エールをいただいて
シナリオ・センター会長の小林です。ただ、ただ、ショックです。
鈴木光司さんが、まさかお亡くなりになるとは。頑健が売り物の鈴木さん、1月にシナリオ・センターでお話しいただいた時も、1月厳冬の最中シャツ1枚に革ジャンといういでたちで、お元気そうでいらしたのですが。
鈴木さんとは、もうどのくらいのお付き合いでしょうか。40年以上お付き合いさせていただいたかと思います。
なんといっても、「リング」創作の秘話、シナリオ・センター鈴木伝説は今もなお語り継がれています。
実は「リング」はシナリオ・センター作家集団のゼミ教室から生まれたのです。
作家集団は、すべてのシナリオ基礎研修が終わって、小説でもシナリオでも戯曲でも何でも好きなものを書ける場です。
鈴木さんが「リング」を作家集団のゼミで読んで、クラスの仲間が待ち焦がれながら、毎週楽しみに「リング」を聞きに来るためだけに出席されたという話しが伝説となっています。
「リング」は30枚から40枚で一つの「ヤマ」がある。それは、クラス仲間が楽しみに待っていたがゆえに、毎週仲間の心つかんで面白がらせなきゃいけなかったからだと鈴木さん。
仲間がより「リング」を傑作の高みに導いたのかもしれませんね。
鈴木さんは、売れっ子作家になられても、本当にシナリオ・センターを大切に思ってくださっていました。
ご本を上梓するたびに、作家集団の森講師が授業しているところへわざわざおいでくださり、必ずゼミの後輩たちとおしゃべり、エールを送ってくれました。
そして、クルーズに出ていない限り、お願いすると気持ちよく気軽にお話しに来てくださいました。
私は、「いつクルーズですか」と、毎年必ずお訊きしていました。
今年の1月10日、2026年新春の皮きりは、何と言っても鈴木さんに元気エールを送っていただけたらとお願いしましたら、快く二つ返事で引き受けてくださいました。
小説の極意として「まずシーンが頭に浮かぶこと。極端に言うと、匂いまで感じさせる。読者の知覚に訴える」とおっしゃり、「シナリオって映像を浮かべなくちゃ描けないでしょ。描く時は、絵を浮かべる。登場人物のディテールだけでなく、背景にはどんな道路があり風が吹いているのか、そういった風景も思い浮かべて」と。
毎週20枚シナリオを描き、50本をあっと言う間に描かれた鈴木さんは、「シナリオのトレーニングが効いている。たまに読んでいても頭に入ってこない小説があるけれど、それは書いている人間が風景を思い浮かべていないから」
そして、後輩の皆さんに「表現者として成功したいなら、第一にリスクをとること。人と同じことをやらない。勇気がいるけれど、自分独自の世界観を築くこと、それがオリジナリティ溢れる表現につながります。」とエールを送ってくださいました。
今思うと、1月のTheミソ帳倶楽部の時、微塵も感じさせられなかったけれど、お具合が悪かったのかも、ご無理をさせてしまったかもと申し訳なく思っています。
でも、鈴木光司さんは、いつでも前向きの方。あの時も、「『ユビキタス』は4部作まで構想ができているんだよ、映画化も動いているんだよ」と熱く語ってくださいました。
だからこんなに早く逝かれるなんて・・・続きはどうするんですか!!映画はどうなるんですか?!
ご自分でも、まさかのことでしょう。まだまだ続きを待っています。天国でも書き続けてくださいね。
合掌。
昨年、ジェームス三木さんが6月に、内館牧子さんが12月に、そして今また鈴木光司さんがこの5月8日に。
シナリオ・センターはとても寂しくなりました。
でも、鈴木さんは、ちゃんとエールを送ってくださったのですから、さあ、これからは皆さんの出番です。
リスクを厭わず、あなた自身の表現を見つけてください。












