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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

他人のふり見て

ドラマ誌2月号

不完全

シナリオ・センター代表の小林です。ここのところ災害が地球上であちらこちらに起こっていて、被災地への痛みと不安につぶれそうです。
こんな地球が崩壊の一途をたどりつつある時代に、戦争なんてしている意味があるのかと思います。自分の国のことだけ考えればいいわけではないと思います。
地球に生きるすべての人が手を結ばないと、人間そのものが滅びると思うのですが、目先のことしか考えないお上のなんと多いこと。
世界は、日本は、どうなるのでしょう。子どもたちの未来が案じられて仕方がありません。
完全な人間なんていないのに、性別は男と女しかないと言い切ったり、人種、弱者切りしたり、世界のお上たちはなぜあんなに傲慢でいられるのでしょう。
アジア出身で始めてアメリカの野球殿堂入りを果たしたイチローさんの言葉を送りつけてやりたいと思いました。
「不完全であるというのはいいなって。生きていく上で不完全だから進もうとするわけで。そういうものを改めて考えさせられるというか。見つめ合える、向き合えると言うのは良かったなと思います」
人間の良さって、それぞれがみんな違って、みんな不完全だからいいのだと思います。
イチローさんは、不完全だから見つめ合える、向き合えるとおっしゃっていましたが、ろくでもない人間は自分は完全で、すべて正しいと思っちゃうのでしょうね。

作家の視点

先日、ドラマ誌2月号に掲載されている「べらぼう~蔦重栄華の夢噺~」での森下佳子さんの作品のことを書かせていただきました。
同じ2月号には「相棒」が掲載されており、出身ライターの光益義幸さん「楽園」と森下直さん「2つの顔」という作品が掲載されています。
作者ノートの中で作品の発想のことをおふたりとも書いています。
光益さんは「電気も電波もない秘境の宿が外国人観光客に人気」というニュースを起点として発想されたと、森下さんは成長して傘を開き、胞子を飛ばすキノコの映像をドキュメンタリーでみてと。
創作というのは、作者が何に引っかかったのか、琴線にふれたものはなにか、そこから生まれた切り口が勝負なのだと思います。
これはシナリオ・センターが教えている「映像表現の技術」と違って、教えられるものではなく作者の感性にかかってきます。
何度も言いますが、この部分は教えられるものではないのです。
「相棒」をずーっと書かれている輿水泰弘さんは、後輩に向けての言葉で「僕は自分が脚本家志望だった頃から、月刊ドラマを買い続けているんですよ。(略)テレビドラマの脚本を書きたいんだったら、テレビドラマの脚本を読んだ方がいい。読まないよりは。月刊ドラマ誌は脚本家を目指す人の宝箱みたいな気がしている」と。
作家性というのは、他人の作品を読むところから始まるのではないかと私も思うのです。
岡田惠和さんは山田太一さんのシナリオを何度も書き写していらっしゃるし。
しっかりと他人の作品を読むこと。
秘境へ行く外国人観光客の話やきのこからどう発想されたのか、光益さん、森下さんのシナリオを読まなくてはわかりません。弊社の「月刊シナリオ教室」が、毎月コンクールや放映作品のシナリオを掲載して作者の言葉やインタビューを載せるのもそのためなのですね。
漫然と読むのではなく、作者の発想がどう活かされているかを感じながら読むと、何をみようとしているのか、何を考えているのか、自分は何を描きたいのかをつかめるような気がします。
ゼミでも、他人の20枚シナリオを聞いて、同じ課題でもみんな違う話ができること、その違いをしっかりつかめると更なる進歩が生まれるのではないでしょうか。

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