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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

「続けていてよかった」…【講師突撃インタビュー!金子講師・後篇】

突撃講師インタビューも、気づけば第10回となりました。今回は、火曜日のお昼の本科ゼミナールを担当する金子講師です。後編では、楽しかったシナリオライフから一転、「もう二度とシナリオは書かない!」とまで思われた時期、意を決して再開した時のことなど、一旦シナリオから遠ざかってしまった人にも勇気の湧くお話もありますよ! 篇はこちらから 

「続けていて良かったな」と。

途中でやめていたら、書けていなかったわけですから。浅田次郎さんからは脚色する上で、心がけるべき事を学ばせていただきました。

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新井

順調なシナリオライフをおくっていたのに、シナリオ・センターを一度やめられたのはどうしてなんでしょう?

金子

作家集団まで進級してようやく、何社か企画会議に参加するようになった時なんですが…

母の容態が悪くなって…介護(看病)をしなくてはならなくなったんです。それまで家をあける時は子供を母に預けていたんですが…

新井

なるほど、それで通う事が出来なくなったんですか…「仕方ない、だけど…」という気持ちもありますよね。きっと、作家集団まで進級して、「これから」って時だろうから。

金子

スゴい悔しかったです。仲間達も頑張っている時に、私はここでやめるのかって。企画を出し始めて一年も経たないくらいで。まだカタチとして何も残せていないのに…。

新井

なかなかスッパリと諦められないですよね。

金子

そうでしたねぇ…しばらくして、母は亡くなったんですが…。

少し時間的にも余裕ができてからも「シナリオだけはもう嫌だな」って。ドラマや映画なんかも一切見るのをやめました。

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新井

書かないだけじゃなく、ドラマ自体見なくなった、と。「もう一度シナリオをやろう」とは思わなかったんですね。

金子

いまさら再開しても一緒に勉強していた仲間達は前へ進んでいるだろうし…。追いつけないだろうと。だったら「シナリオとは全然関係ないことに挑戦しよう」って。

実は、それでカラーアナリストをやっていたんです。

新井 

「カラーアナリスト」ですか?正直なところ、あまり聞き馴染みがないですが…。

金子

CAやアナウンサーの洋服の色合いをアドバイスしたりしてました。

新井

なんとなくイメージできるかなぁ…(笑)。でも、なんでまたカラーアナリストを?

金子

私、好きな色がモスグリーンだったんですけど全然似合わなくて。

「なんでだろう」ってずっと思っていたんです。カラーアナリスト講習会に参加した時、そこで教えていた人に相談したら、「あなたにはモスグリーンは似合わないませんから、着ない方がいい」とハッキリ言われ…。

新井

(笑)

金子

(笑)

それで、「色によって似合う、似合わないがあるんだ」って興味がわいて。カラーアナリストの学校に行ったんです。

新井

スゴいなぁ…「新しいことやろう」ってパッと挑戦して、仕事にするって。

だけど…現在、金子さんはカラーアナリストではなく、シナリオセンターの講師をして、僕の目の前にいらっしゃいます。「絶対、嫌だったシナリオ」を再開されたわけです(笑)。それはどうしてなんでしょう?

金子

カラーアナリストをしている頃から少しずつ、映画を見始めたんですよ。なんとなく自分の中に余裕がでてきたのかなぁ…。改めて映画って本当に面白いなって(笑)。

新井

やっぱり、ドラマって楽しいと(笑)。

金子

そうです。それで「またシナリオ勉強したい」と思ったんですけど。「でもなぁ…今更再開しても」って二の足を踏んで(笑)。

新井

悩みますよね。一度諦めたものを再開するのって相当パワーがいりますし。

どれくらいブランクがあったんですか?

金子

10年以上ありました。だから書き方も忘れてしまって(笑)。「いちから勉強しよう」と。

新井

それだけ期間あくと、その方が良いかもしれない。やめたところから再開も出来ますけどね。

金子

それで、意を決して南青山から北青山に移動した現在のシナリオセンターに行きました。

南青山と違って、北青山の校舎は一階がガラス張りなっているじゃないですか。ガラス越しに出席簿を抱えた※講師の浅田さんが見えたので…回れ右をして帰ろうとしたんです(笑)。

※ 浅田直亮講師。作家養成講座、研修科ゼミを担当。

新井

浅田さんを見てまわれ右?それはまたどうしてです(笑)?

金子

「ええッ! 同じ生徒だったはずの浅田さんが講師になっているのォ?」って。

新井

同じ生徒だった人が、講師として教えていたら気まずいかも。また講師になった浅田さんを目撃するのもスゴいタイミングですね(笑)。

金子

そうなんです(笑)。

でも、せっかく表参道まで来たから受付に行って。当時、各机に書類が沢山が積んであって事務の人の顔が見えないほどでしたけど…。

「シナリオを以前こちらで勉強していた者ですが、また勉強をやり直したいと思いまして」と受付の方に話していましたら、奥の書類のあいだから小林さんの顔がひょいって出てきて、「えっ、その声は金子さんじゃない? 作家集団から再開しなよ」って。

新井

せっかく「いちから勉強しよう」と思ってきたのに(笑)。

金子

(笑)。でも「私のこと覚えてくださっていたんだ」って嬉しかったです。

新井

確かに。代表から「南青山での生徒さんは全員を覚えていた」って聞いたことがあったんだけど、あれは嘘じゃなかったんだ(笑)。

金子

それも、声だけで私だとわかって書類の山から顔を出して下さって…。

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新井 

へぇ…。浅田さんを見た時は「帰ろう」って思っていたわけで。そこが代表と浅田さんの違いなのかな、なんてね(笑)。再開した時の作家集団の講師はどなただったんですか?

金子 

大木先生ですね。なにしろ10年以上シナリオを書いていなかったので、「1年間作品を書かずに皆の作品を聞かせて下さい」って頼みました。

新井 

なかなか急には書けないですもんね。一年経って作品書けました?

金子 

なんとか(笑)。

ちょうど、一年くらい経ったときに大木先生が「そろそろ金子君、書いてみない?」って。覚えていらして。

新井 

さすが、大木先生。シナリオはやっぱり書いてなんぼですからね。再開した1作品目ってどんな作品を書いたんですか?

金子

当時、娘が医学生だったのでそれをモチーフにした作品ですね。研修医が自分のペットの命と学業、人命のどっちを優先するのか?みたいな。賛否両論でした。

新井 

どっちが正しいじゃないけど意見が分かれる気もします。今でも十分通用しそうなテーマですね。

金子

大木先生に「よく書けたね」って言われました。「構成も良いし、スゴくよく書けている」って。コンクールに出したけど、ダメでしたが…(笑)。 

新井

でも、再開して一回目の作品だと、特に書きあげた達成感はあったんじゃないですか?

金子

ありましたね。「シナリオを書くって面白い」って再確認して。私は構成を考えているときが好きでとにかく楽しかった。

新井

へぇ。聞いていると金子さんってなんか理系っぽい感じがしますね。

カラーアナリストも「組み合わせる」という点ではシナリオの構成に通じるところがありそうですし…娘さんはお医者さんですしね(笑)。

 金子 …あんまり関係ないんじゃないかなぁ(笑)。
新井

ちょっとこじつけでしたかね(笑)。

金子さんは今でも戯曲書かれるじゃないですか?この間の日本脚本家連盟のイベントで、浅田次郎さんが講演された時に小説を脚色されることについて、お話しされていて、「一番良いのは、達が脚色してくれた作品だ」ってコメントがあったとか。

その友達って金子さんですよね?

※金子講師は浅田次郎氏原作の戯曲を数作執筆。

金子

はい、私のことのようです。私はそのことを小林さんからのメールで知ったんです。浅田次郎さんの会合の時、私の事、言って下さったのですか?とお尋ねしたら、「あっ、そうそう」とおっしゃっていました。

 新井きっと、「シナリオやっていて良かったな」って瞬間ですよね。
 金子

そうですね。「続けていて良かったな」と。

途中でやめていたら、書けていなかったわけですから。浅田次郎さんからは脚色する上で、心がけるべき事を学ばせていただきました。

 新井

回れ右をして帰らず、シナリオを再開して良かったですね。これが、同じ浅田でも、「直亮」と「次郎」の違いなのかな(笑)。

 金子

(笑)。やっぱり、継続することですよね。

新井

小説でも、映画、ドラマでも、カタチに残せるとやりがいを感じやすいですよね。なにか、ゼミでカタチ出来たらなぁって僕も考えているところなんですよ。

 

まさに「継続は力なり!」ですね。どこまで先を観て、今、を考えるかでものごとの捉え方はものすごく変わりそうです。シナリオ・センターを再開したくなったら、ガラス越に事務局を見てくださいね!

 

インタビュー構成:冨金原

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