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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

想像力

なぜか今咲いている紫陽花

冤罪

シナリオ・センター代表の小林です。今日の表参道は、すっかり秋です。
でも、すぐ近くの八丈島はじめ伊豆の島々は大荒れ、「経験したこともない」台風が来たみたいで屋根がほとんど吹っ飛んでいるようです。
こんな時こそ、直ぐに新首相は動いてください。あなたの真価が問われます。

袴田巌さんが、検事総長を相手に名誉を傷つけられたと訴訟を起こしていますが、国と県を相手取り約6億円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こされしました。
逮捕・起訴した警察・検察に加えて、死刑判決を出して一度は確定させた裁判所の責任も問うそうで、「訴訟を通じて冤罪(えんざい)の原因を究明する」そうです。今、袴田さんは89歳、40年以上死刑執行を待つ間に精神が蝕まれて、意思の疎通も難しい状態とか。
靴音を聴くたびに怯える毎日を何十年も過ごしてきたなど、考えただけでもぞっとします。6億でも安いくらい、いくらもらっても50年前の袴田さんには戻れないのですから。
警察だって冤罪を作ろうとは思ってはいないでしょうけれど、犯人を見つけなきゃという想いが先に立ち、知らず知らずのうちに決めつけてしまって、相手のことを想像するという頭が生まれないのでしょうか。
袴田さんが、もし逮捕されなかったら、どんな人生を送ることができたのか、畝本検事総長に想像してもらいたい。刑務所の中で毎日毎日どんな想いだったのか想像して欲しい。
強者である彼女には弱者の無罪を心から叫ぶ声などなにほどのものでもないのでしょうね。

ふと思ったのですが、捜査員の人たちにシナリオを学んでもらうのはどうでしょう。
アクションとリアクションを学べば、少なくとも取り調べも変るのではないかな。ものごとは、「きめつけない」ことが大事だということがわかるのではと思うのですが。

感性

月刊シナリオ教室の8月号から10月号の3号に、出身ライターの皆様から「後輩たちにつないでいきたいこと」というメッセージをいただくという特集をやりました。お読みいただけましたか。
創立55周年記念特集ですが、出身ライターの方々の後輩に贈るメッセージが心に沁みること沁みること。こんなにも先輩の方々が後輩を想ってくださるって、そういう「つながり」の場所でシナリオ・センターがいられることがとても嬉しくて、それこそ天国で新井一も喜んでくれていることでしょう。
シナリオ作りを通して、「人間」として多くの「人間」を知ること、つながることは、創作者としても大事なことだと思っています。

10月24日の創立記念パーティーで発表され、授賞式が行われる「20枚シナリオ・新井一賞」。
その中のシナリオ・センター賞は、皆様に選んでいただくものです。パーティー前日22日が締め切りです。
月刊シナリオ教室10月号に、ノミネート作品10編を掲載し、投票用QRコードもつけています。
YouTubeでも、10編を作者が読むというゼミナール形式で配信しています。
どんどん投票をしていただきたいです。今はまだ投票がさほど多くないためか、ものすごくばらけているのです。

10編の20枚シナリオはどれもとてもよい作品です。読むだけでもとても勉強になります。
「バトン」という課題をどう受け止めて、どう見せていくかは作者の感性、作家性ですね。
見せる=映像の技術はシナリオ・センターでしっかりとお教えできるのですが、この作家性というのは、創作の裡の「何を書くか」ですから、作者自身が作り出すものですし、お教えできるものではありません。

かって、新井一がシナリオ・センターを作ろうとした時に、業界の方々はこぞって「そんなバカなことは辞めろ、シナリオなんて教えられるものではない、シナリオは感性で創るんだから」と新井を心配して止めてくださいました。
そのとおり、創作は感性から生まれるのです。
でも、新井はシナリオ・センターを創りました。
創作は「何を書くかとどう書くか」の2つでできていることを知っていたからです。
「なにを書くか」は作者の感性、作家性です。ですが、創作はそれだけでは魅力あるものを創れない、「どう書くか=技術」が必要なのです。たくさんの人に見てもらうための伝える技術。
シナリオ・センターは、ずーっと「どう書くか」に特化してお教えしてきました。だから700名強の出身ライターが生まれたのです。
「なにを書くか」までに口を出したら、たくさんの才能をつぶしてしまったことでしょう。

で、です。20枚シナリオ新井一賞のノミネート作品を読んでもらいたい。聴いてもらいたい。
「バトン」という課題の上に、10人の作者がどのような作家性を見せているのか、勉強になります。
「どう書くか」は授業の中で学べます。「何を書くか」は作者のもの、それぞれの感性がものを言います。
あなただったら・・・どの作品を選びますか。

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