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マンガに学ぶ『 BASARA 』/設定だけで「面白い」と思わせるやり方

マンガにはシナリオ創作に役立つヒントが満載。シナリオ・センターにてマンガ原作講座を担当する仲村みなみ講師の『マンガから盗めっ!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
今回は、設定だけで「面白い!」と思わせる『BASARA』を取り上げます。

『BASARA』田村由美(小学館)

注目ポイントは設定
高度文明が滅びた300年後の日本。王族の圧政に苦しむ部族に生まれ、人民を救う「運命の子」と予言されたタタラとその双子の妹・更紗。壮大なスケールで描く近未来戦記。
設定だけでなく、構成やキャラ、どれも盗みどころ満載な名作。「戦記モノはちょっと苦手」という人にもオススメの少女マンガ。

『スターウオーズ』と同じ英雄漂流譚。ヒーローは男装の「身代わりの少女」

20世紀末。地球は滅亡の危機を迎えた。東京は水没し九州、山陽地方は砂漠化。文明レベルも戦国時代まで後退し各地の権力者が争うことになった。

物語はそれから300年後。独裁者一族により制圧され、京を都におく中央集権国家になっていた日本は300年にもおよぶ悪政で疲弊しきっており、近海には科学が進んだ異国の船が多数出没しているが、その対応もままならない。

そんな中、ある貧しい村に「運命の子供」と予言された子供・タタラが生まれた。少年に成長したタタラは予言どおり、革命家になろうとしていた。タタラには双子の妹・更紗がいるが、革命を願う村人の期待はタタラだけに向かっていた。

だが事態は一変する。この地を支配する赤の王によりタタラは惨殺、村も滅ぼされてしまったのだ。

更紗が見たのは生きる希望を失った民衆の姿。お兄ちゃんの代わりにみんなを守らなければ。更紗は咄嗟に長い髪を切り「殺されたのは妹の更紗!タタラはここに生きている!」と叫ぶ。

こうして長い革命の旅は始まるのだが、更紗は本心では革命など望んでいない。赤の王への復讐さえ終えたら、あとはひっそりと静かに更紗(本当の自分)として生きていく。

それが彼女のささやかな願いだ。でもそれはもちろん許されることではなかった。

日本を牛耳る赤・黒・蒼・白の王を倒し新しい国家を作ること。それこそ、彼女をタタラと信じ切っている民衆の願いだからだ。

圧政に苦しむ民衆の期待、暴かれてはならない『身代わり』の秘密、継がねばならない父と兄の遺志……、これらが更紗をがんじがらめにする。

そして赤の王による容赦ない攻撃。ここまで追いこまれたら、どんなに怖くて不安でも、更紗は革命の道を突き進むしかない。

上手い!そして切ない!こんな風に設定だけで「面白い」と思わせられて、そこに魅力的なキャラがのっかればもう鬼に金棒(死語)である。

 

出典:仲村みなみ著『マンガから盗めっ!』(月刊シナリオ教室2010年9月号)より

※【要ブックマーク】マンガやアニメには創作のヒントがいっぱい。今まで掲載したこちらのブログをまとめた記事「マンガ・アニメのストーリーを書くには」はこちらからご覧ください。

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