフが、シーンを面白くするのです。

『ガリレオ』の湯川学にみる、このキャラクターならではの言動・行動

ぜひぜひ参考にしてほしいのが『ガリレオ』です。

主人公は福山雅治さん演じる湯川学。帝都大学理工学部物理学科の准教授で、そのキャラクターを一言でいうと、とにかく理屈っぽい性格。論理的に説明できないことには我慢ができません。

そのため、柴咲コウさん演じる女性刑事・内海薫が持ち込んでくる事件に捜査協力することになります。

事件には、幽体離脱やポルターガイスト、予知、霊視、テレポーテーションといった超常現象かと思われる不可解なことが起こっているのですが、それを論理的に解明しないと気がすまないのです。

事件に超常現象がからんでいると知ると「面白い、実に面白い!」と言って助手の制止を振り切って解明に乗り出します。

また、現象の解明が暗礁に乗り上げ行き詰まると「さっぱり分からない」と言いながら、本当に楽しそうに「ハハハハハ!」と高笑いするのです。

そして、現象を解明する糸口が掴めるやいなや、所構わず、その場で自分の仮説を証明する方程式を一心不乱に書きなぐります。

石でドラム缶や塀を引っ掻いて書いたり、デスクの上のものを全部手で払い落とし、チョークで書いたりするのは、まだいい方です。訪問先の受付前のショーケースに、マジックで書いたりしています。

まさに「変人ガリレオ」と呼ばれるだけのことはある、普通の人は決してやらない行動です。

湯川は、子どもが大の苦手です。

それは非論理的だから。喋ることさえしません。それどころか第2話では幽体離脱したという小学生の男の子と、じーっと見つめ合った時、ジンマシンが出て体中が痒くなってしまうのです。

このキャラクターならではのリアクションです。

ストーリーに必要なシーンかどうかより、面白いかどうかが重要

第2話では、こんなシーンもありました。

「考えるという行為は人間に与えられた最大の楽しみだ」という湯川に、薫が「ほんと変わってる。普通は飲んでバカ話したりデートしたりする方が楽しいのに考えごとの方がいいなんて」と言います。

すると湯川は「ちょっと待て。ぼくはデートより考えてる方がいいとは言ってない」と。

「女の子好きなんですか?」
「その質問は、またたびが好きなの? と猫に聞くのと同じぐらいの愚問だな」
「うそ! 湯川先生って、むっつりスケベ? いっつも大真面目な顔してるくせに」
「じゃあ聞くが、昼間からスケベな顔してる人間がいるのか? 朝、スケベな顔で目を覚まし、スケベな顔で歯を磨き、スケベな顔で仕事を始め、スケベな顔で取引先に名刺を出す人間がどこにいるんだ」
「私は、そういうことを言ってるんじゃ…」
「真面目な顔をしているから、むっつりスケベ」
「はあ……また理屈…」
「そんな短絡的な考え方だから、あの子がしっかりしたいい子だなんて言うんだ」

で、幽体離脱したという小学生の男の子に、もう一度、話を聞きに行こうということになるのですが、あまりの湯川の屁理屈に笑うのを通り越して感心してしまいます。

普通の人は言わないけど、このキャラクターなら言いそうなセリフです。

屁理屈といえば第8話、湯川が研究室で料理をしています。

すると訪ねてきた薫が「先生、今日は、お暇なんですね」と言います。「暇そうに見えるか」という湯川に「だって研究でも何でもないですよね、これ」と薫が。

すると「研究室で研究をしていなければ暇だというのか? 仕事をしていなければ暇、実に短絡的だ。君は暇だからトイレに行くのか? 暇だから風呂に入り、暇だから眠るのか? 僕は限られた、この貴重な時間を真剣に趣味に費やしている。同時に摂食行動という生きるために必要な行為でもある。つまり今たいへん忙しい」とまくしたてるのです。

ここで、ちょっと注目してもらいたいのが、これらのシーンがストーリーには特に関係がないことです。

第2話は、ある小学生が幽体離脱して殺人事件の容疑者の姿を見たとアリバイ証言したことを解明する話です。子どもと見つめ合うとジンマシンが出ることもむっつりスケベのセリフも、まったく関係ありません。

第8話は、ストーカーに殺された被害者の姿を、まさに殺された時刻に、離れた場所にいた被害者の妹が見たという事件を解明する話で、被害者は料理研究家なので、前フリぐらいにはなっているかもしれませんが、とりたてて必要なシーンではありません。

そうなのです、よく「このシーンは必要ない」などという人がいたり「このシーンって必要かな、必要ないかな?」と悩んでいる人がいたりしますが、ストーリーに必要かどうかより面白いかどうかが重要なのです。

というより、むしろ、ストーリーに必要なことだけ描いていたら面白くならないでしょう。

たとえば、湯川が行き詰った時に「さっぱり分からない、ハハハハハ!」と高笑いする必要なんてありません。実際、高笑いせず真面目な顔で悩む回もあります。でも、やはり高笑いしている方が断然、面白くなります。

所構わず方程式を書きなぐるのだってストーリーには必要ありません。何もそこまでしなくったってボールペンと紙ぐらい貸してもらえばいいじゃないかとツッコミたくなりますが、それではつまらなくなってしまいますし、映像としてもダイナミックさがなくなります。

ストーリーに必要ないけど、キャラクターならではのシーンが、シナリオを面白くするのです。逆にいえばシナリオを面白くするのは、ストーリーよりもキャラクターなのです。

これで、あなたもパラダイス!

出典:浅田直亮 著『シナリオパラダイス 人気ドラマが教えてくれるシナリオの書き方』(言視舎)P23より

シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

『ガリレオ』データ

2007年10月~12月(全10話)
フジテレビ系月曜21時枠
脚本:福田靖・古家和尚・松本欧太郎
原作:東野圭吾『探偵ガリレオ』『予知夢』(文藝春秋)
プロデュサー:鈴木吉弘・牧野正・菊地裕幸
演出:西谷弘・成田岳・澤田鎌作・西坂瑞城
出演:福山雅治・柴崎コウ他
平均視聴率:21.9%(最高視聴率24.7%)

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