menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

秋の夜長、極上のエンタテイメント小説はいかがですか

シナリオ・センター代表の小林です。芝居をみる、映画を見る、テレビドラマを見る、そして読書。より良い秋の夜長の過ごし方です。いつ寝るんだあ!()

 

大ヒットになった映画「超高速!参勤交代」(松竹)の脚本家土橋章宏さんは、作家集団の中でも、早書きで有名ですが、本当に早い。感心してしまうくらい早い。で、早いだけでなく、クオリティはもちろん高い。
まさに、プロとして一番大事な素養を持たれていらっしゃいます。
7月、9月となんと続けて2冊の小説を出されました。

まらそん侍

「まらそん侍」(角川春樹事務所刊)タイトルを見てもおわかりのように、時代小説ですが、マラソン。()
「安政の遠足」といわれ日本のマラソンの発祥だそうです。

上野国(群馬)、時は幕末安政。突如、安中藩藩主板倉勝明が「家臣一同 鍛錬のために遠足(とおあし)を申しつける」と沙汰を出します。
夏の盛り、碓氷峠の熊野権現神社まで七里七町(約28,3キロ)を遠足・・・マラソンをグループに分けてやることになります。
この遠足を機に、姫をめぐりライバルとの対決に燃える男、女のために脱藩をを企てる男、隠密、民衆から賭けの対象にされた男、余命を賭ける男、家のために頑張る子供・・・などなど色々な思い、思惑を持った家臣たちが、様々な形で遠足に臨みます。
題して、涙と笑いの痛快スポーツ時代小説「まらそん侍」
メチャクチャ面白いです。群像劇さながらのお話が最後一つにまとまった時の落としどころがいい・・・是非とも極上のエンタメ小説を楽しんでください。

ライツ・オン!

9月刊行の「ライツ・オン!明治灯台プロジェクト」(筑摩書房刊)は、こちらも時代小説ですが、明治初めの新政府混迷期のお話です。
明治2年、未開の国と見下しながら日本にきて灯台を創る技術者の英国人リチャードと、英国人と日本人のハーフで碧眼ゆえに日本で爪弾きにされていた通訳丈太郎の2つの視点で描かれています。

日本灯台の父と言われるリチャード・ブライトンのお話なのですが、外国人に対する排他的な面とか、異質なものに対する差別、前例主義、官僚体質、責任回避・・・今の時代?と思うくらい日本人の特質(?)をよくつかんだエピソードがたくさんあり、今も変わらないのだ、日本人のDNAなのかと・・・そこもしみじみと思いつつ読み進みました。 

廃藩置県もすんでいない明治初めの日本で、結局、本当に協力し、心を通わせるのは、貧しい漁村の民と先を見つめている技術者。
リチャードがどれだけのコミュニケーション困難を乗り越えてたくさんの灯台をつくったのか・・・心打たれます。そこに丈太郎というハーフの通訳の生き方が絡んで、心温まる素敵なお話です。登場人物のキャラがものすごくたっていて、映像が浮かぶようでした。 

土橋さんは本当に素晴らしいもの書きです。(あえて、もの書きといわせていただいています)
小説も脚本も、見せることに心を砕いており、最上のエンタテイメントを作りあげました。

小林、大絶賛中でーす!!

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ