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表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

向田邦子さん33回目の命日

シナリオ・センター代表の小林です。九州もすごいことになっているようで、どうかどなたもご無事でと祈るほかありません。
災害対策を後手後手にしない。経済ばかり考えないで、人の命の重さを考える発想は、国にはないのでしょうか。

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もう33年も前になるのかと・・・改めて時の流れの速さを感じています。
33年前の今日、1981822日、台湾の飛行機事故で向田邦子さんが亡くなられました。
このニュースを聞いたときの衝撃は今でも忘れられません。

向田ファンの方は、いまだにたくさんいらっしゃるでしょう。今ご存命だったら・・・とどなたもが思われていることでしょう。
小説家としてたくさんの素晴らしい作品を遺されていらっしゃいますが、私は、脚本家としての向田邦子さんが大好きでした。
あれほどハートフルで上質なコメディをお書きになれる方をみたことがありません。あれほどキャラクターの作りが上手い方はありませんでした。だからでしょう、あれだけ活き活きとした素晴らしいセリフをお書きになった。お書きになったどのドラマも好きですが、私が一番好きなのは、言い続けていますが()、なんの事件も起こらないホームドラマ「だいこんの花」。
森繁久彌さんと竹脇無我さんの父と息子やりとりが笑え、泣け、とてつもなく面白いドラマだったと記憶しています。
後の寺内貫太郎一家のように派手なちゃぶ台返しもありません。大仰なことはなにもやらない登場人物。
でも、笑って、笑って、胸の奥にジーンとくる、鼻の奥がツーンとするようなドラマでした。今だとハートフルコメディとかいうのでしょうか。
毎週、楽しみに楽しみに待っていました。 

「何もないところから物語を思いつくことが、脚本家としての重大な要素。
ベストセラーの脚色などクリエーティブのない世界で生きよといわれても、やはり脚本はオリジナル主流じゃなければいけないと思います」と山田太一さんがおっしゃっているように、向田さんもなにもないところから物語をつくってきたからこそ、名作として心に残る作品になったのだと思います。 

向田さんの命日に、脚本家は、オリジナルを書いて欲しいと改めて思いました。
脚色でも、オリジナリティを発揮できないわけではありませんが、1から構築していくのと、5から構築していくのでは発想も、切り口も違います。
オリジナルのあるべき姿、脚色のあるべき姿を体感していない若い脚本家がオリジナルを書くことなく、脚色ばかり書いていたら、才能は疲弊していくだけではなかろうかと私は危惧しています。
むしろ山田太一さんであれば、どんな小説、漫画でも山田太一さん流に、太一ワールドに構築することができると思うのですが・・・。(失礼いたしました。絶対おやりにはならないですね。) 

オリジナルは、きっと今のテレビ界を、映画界を、もう一度大きな花咲かせると信じています。
向田さん、天国から応援してください。 

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